ペプシコ、「健康食品」 スタートアップ の商品開発を支援:ひよこ豆ミルクから豆スナックまで

ひよこ豆ミルク、植物性シーフード、豆スナック。いずれも、ペプシコ(PepsiCo)と聞いて想像する商品ではない。同社の主力商品といえば、マウンテンデュー、ラッフルズ、それにもちろんペプシだ。

しかし、これらは実際に、同社が支援するスタートアップが開発している商品だ。ペプシコは今年11月、米国で栄養食品に特化した6カ月間の開発促進キャンペーンを発足させた。11月12日、ペプシコは米国での支援対象の最初の10社を発表した。対象のスタートアップは、栄養、パフォーマンス(生産性の最大化)、ライフスタイル選択に合わせた食品(ヴィーガンや高たんぱくなど)、持続可能性の4カテゴリーに分類される。

開発促進キャンペーン

これらのスタートアップの商品は、高たんぱくスナック、無糖飲料、栄養バー、植物性食品、サプリメント、ミールソリューション(訳注:ここでは調理過程を簡易化する商品全般)など、多種多様だ。さまざまな消費者の食事とライフスタイルのニーズに合わせた商品の一例として、ソフィーズキッチン(Sophie’s Kitchen)は、グルテンフリー、大豆フリーの植物性シーフードを提供する。また、ルールブレーカースナック(Rule Breaker Snack)が販売するのは、豆を原料とする、8種の主要アレルゲンを含まない製品だ。

各スタートアップには助成金として2万ドル(約225万円)が与えられ、プログラムの最後に1社が10万ドル(約1126万円)を獲得する。ペプシコによれば、最初の2万ドルの支給は「無条件」であり、プログラム期間中にスタートアップの株式を保有することはない。

栄養をテーマにした今回の開発促進キャンペーンは、ペプシコが欧州で実施した同様のプログラムの米国版だ。昨年の欧州プログラムでは8社に資金を提供した。商品には、昆虫スナック、海藻プロテイン、カバノキの樹液飲料などがあった。なお、プログラム終了後にいずれかのスタートアップの株式取得を行ったかどうかについて、ペプシコはコメントを避けている。

ペプシコにおけるメリット

業界ウォッチャーによれば、巨大消費財企業がこのようなプログラムを行うのは、開発プロセスの複雑さやリスク回避の社内文化のせいで自社では生産できない商品を生み出すためだ。

「ペプシコのような巨大食品会社の研究開発部門は、中央集権的かつステージゲート型の意思決定モデルに沿って機能している」と、業界団体スペシャルティ・フード・アソシエーション(Specialty Food Association)のプレジデント、フィル・カファラキス氏はいう。「このシステムは検証と再検証には適しているが、リスクテイキング傾向やトレンドへの感受性は高いとはいえない。だからこそ、スペシャルティ食品の分野が、大手よりもはるかに急成長をとげているのだ」。

マーケティングコンサルタントのジャッジ・グラハム氏は、このプログラムはPRというよりも商品戦略だと指摘する。

「もし価値の高いものが見つかれば、彼らはスタートアップが軌道に乗る前に買収しようとするだろう。この取引はスタートアップにとっても得だ。ペプシコが買わないなら、ほかのアイディアに乗り換えればいい」と、グラハム氏はいう。

ベンチャー支援という流れ

ほかの消費財大企業も、インキュベーションや開発促進のキャンペーンを展開し、注目のスタートアップとの関係構築を図っている。代表例として、キャンベルスープ(Campbell Soup)の1億2500万ドル(約140億円)規模のベンチャーファンド「エーカーベンチャーパートナーズ(Acre Venture Partners)」や、ケロッグ(Kellogg)がスタートアップの少数株取得のために立ち上げた1億ドル(約112億円)の「エイティーン94キャピタル(Eighteen94 Capital)」、ゼネラルミルズ(General Mills)の301 Inc.などがある。

ペプシコは、これ以外にも健康食品ブランドに投資を行っている。たとえば今年10月には、「スーパーフード(Superfood)」スナックバーを製造販売するヘルスウォリアー(Health Warrior)に出資。また昨年8月には、ソーダストリーム(Sodastream)を推定32億ドル(約3605億円)で買収している。

「これはペプシにとって冴えた戦略だ。わずかなコストで、たくさんの俊英たちのアイデアを見渡せる。ペプシコは、新たな大ヒット商品を生み出すイノベーションラボを手に入れたも同然だ」と、グラハム氏は述べた。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)