「うんこマークの絵文字」がバイラル化して以降、ブランドは表現力豊かな絵文字を使って消費者とつながる方法を試している。しかし、カスタムキーボードとハッシュタグではまだ足りない。人気が高まっている方法に、絵文字による検索がある。こうしたサービスは些細なことにも思えるが、なぜ各ブランドは資金を投じているのだろうか。
「うんこマークの絵文字」がバイラル化して以降、ブランドは表現力豊かな絵文字を使って消費者とつながる方法を試している。
しかし、カスタムキーボードとハッシュタグではまだ足りない。人気が高まってきている方法に、絵文字による検索がある。検索バーにキーワードを入力するというつまらない方法ではなく、絵文字を入れるだけで探しているものを見つけられるというものだ。
たとえばイェルプ(Yelp)では、豚の絵文字を入力すれば、豚肉料理を提供している関連レストランの一覧を得られる。ゼネラル・エレクトリック(General Electric:GE)の「実験の絵文字周期表」では、絵文字をクリックすると科学教育の動画がポップアップ表示される。そして先日、旅行プランニングサイトのKAYAKでは、対応しているいくつかの絵文字を選べば目的地を検索できるようになった。こうしたサービスは些細なことにも思えるが、なぜ各ブランドは資金を投じているのだろうか。
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KAYAKの絵文字検索
KAYAKのサイトには、「スペルを入力するのはあまりに2015年的だから」とある。しかし、本当の理由はもっと戦略的だ。KAYAKの北米マーケティング担当VP、デイビッド・ソロミート氏は、同社はオンラインでの絵文字の利用、それも、旅行に関係する利用が増えていることに気がついたと語った。
「旅行者が使うのは、飛行機の絵文字だけではなく、目的地や、これから行く旅行の種類を示す絵文字など、ほかにもたくさん使っていた」とソロミート氏は語る。KAYAKがモジララ(MojiLaLa)の研究を調べたところ、米国ではスマートフォン利用者の86%が定期的に絵文字を使っており、18~34歳ではこの数字が96%に跳ね上がることがわかった。
KAYAKがこの新機能で目指しているのは消費者へのリーチだ、とソロミート氏は語る。「絵文字は今や私たちのコミュニケーションに根付いており、減速の兆候はまったくうかがえない。KAYAKの検索で、旅行者が絵文字を使えるようにするのは理にかなっていた」。
絵文字検索の可能性
一方、イェルプは、消費者がすでに行っていた検索に楽しさの要素を追加するため、2014年12月に絵文字による検索を導入した。「イェルプの絵文字検索は、もともとはイェルプのエンジニア2人が前年のハッカソンで開発したものだったが、会社がこれをとても気に入り、イェルプのユーザーたちにも楽しさを共有したいということになった」と、イェルプの広報担当者は説明する。「イェルプは信じられないくらい便利だと思ってもらえるだけでなく、ローカルビジネスの検索を楽しんでもらえているというのは素晴らしいことだ」。
広告エージェンシーたちは、絵文字による検索の実験をはじめるブランドは増えるだろうと考えている。デジタルエージェンシーのVMLでも、クライアントにそうするように助言しているが、これはソーシャルプラットフォームにおけるオーガニック検索を利用できるというのが主な理由だ。Twitter、インスタグラム、Google、YouTubeはいずれもこの2年間で絵文字による検索の機能を追加しており、先日、WhatsApp(ワッツアップ)がそこに加わった。たとえば、独自の絵文字で検索した消費者を、ブランドのウェブサイトにリダイレクトできる。「GoogleやBingから絵文字によって適切な検索結果にたどり着ける未来を描けるブランドなら、このトレンドの先を行きたいと思うだろう」と、VMLでオーガニック検索のディレクターを務めるヘザー・フィジョック氏は語った。
「その未来は、レスポンシブでアダプティブなクロスチャネルの体験を作る必要性を理解するマーケターたちのものだ」と、モバイルマーケティング企業のアプボーイ(Appboy)でマーケティング担当VPを務めるマリッサ・エイドレット氏は語る。
いまのところの懸念事項
しかし、ブランドのキャンペーンやウェブサイトに絵文字による検索を実装することにはマイナス面もある。最大の問題はユーザーの意図だ、とフィジョック氏は指摘する。「犬の絵文字で検索した場合に、ペットショップ、犬のエサ、犬の訓練士、犬の預け先、あるいは獣医を探しているのだと検索エンジンが解釈してくれるかどうかだ」と同氏。「検索エンジンがひとつの絵文字を解釈して常に適切な結果を提供するのは難しい」。
それでも、テクノロジーは急速に進化し、絵文字検索の結果はすぐに洗練が進む、とフィジョック氏は確信している。同氏によると、一度に複数の絵文字を使った検索もできるようになるかもしれないという。たとえば、ハンバーガーの絵文字とフライドポテトの絵文字を入力したユーザーはファストフードレストランを探しているのだと、Googleが理解できるようになるのは近いかもしれない。
KAYAKはこの問題に独自の次善策を講じ、それぞれの絵文字を具体的な目的地に結びつけている。自由の女神像の絵文字なら常にニューヨークの関連情報、三つ葉のクローバーの絵文字ならダブリンの関連情報を提示しているのだ。KAYAKではさらに、ユーザーがその他の絵文字に対応する目的地を投票できるようにしており、世界絵文字デー(7月17日)に結果を発表した。これまでのところ、この投票は別の形でKAYAKへのエンゲージメントになっている。「絵文字と都市の組み合わせが、数日で10万件以上、投票されており、我々の方向性は人々に気に入ってもらえたと言って間違いない」とソロミート氏は語った。
さらなる流行が予測される
「いまや、Google、Bing、YouTubeといった従来型の検索エンジンが絵文字による検索を使うようになってきており、また、KAYAKのようなブランドが、ブランドでも可能だということを証明している」と、VMLのフィジョック氏は語る。「サイトで絵文字検索の活用を試みるブランドはもっと出てくるだろう」。
Ilyse Liffreing (原文 / 訳:ガリレオ)