「お互いにわかってやっている」:エージェンシーへのリベートについて調達担当幹部の告白

メディア予算の増額と引き換えにエージェンシーにリベートを払うメディアオーナーのやり方は、利益は上がるが不透明なことがある。情報開示された場合、英国では合法かもしれないが、広告が後ろ暗いブラックボックスに陥ったとして非難され続けている。

だが、英国の広告主の調達担当上級ディレクターのように、リベートの物議を醸す慣行が、詳細を理解している限りはエージェンシーとの業務において許容できる部分だと考えているマーケティング幹部もいる。匿名を条件として、赤裸々に本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、広告主がリベートについてもっと現実的な見方をしなければならない理由を、調達担当幹部が説明する。

以下はその抜粋。読みやすさを考慮し、多少編集を加えてある。

──なぜエージェンシーとの業務においてリベートが重要なのか?

目をつぶろうと決めたことに対しては、全体的な見方をすべきで、それが分別というものだ。エージェンシーの報酬が固定されている場合、自分が大きな価値を手に入れつつあり、ステークホルダーが満足しているのがわかっていれば、そのビジネスが我々のアカウントで利益を上げることを受け入れられる。お互いにわかってやっているわけで、それは全体像の一部だ。自分たちが金を稼げることがわかっていながらそうした取引を認めれば、仕事をきちんとしていないことになる。あまりに面倒なので、クリエイティブエージェンシーやメディアエージェンシーを廃業させたくはない。エージェンシーのそうしたスキルをインハウス化する準備ができているかどうか、一企業として判断する必要がある。インハウス化すれば、付加価値税がかからず、支払わなければならないマージンのための予備費がなくなるので、20%安上がりになり、20%の節約になるかもしれない。

──調達がたいてい失敗する費用に、容赦なくフォーカスしているのか?

そうだ。費用だけを追い求めていれば、企業を廃業に追い込むことになる。それは調達部門の責任ではない。最後の5%を搾り取るために、マーケティングチームとエージェンシーが脂っこいランチを食べたあとに我々が呼ばれていたが、そうしたことはもう起きるべきではない。調達担当上級幹部は、いまではテーブルの上座に座り、ステークホルダーに、同じエージェンシーをただ利用し続けるのではなく、協力できるほかのエージェンシーに目を向けさせている。

──エージェンシーに対する決済条件を構築する最良の方法は何か?

いくらかの決済モデルはあるが、コストプラス(原価加算)モデルに移行しているようだ。企業はエージェンシーに対して人材に対する実勢価格を支払い、その費用に加えて固定費を支払う前にできるだけ効率的に仕事を進める。固定費については交渉できる。そうした例では、大半の調達担当幹部は固定費に注目する。一括払いであらゆる種類のサービスを受けられるなら、エージェンシーの幹部の日給がいくらであろうと気にしないからだ。エージェンシーは、このような取引では多くの金は稼げないが、あとでもっと大きなアカウントにつながる可能性がある、このような取引に対抗する経済的余裕があるかどうかは知っておく必要がある。最近実施した一部の入札では、そういった取引は努力の価値がないので、エージェンシーに参加を辞退させた。

──いまの方がエージェンシーとは交渉しやすいか?

取引をまとめるのは、はるかに困難になっている。条件があらかじめ用意されていて、エージェンシーを圧倒して交渉し、素晴らしい合意をものにできる時代は終わった。たいていの場合、エージェンシー、それも特に中小規模のエージェンシーのコマーシャル担当ディレクターはまだ未熟で、その後の取引がしやすかった。いまはもっと対等な闘いだ。大手の持ち株会社には、大人数の法務担当チームがいる。だから、調達担当幹部は、ステップアップして取り組む必要がある。交渉相手よりも少しばかり知識があって優位な立場にあれば、両目が見えない人々の土地にいる、片目が見える人間のような気分になれる。

──調達チームがマーケティングチームの近くで働きやすい企業はあるか?

消費財企業やほかの製造業では、マーケターと同じ土俵に立つのがいっそう容易だ。こうした企業は、長年に渡って別々の調達部門に投資してきており、たいていは最高調達責任者だ。たとえば、フォード(Ford)のような自動車メーカーは、付加価値を示す枠組みがあるので、ほかのプロセスを妨げる調達に慣れるだろう。サービス重視の企業は、それほど多くの経験がないことが多いので、ほかの部署との闘いはもっと困難だ。

──調達にいると、ほかの部署から仲間はずれにされているように感じることはあるか?

私の現在の役割は単純明快で、社内の問題への手っ取り早い解決策のようなところがある。ステークホルダーに定期的に報告し、行ってきたことを概説する。より幅広いステークホルダーとできるだけ多くのやりとりをすることが大事であり、仕事上そうしたことが必要なので、それで問題ない。私がかつて働いていたほかの企業では、全力を尽くさなければならなかった。マーケティングチームの人を口説き落とすためにビスケットを買ったり、遅くに電話会議に出たり、3大陸から人を引き込んでプロジェクトを実行したりしなければならなかった。私の経験のそうした努力を見てもらえることが多い。あなたが調達担当幹部で、仲間はずれにされていると感じている別の調達担当幹部がいると思うなら、報われる可能性があるので、マーケティング部門とそうした障壁を打破するために、より多くの努力をする必要がある。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)