マーケターにとって、新年はデジタルメディア戦略に新しい風を取り込む絶好の機会だ。あるいは、少なくとも時代に取り残されないようにするチャンスといえる。そこで今回は、2019年を迎えた広告主のために、アドバイイングの世界で起こるであろうイノベーションと混乱に備えるためのチェックリストを紹介しよう。
マーケターにとって、新年はデジタルメディア戦略に新しい風を取り込む絶好の機会だ。あるいは、少なくとも時代に取り残されないようにするチャンスといえる。
そこで今回は、2019年を迎えた広告主のために、アドバイイングの世界で起こるであろうイノベーションと混乱に備えるためのチェックリストを紹介しよう。
以下、4つの項目で説明する。
Advertisement
1. パートナーと厳格な契約を結ぶ
アドテクベンダーによるビッドキャッシングやキックバックにまつわる疑念など、2018年に起こった一連の対立は、広告主の多くが自社のプログラマティックキャンペーンの状況を十分に把握できない事実を明らかにした。また、自社の利益を守るためにサプライヤーと厳格な契約を結んでいる広告主がいかに少ないのかを思い知らせることになった。だが、2019年には状況が変わりそうだ。プログラマティック広告に流れ込むお金が増え、ますます多くの広告主が、自社のパートナーやお金の使い方を見直しているからだ。
こうした見直しを行うときには、エージェンシーやどこかのネットワーク企業が技術料を吊り上げられる状態になっていないか、またエージェンシーとの契約においてあらゆるデータやプラットフォームへのアクセスが確保されているかを調べる必要がある。デジタルメディア・コンサルティング企業のデジタル・デシジョンズ(Digital Decisions)は、最近公開したレポートでそのように述べている。また、元マーケターはさらに次のように語っている。「確認できないものにはお金を払いたくないというのが、いまの広告主の考えだ。エージェンシーは、自社でデマンドサイドプラットフォーム(以下、DSP)を持っていないことが多い。したがって、エージェンシーが外部のDSPを管理する能力を持っているかどうかをチェックすることが、見直しのポイントになる」。
一部のサプライヤーは、契約の見直しが増えることを想定し、透明性の向上によってほかの企業と差別化する機会をうかがっている。たとえば、アップネクサス(AppNexus)は、同社のプラットフォームを使って1カ月前に広告を購入した広告主に対し、メディア予算に占める技術料の割合を確認できるオプションを提供した。ほかのサプライサイドベンダーは、このような機能を提供していない。
2. サプライヤーの切り替えに伴うコストを最小限に抑える
見直しは、エージェンシーとの関係が継続可能かどうかを判断するよい機会だ。ただし、パートナーの切り替えに伴うリスクから身を守るようにしなければ、混乱が生じるかもしれない。契約でアクセス権を確保していなければ、データや専門知識から貴重なインサイトまで奪われてしまう可能性があるのだ。ネスレ(Nestle)など一部の広告主は、「明日エージェンシーと手を切ったとしたら、何を持ち出すことができるだろうか」と自問することで、自社の広告をどの程度コントロールできる状態にあるのかを把握するようにしている。コントロールできなければ、サプライヤーと縁を切ろうとしても、パートナーの切り替えが難しくなる可能性がある。長年にわたって築き上げてきた専門知識やデータにアクセスできなくなるからだ。
「大手コングロマリットのあいだでは、ローカルのパートナーから離れ、グローバルなテックパートナーや検証パートナーと関係を築いたり取引したりする動きが見られる」と、英国のメディアコンサルタント企業エビキュイティ(Ebiquity)でメディア責任者を務めるマーティン・ビンテル氏はいう。「こうした動きは、広告主が先導する形ですべての取引先に対して行われ、実務や管理はエージェンシーが担うことが多い」。
3. サードパーティによる検証を自社で管理する
どういうわけか、2018年には、広告主のあいだで起こった透明性に関する議論が、プログラマティックバイイングやアドテクのライセンスに関する話に変わることが多かった。アドベリフィケーションや広告配信といった中核技術は、見過ごされがちだったのだ。だが、そうした技術の導入が、プログラマティックに対する疑念を解消できるもっとも早い道かもしれない。広告主は、アドベリフィケーション技術をライセンス提供することで、パフォーマンスを効率的に追跡、測定できるのだ(実際の運用はエージェンシーが行う)。
たとえば、ハイネケン(Heineken)は2018年春、アドベリフィケーションパートナー向けに独自のアドベリフィケーションシステムを立ち上げた。これにより、同社はエージェンシーに代わって直接パートナーと契約し、インサイトやデータを所有できるようになった。ほかの広告主のあいだでも、ハイネケンに追随してアドテクに関する契約を見直す動きが、この1年で増えるだろう。実際、エージェンシーと提携する場合でも自社で調達する場合でも、アドベリフィケーションパートナーの選定に関与する広告主は増えていると、この種の意思決定を支援しているf氏はいう。
4. オークションダイナミクスを理解する
2018年には、アドテク企業がどのように入札を処理しているのかがわかれば、悪用されかねない価格の非効率性の存在を明らかにできることを、賢明な広告主が理解するようになった。エクスチェンジによっては、入札価格にかかわらず、特定のパブリッシャーを勝たせるところがあるのだ。
だが、実態を把握するには、契約書に適切な条項を盛り込むだけでは不十分だ。勝たせてもらったパブリッシャーはどこなのか、パブリッシャーのインベントリー(在庫)にもっとも効率よくアクセスできるルートはどれなのかを知るには、オークションを監視し続ける必要がある。それなら、広告を購入するエクスチェンジの数を減らし、もっともパフォーマンスが高いエクスチェンジに力を注ぐほうが簡単だ。その際には、購入する広告ドメインの関連性とパフォーマンス、フリークエンシーキャップ、そして時間や曜日を検討し、購入するインプレッションの数を増やすべきか減らすべきなのかを考える必要がある。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)