不安定な1年を経て、ショーフィールズ(Showfields)はブランドへの売り込みに磨きをかけ、キャンペーンの提供内容にもいくつか手を加えた。
マルチブランド小売業者であるショーフィールズは、サブチャプター5の条項に従い、連邦倒産法11章の適用を10月6日に申請した。米モダンリテールが以前報じたように、破産申請までの数カ月間、一部のブランドパートナーは、支払いの遅延、技術的な問題、予想を下回る売上などの理由で、同社に不満を募らせていた。
現在、同社は未来に向かって進もうとしている。CEOを務めるタル・ツビィ・ナサネル氏は11月初め、米モダンリテールにピッチ資料を公開した。このデッキには、ブランドがショーフィールズを顧客獲得戦略に取り入れるべき理由、ブランドがショーフィールズのキャンペーンの数値をどのように計算すべきか、そしてどのようなタイプのブランドがショーフィールズで成功しやすいか、などを説明している。続きを読む
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
不安定な1年を経て、ショーフィールズ(Showfields)はブランドへの売り込みに磨きをかけ、キャンペーンの提供内容にもいくつか手を加えた。
マルチブランド小売業者であるショーフィールズは、サブチャプター5の条項に従い、連邦倒産法11章の適用を10月6日に申請した。米モダンリテールが以前報じたように、破産申請までの数カ月間、一部のブランドパートナーは、支払いの遅延、技術的な問題、予想を下回る売上などの理由で、同社に不満を募らせていた。
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現在、同社は未来に向かって進もうとしている。CEOを務めるタル・ツビィ・ナサネル氏は11月初め、米モダンリテールにピッチ資料を公開した。このデッキには、ブランドがショーフィールズを顧客獲得戦略に取り入れるべき理由、ブランドがショーフィールズのキャンペーンの数値をどのように計算すべきか、そしてどのようなタイプのブランドがショーフィールズで成功しやすいか、などを説明している。
ブランド経営者たちの不満
ショーフィールズは2018年の創設以来、「世界一面白い店」を運営しているという大胆な宣言とともにローンチして以来、より多くの注目を浴びてきた。同社は、ブランドにも顧客にもより良い小売体験を提供することを目標としており、そのために従来型の卸売小売業者とは大きく異なる方法でビジネスを運営している。
ショーフィールズは、ブランドに対して在庫の対価を支払うのではなく、ショーフィールズの店舗内で専用のスペースをブランドに提供する代わりに、ブランドから会員費を徴収する。現在はブルックリンとワシントンD.C.に加えて、ロサンゼルスにポップアップ店舗を構えているが、2024年の夏に欧州にも店舗を開設したいと考えている。以前にはマイアミとマンハッタンでも店舗を運営していたが、破産申請の前にこれらの店舗を閉店した。ナサネル氏は、ショーフィールズがコロナウイルスのパンデミックの前にあまりにも多くのリースを契約した結果、非常に多くのリース料を支払うことになり、これが破産のもっとも大きな要因になったと指摘している。
しかし、米モダンリテールの取材で明らかになったのは、ショーフィールズのモデルには、ショーフィールズでの陳列に支払った多大な額がそれに見合うものではなかったと、ブランドの経営幹部たちが不満を募らせていたという問題だ。このような不満に対処するため、ショーフィールズの新しいピッチ資料では、2022年の初めに米モダンリテールが入手した以前のピッチ資料と比べて、ショーフィールズのどのようなキャンペーンがブランドに最適か、ショーフィールズのキャンペーンにおけるROI(投資回収率)をどのように計算するかなどについて、ブランドを手引きすることに重点を置いている。
各ブランドに合わせたKPIやキャンペーンを提案
たとえば、新しいピッチ資料には、ブランドの主要なKPI(重要業績評価指標)は何か(「認知」か「エンゲージメント」か)と毎月のマーケティング支出額に応じて、どのようなタイプのキャンペーンがそのブランドに適しているかを示す専用のスライドが用意されている。
以前、米モダンリテールが取材に応じた複数のブランド経営者は、ショーフィールズでのキャンペーンの成功は売上だけで判断しないようにと告げられたと語っている。そして、それはショーフィールズのピッチ資料を見れば明らかで、店舗内での売上は、ショーフィールズのROIを判定するときにブランドが使用すべき4つの指標の1つにすぎないのだ(ほかの3つの指標は、インプレッション、ブランドが収集できる顧客データの量、店舗内での活動に料金を支払ったブランドに対してショーフィールズが与えるマーケティングクレジットの額だ)。
ショーフィールズは、大手ブランド向けに価格帯を変更した。これまでは、1万2000ドル(約181万円)から1万8000ドル(約272万円)の費用で6カ月にわたってショーフィールズでの陳列を行うことができる「スモール」という価格階層があった。現在この階層は廃止され、より大規模なブランドを対象としたキャンペーンに置き換えられている。「ミディアム」キャンペーンの価格は6カ月で2万ドル(約302万円)からとなり、「ミディアム+キャンペーン」は6カ月で3万ドル(約453万円)からとなる。ブランドが多くの資金を投入するほど、陳列をカスタマイズする機会は増える。陳列はショーフィールズの店員によって管理されるものの、「エクストララージ」キャンペーン(料金は月あたり1万8000ドル(約272万円)以上)に支払ったブランドは、自社専属のスタッフを勤務させられるというオプションがある。
「我々は、ブランドの規模や、毎月のマーケティング費用に合わせてキャンペーンをカスタマイズすることを約束する。また、これがパートナーシップであることを説明し、小売で成功するために必要な要因を強調することに、より多くの時間を投資する」とナサネル氏は以前の取材で、米モダンリテールにコメントしている。
ピッチ資料のスライドのいくつかを以下に示す。
[原文:Pitch Deck: How Showfields has revamped its pitch to brands following bankruptcy]
Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Showfields