ZARAは、最新スタイルを素早く店頭に届けるファストファッションのパイオニアだった。しかしその座は、わずか1週間でデザインから販売までを行えるオンラインブランドの台頭により脅かされていることが、Fung Global Retail & Technologyの新しい調査レポートで明らかになった。
本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、ミレニアル世代向けのビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」からの転載となります。
ファストファッションが、さらにスピードアップした。ZARAは、最新スタイルを素早く店頭に届けるファストファッションのパイオニアだった。しかしその座は、わずか1週間でデザインから販売までを行えるオンラインブランドの台頭により脅かされていることが、Fung Global Retail & Technologyの新しい調査レポートで明らかになった。
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オンラインストアASOS、boohoo、Missguidedは、若者層をターゲットにしたファッショナブルで手頃な価格の服を専門に扱っており、ソーシャルメディアを駆使してトレンドの先端を走っている。さらに各自のサプライチェーンを効率化し、生産拠点を主要な顧客市場に近づけることで、デザインと製造のプロセスをスピードアップすることに成功している。
レポートによると、ASOSの場合、製品の発案から販売までにかかるのは2〜8週間。boohooの場合は2週間、Missguidedに至ってはわずか1週間だという。この速さは、かつてはスピーディーとされたZARAの5週間を上回り、H&Mの6カ月をはるかにしのぐ。
「ファストファッションは、今やウルトラファストファッションになりつつある」とレポートには書かれている。これはZARAやH&Mのような企業にとって問題だ。ZARAやH&Mの成功は、このユニークなビジネスモデルを土台として築かれていたからだ。
これら台頭著しい新しいオンラインストアはまた、絶えず製品を入れ替えることで、顧客の利用頻度を上げようとしている。
その手法は功を奏しているようだ。2006年にイギリスでローンチされたboohooの場合、2017年2月締めの年度決算で売上高が51%増加。同様に、2000年にローンチされたASOSは、2016年の年間売上高が前年比26%アップした。2009年にローンチされたMissguidedも、2017年3月31日締めの会計年度決算で年間売上高が75%上昇した。
レポートは、こうした新しいオンラインストアが「機動力のあるサプライチェーン」を持っていると分析する。初期デザインは小ロットで生産し、人気が出たら本格展開する。この戦略により、変化し続ける需要にマッチした供給を実現することができる。
H&Mは最新の四半期決算報告で、純利益が3%減少した。同社CEOのカール・ヨハン・パーソン( Karl-Johan Persson )氏は「今後サプライチェーンのスピードと機動力を上げることに投資し、需要の変化の速さに対応していく」と述べた。
前述のオンラインリテーラーが、製品の生産拠点を本社や主要な顧客市場の近くに置くというZARAの戦術を踏襲していることも見落とせない。ZARAの親会社Inditexは自社製品の60%をヨーロッパで調達している。boohooも同様に、製品の50%以上をイギリスから調達している。
[原文:Zara is facing a massive threat that could jeopardize the business]
(翻訳:十河亜矢子)
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Original from BUSINESS INSIDER JAPAN