パンデミックにより一部ブランドの小売拡大計画が凍結されたあとで、D2Cショールームの ショーフィールズ (Showfields)は現在、自社を「発見の目的地(destination for discovery)」として売り込むことで、新興企業が自社の2つのショールームで販売を行うよう勧誘を試みている。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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パンデミックにより一部ブランドの小売拡大計画が凍結されたあとで、D2Cショールームのショーフィールズ(Showfields)は現在、自社を「発見の目的地(destination for discovery)」として売り込むことで、新興企業が自社の2つのショールームで販売を行うよう勧誘を試みている。
ショーフィールズは2018年に設立され、ニューヨークのノーホー地区と、2020年後半にオープンしたマイアミの2カ所にショールームを構えている。ショーフィールズがマイアミに拠点を開設したとき、共同創設者のタル・ツビ・ナサネル氏は、コロナウイルスの発生により訪問客は減少しているが、「各ブランドは依然として実店舗のソリューションを探し求めている」と米モダンリテールに語った。そして、ショーフィールズは新しい顧客を獲得することで、これらのブランドの小売展開における目標に応じたいと考えていると、ナサネル氏は語った。
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売上を生み出せるのかは未知数
米モダンリテールが入手した、見込みクライアントのD2Cブランドを対象としたピッチ資料によれば、ショーフィールズは同社が「発見、着想、そして世界最高の顧客エクスペリエンスの目的地」を提供すると述べている。
同社のデッキはおもに、若い顧客層、クリエイターやインフルエンサーとのつながりと、ブランドやアーティストのコラボレーションの可能性を強調している。
ショーフィールズは、拠点ごとに毎月1万8000人を超える顧客の訪問と、25分の平均滞在時間をブランドに約束している。また同社はメディアへのリーチやニュースレターの購読など、デジタル面のリーチも誇っている。しかし、同社がブランド側に代わって実店舗での売上を生み出せるのかは未知数だ。
小売コンサルタントのレベッカ・コンドラット氏は「同社が公表している具体的な統計は、実店舗での小売では一般的なものだ」とに述べている。「コンバージョン率や顧客の生涯価値など、重要な指標が欠けている」。
一方でコンラッド氏は、ショーフィールズのコンセプトは、D2Cブランドに対して、ブランドのストーリーテリングとポップアップ用の物理的な空間を提供することに特化しているように見えると述べている。これらはクイップ(Quip)、ペリエ(Perrier)、ジョニーウォーカー(Johnnie Walker)といった、ショーフィールズの過去および現在のパートナーのように、多額の広告予算を持つブランドのあいだでは一般的だったものだ。
しかし、こうしたショールームによるマーケティング戦術は必ずしも売上に結びつくとは限らず、起動力のあるD2Cブランドにとって割に合わないかもしれないと、コンラッド氏は語っている。2019年現在、ブランドがショーフィールズで展示を行うためのコストは、店舗内の使用面積と展示場所にもよるが最低で毎月約6000ドル(約69万円)だった。ただし、最新のピッチ資料には価格の情報は含まれていない。
「同社が設立したばかりのブランドを狙っているなら、より大きな価値提案を提供する必要があるだろう」とコンラッド氏は述べる。しかし、ショーフィールズのマイアミにある屋外拠点は、おもにハイエンドのデザイナーとラグジュアリー商品で占められている。
ショーフィールズは、コメントの要請に応じていない。
以下に、同社のピッチ資料を示す。



















[原文:Pitch deck: How Showfields is trying to woo brands to its DTC showroom]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)