1台のスマートフォンで、世界中にライブ配信できるアプリ「Periscope(ペリスコープ:運営はTwitter社)」。Twitterとスムーズに連動していることもあって、利用者も急増中だ。そのムーブメントに乗って、さまざまなファッションブランドが「Periscope」活用の可能性を探っている。
ソーシャルメディアの分析ツールを提供している企業ソーシャルベイカーによると、2015年9月11日から始まったニューヨークコレクションでは、47のブランドが「Periscope」でライブ配信を実施。9月15日の時点では、「BCBG」が最多で13回、その次が「デシグアル」で4回、初日からライブ配信を行っている。このほかにも、「トミーヒルフィガー」 や「ジェレミー・スコット」、「キャロライナ・ヘレラ」なども参戦。また、9月17日には「ラルフローレン」も中継を行った。
1台のスマートフォンで、世界中にライブ配信できるアプリ「Periscope(ペリスコープ:運営はTwitter社)」。Twitterとスムーズに連動していることもあって、利用者も急増中だ。そのムーブメントに乗って、さまざまなファッションブランドが「Periscope」活用の可能性を探っている。
ソーシャルメディアの分析ツールを提供している企業ソーシャルベイカーによると、2015年9月11日から始まったニューヨークコレクションでは、47のブランドが「Periscope」でライブ配信を実施。9月15日の時点では、「BCBG」が最多で13回、その次が「デシグアル」で4回、初日からライブ配信を行っている。このほかにも、「トミーヒルフィガー」 や「ジェレミー・スコット」、「キャロライナ・ヘレラ」なども参戦。また、9月17日には「ラルフローレン」も中継を行った。
ファッションブランドが「Periscope」に夢中な理由
Twitterのファッション・パートナーシップ部門責任者、レイチェル・ドーデス氏は「ファッション業界は、『Periscope』がサービスを開始して、最初に対応した業界の1つだ。そのため、こうしたコレクションにも活用されている。さまざまなデザイナーやファッションブランド、モデルたちが、『Periscope』の配信で大勢の人の興味を捉え、ファンとして引き込んでいるのだ」と、話した。格調高いオート・クチュールが、Twitterと「Periscope」の両方で活発に配信していると、業界の動向を見ている。
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LIVE on #Periscope: Live backstage from #TommySpring16 for #NYFW with Bella and Hailey! https://t.co/JsZwrmKyE2
— Tommy Hilfiger (@TommyHilfiger) 2015, 9月 14
#Periscopeでライブ配信: #NYFW(ニューヨークコレクションの略称)で、#TommySpring16の舞台裏をライブで紹介。ベラやヘイリーも一緒です!
11:35 PM – 14 Sep 2015
「ペリー・エリス」や「ノーティカ」などでも、2015年の初夏に開催されたメンズ向けのファッションショーで、同じようにライブ中継や舞台裏の紹介などを行った。だが、2015年3月に「Periscope」がローンチしてから、メジャーなコレクションにおいて活用されるのは、今回が初めてだ。「このニューヨークコレクションが、ファッションブランド各社にとって、初めて『Periscope』を大々的に活用するファッションウィークになった」と、デジタル・エージェンシーのIsobar U.S.で戦略ディレクターを務めるティム・ダン氏は指摘する。
コンテンツの内容は、ブランドによってさまざまだ。わかりやすくモデルたちがキャットウォークを闊歩する様子を配信するブランドもあれば、前座のイベントや観客の様子を紹介するブランドもある。その両方を配信したり、コレクション前後のデザイナーのアトリエを配信したブランドもあった。
拡大するファッションショーのライブ配信
トータルで約40年間にも及ぶ量のビデオが、毎日配信されている同サービス。Twitter社では「ファッションを、『Periscope』でもっとも人気あるカテゴリーの1つ」と、位置づけている。これまでファッションショーは、バイヤーのためだけに開催されるものと思われていた。しかし、いまや消費者に向けたダイレクトなチャンネルが開かれ、スマホによるライブ配信が広告としての機能を有するようになったと、ダン氏は話す。
こうした配信は、「ペリスコーピング(Periscoping)」と呼ばれ、世界中に広まっていき、ブランド側のアプローチに変化をもたらした。そのことで、消費者にとって「近寄りがたい」というファッション業界の印象を刷新するのに役立っている。 「若い世代から高級品のバイヤーまで、すべての人がアクセスでき、視聴するようになった以上、神秘という魔法のカーテンの向こう側に、情報を隠すことは上策ではなくなった」と、ダン氏。
そこでTwitter社では、ニューヨークコレクションで「ペリスコーピング」に乗っかる戦略を講じた。#NYFWというハッシュタグでは、カスタム化した絵文字を使い、デザイナーやファッション編集者が、ショーやその舞台裏を公開。@TwitterFashionのアカウントでは、配信されるほとんどのコンテンツは「Periscope」のライブイベントとしたのだ。
新しいライブ配信の形を実現した「Periscope」
一方、ライブ配信自体がファッションウィークで活用されるのは、目新しいことではない。ショーでのライブストリーミングを手掛ける、スポーツ、エンターテインメント、メディアなどの総合メディア運営を行うインターナショナル・マネジメント・グループ(IMG)は、ファッション情報サイト「Racked」の取材に対し、次のように語った。「このようなストリーミング配信は、ニューヨークコレクションでの存在感を発揮する上で極めて重要だ」。実際、対応の速いブランドなら、たとえば「アレクサンダー・マックイーン」は2009年に、また「マークジェイコブス」はその翌年にそれぞれ配信を行っていたという。
また、「アレキサンダーワン」は先週から、自社Webサイト上でコレクションの配信を開始。それらのビデオはエンベットを可能にし、ブログなど、ほかのメディアでも利用できるようにした。さらに、「ラルフローレン」では、自社サイトとロンドンの巨大ビルボードでライブ配信を行い、英国人がショーの模様を楽しめるようにしたという。それに加えて、専用のアプリで51本のショーのコンテンツにアクセス出来るようにもしたという。
「『Periscope』は、ブランドと広告主とデザイナーに、まったく新しいビデオの共有手段を与えた。ほかのプラットフォームとは違った感覚を与えてくれる。ライブ配信であり、オーディエンスがエンゲージ可能で、場合によっては力強い影響力を持つことができる」と、先述のTwitter社のファッション・パートナーシップ部門の責任者レイチェル・ドーデス氏は、太鼓判を押す。
いままでなら自分たちでライブ配信をやろうとすると、費用がかさみ、あるエージェンシーの試算によれば、1回のショーに少なくとも2万ドルかかるというが、「Periscope」を活用すれば無料だ。ユーザーが映像の表示画面の左側にコメントを付けられるようにしてあり、消費者が何を好んでいるか、または何を望んでいないかが即座に分かるマーケット・リサーチにもなり得るだろう。匿名で回答したあるバイヤーは「『Periscope』で消費者の反応が見られるのなら、彼らがブランドのパンツについてどんな考えを抱いているのかを解明するのに、いちいち待つ必要が無くなった」と答えていた。
Shareen Pathak (原文 / 訳:南如水)
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