P&G 、小売業者に「顧客データ」の提供を求める:プログラマティック広告のパーソナライズのため

プロクター・ アンド・ギャンブル(The Procter & Gamble:以下、P&G)は、広告のターゲティングの向上のため、小売業者に顧客情報を共有してほしいと考えている。

世界最大の広告主であるP&Gがいま、欧州、インド、中東、アフリカの小売業者にパフォーマンスマーケティング小売パートナーシップ(Performance Marketing Retail Partnerships)というアイデアを売り込んでいる。たとえば、ポイントカードのデータと引き換えに、特定のスーパーマーケットで買い物をする可能性が高い顧客に対する広告キャンペーンをP&Gが最適化する。これにより、その店で売れる見込みが高まるのだという。

P&Gが描く「野望」の中身

P&Gで欧州、インド、中東、およびアフリカのeビジネスの責任者を務めるトム・ピックフォード氏は、10月中旬にロンドンで開催されたIGDのカンファレンスで、「買い物客のIDデータを共有するよう、アドテクのパートナーと一緒に小売業者への依頼をはじめている」と語った。「EPOSのデータやクリックのデータをはるかに超えるものなので、大変なお願いだ」。

P&Gはその顧客データを自社のデータ管理プラットフォーム(以下、DMP)に読み込ませて、オーディエンスのターゲティングに使える一時的なIDグラフを効果的に構築する。消費財(CPG)の広告主は、顧客との直接のつながりがないことから、データが乏しいことが多い。P&Gの主な販売チャネルであるAmazonはこのレベルの生のデータを共有しないため、P&Gは他のオンライン小売業者からのデータをつぎはぎするように努めている。

「パフォーマンスマーケティングは、デジタルによるDTCブランドならば、ファネルの一番上と一番下のデータをもっているからどこでもできる」と、ピックフォード氏は語る。「我々は、独自のプロプライエタリなDMPとデマンドサイドプラットフォームで、非常に強力なIDグラフを構築していく」。

気になる小売業者の対応

問題は、スーパーマーケットのなかでとりわけ価値がある資産を渡すよう、P&Gがうまく説得できるかどうかだ。小売業者はおそらく、欧州の「一般データ保護規則(GDPR)」を受けて顧客データの共有には慎重だろうし、競合する販売者へのビジネスに提供したデータが使われるかもしれないと懸念するだろう。売り上げが増える、あるいはショッパーマーケティングの支出が増えるという見込みがあるのでない限り、データを渡すのは躊躇するだろう。

アドテク企業ビーズワックス(Beeswax)のCEO、アリ・パパロ氏は、「Amazonからの圧力を考えると、広告主とより強固な関係を構築するのは、最終的には小売業者にとってプラスになると思う」と語る。

また、デジタルエージェンシーのスリーパイプ(Threepipe)の共同創業者であるファルハド・クードルース氏は、「小売業者が、メーカーにすでに提供しているデータと並行して、こうしたデータをひとつにまとめて、サービスとして提供するようなことになれば、利益率と価格が圧迫されるなか、助けになるような収益源に道が開くだろう」と語った。

プログラマティックが肝

プログラマティック広告の改善を推進するP&Gは1年半前、デジタル広告予算を1億ドル(約113億円)以上削減し、広告を出稿するウェブサイトの数も減らした。しかし、ピックフォード氏によると、こうした削減にもかかわらず、プログラマティックの支出は増加している。「メディア予算は、従来型のチャネルからデジタルへとシフトし、デジタルのなかでは、直接購入からプログラマティックメディアへと流れている」と、同氏は語った。

P&Gにとってプログラマティックは、社内ですでにひときわ急成長している部門をさらに加速させる方法なのだ。ピックフォード氏によると、P&Gは現在eコマースの売り上げは45億ドル(約5094億円)相当で、これは全体の6%にあたる。2021年にはこれが大幅に増えて100億ドル(約1.1兆円)になり、売り上げの約30%を占めるようになる見込みだという。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)