ペプシコ、コマース事業拡大のため「直販メーカー」を買収:家庭用炭酸飲料マシンのソーダストリーム

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ペプシコ(PepsiCo)が、家庭向け炭酸飲料マシンを販売するイスラエル企業、ソーダストリーム・インターナショナル(SodaStream International)を32億ドル(約3558億円)で買収した。この買収により、ペプシコは直販ブランドとしての存在感を高めることになる。

ペプシコで最高財務責任者(CFO)を務めるヒュー・ジョンストン氏は8月20日(米国時間)、ソーダストリームの買収は、新しいビジネス分野への進出を可能にするものだと語ったが、それだけではない。今回の買収は、オンラインで顧客と直接的な関係を拡大する機会をもたらしてくれるものだ。

買収によるメリット

ソーダストリームは、自社のeコマースサイトとAmazon、それにウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)といった小売企業の店舗とオンラインストアで自社の製品を販売しており、ペプシコに新しい収益源をもたらすことになる。一方のペプシコは、サードパーティセラー(そのほとんどが食料品店)を通じて製品を販売してきた企業だ。今回の買収によって、ペプシコはeコマースへの足がかりを築き、消費者との直接的な関係からより多くのデータを得られるようになるだろう。

「これからは、ペプシコのような大規模な持ち株会社が、消費者との直接的な関係を拡大していくだろう」というのは、eコマースブランドを顧客に持つデータ分析企業ヤグアラ(Yaguara)のCEO、ジョナサン・スモーリー氏だ。「重要なのは、エンドツーエンドのデータを持つことだ。ソーダストリームのような一見小規模な企業を獲得するだけでも、そのような機会を得られるようになる」。

今回の買収についてペプシコにコメントを求めたが、回答は得られなかった。だがスモーリー氏は、消費者の行動パターンを調査することで、ペプシコは消費者に製品を売るベストな方法を見極められるようになると語った。また、製品ラインアップを拡充するうえでどのような買収が効果的なのかを判断できるようになると述べている。さらに、ソーダストリームのマシンをすでに所有し、ソーダストリームのさまざまな製品を熱心に購入している消費者を対象に、新しい製品のテストを行えるようにもなるだろう。

増える直販ブランド

ペプシコがソーダストリームを買収した背景には、健康的な食品に対する需要の増加や、実店舗からオンラインショップへのシフトなど、いくつかのトレンドの拡大があると、調査会社eマーケター(eMarketer)で小売およびeコマース担当アナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は指摘する。ソーダストリームは、Amazonや自社のeコマースサイトを通じて、直販ブランドとしての経験を積んできた。そのノウハウは、「替え刃モデル」と呼ばれる販売手法で収益を高める方法をペプシコが学ぶうえで役立つだろう。替え刃モデルとは、シェーバーやプリンターといった製品本体を安価で提供し、カミソリやカートリッジといった補充品で利益を上げるシステムだ。

「ソーダストリームはこれまで、Amazonで良い業績を上げてきた。そのため、多くの消費財(CPG)ブランドが効率的に利益を上げる方法を見つけ出そうとしている。今回の買収は、そのノウハウを獲得できる効率的な方法だ」と、リプスマン氏は述べている。「飲食品のカテゴリーでAmazonのトップセラー製品を見ると、(コーヒーメーカーを手がける)『キューリグ(Keurig)』とその関連製品が大きな割合を占めている」と、リプスマン氏は語った。

飲食品分野の製品が、Amazonなどのeコマースマーケットプレイスでリーチを拡大しているため、消費者との直接的な関係の構築に乗り出すブランドが増えている。eマーケターによれば、飲食品は米国のAmazonでもっとも急成長しているカテゴリーで、その売上額は対前年比で40%増加したという。ペプシコのeコマースビジネスは、2017年におよそ10億ドル(約112億円)の売上を上げている。

競合他社との比較

eコマースストアを通じて消費者と直接的な関係を構築する手法は、キューリグやネスレネスプレッソ(Nestlé Nespresso)といったブランドではうまくいく可能性がある。だが、これが成功するかどうかは、カスタマーサービスのレベルによって決まることが多い。自宅で炭酸飲料を作ることがトレンドになっていても、この分野はペプシコの主要製品と異なるため、ペプシコは困難に直面する可能性があると、フォレスター・リサーチ(Forrester)の主席アナリスト、スチャリタ・コダリ氏は指摘する。

「ネスプレッソは、eコマースビジネスを大規模に展開しているだけでなく、高品質の優れたサービスを提供している」と、コダリ氏はいう。「私の考えでは、ソーダストリームの取り組みでもっとも素晴らしいのは、プラスチックの利用を減らすというトレンドを追っていることだ。(中略)人々が自宅で飲み物を作ることによって、環境に少しでも貢献しているのだと感じるようになれば、共感を獲得できると思う」。

ペプシコも、以前から製品ラインの多様化に努めている。同社は「パフォーマンス・ウィズ・パーパス(Performance with Purpose)」というビジョンを発表し、より健康的で、環境に配慮した製品カテゴリーでビジネスを展開していくことを明らかにしている。

「我々は、より栄養が高く、より資源を効率的に活用した製品を開発し、その味を高めながら環境フットプリントを削減するという持続可能な取り組みに乗り出すことを明らかにしており、我々のお客様、従業員、パートナーはこのことに満足している」と、ペプシコのCEO、インドラ・ノーイ氏は7月の業績発表の際に語っていた。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)