MANAGING THROUGH CRISIS

第3波にもかかわらず、消費は好調で広告支出も減らない理由 :「消費者の購買意欲は変わらない」

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新型コロナウイルスの第3波という不吉な予測は何カ月ものあいだ話題に上っている。米国では実際に感染が拡大し、病院は逼迫、学校は休学となり、都市や州では新たなロックダウンと安全対策が課され、市民も再度の外出制限に備えている。

だが少なくとも現時点では、メディア企業5社の最高収益責任者(CRO)は一様に、広告主の支出に変化はなく、大きな影響を受けていないと述べている。

春先にはプログラマティック広告の費用支出がひと晩で30%という急落を記録した。さらに広告主の4社に1社が広告出稿を一時的に停止し、2008年の金融危機よりも甚大な経済損失を引き起こすと予測された。しかし今回は、大半の広告主が第4四半期末に向けてメディア広告費を削減する様子はない。

実際のところ、広告業界はコロナ前の状態とはほど遠い。ただし、パンデミックが長期的な経済損失につながるという兆候が見られる一方で、広告業界については回復傾向にある。だが広告主、メディアともに今後の事態の悪化を警戒しており、下半期のような安定性が来年も続くと予測する者は誰ひとりいない。

「次に何が起きるのか把握している」

では春先と現在の大きな違いは何か? 事業を回そうする各社の意思だ。その背景には、今後、新型コロナウイルスと長期にわたってつきあっていかなければならないという暗い予測がある。

匿名を条件に、ある最高収益責任者は「感染者数が急増しているため、各社が広告費を削減するという予測が出てもおかしくない。だが半年前も同じ状況になり、結局は通常レベルにまで戻ったという経緯がある。それゆえ今回は、削減するという意見は出ていない。というよりは、これ以上営業活動を控えることはできないという企業も多く、マーケティングに対する支出が増えている」と明かす。

春先にはロックダウンによってサプライチェーンが大混乱に陥った。だが、これまでのところそういった兆候は見られない。各分野のブランドや小売企業が、この夏のあいだに第3波に備えてきた。リスクの高いサプライチェーンからの脱却や、通常よりも数カ月早い商品の仕入れといった対策が取られた。

また、事態が悪化したときの適切なメッセージングについても理解が進んでいる。「第1波では先の見えない恐怖と不安が国中を駆け巡ったが、第3波は消費者もブランド各社も次に何が起きるのか把握している」と、また別の最高収益責任者は語る。

「汎用的で誰にでも伝わる、かつポジティブで人を勇気づけるような広告メッセージが送られるだろう」。

広告主との信頼関係があってこそ

短期の広告出稿がこれを後押しする。現在、多くの広告主が数週間という短期の広告出稿を行っており、のちに交渉や調整が必要になるような長期間の広告出稿が少ない。

関係者らは、今年多くのパブリッシャーがキャンペーンが開始する数日前であっても、広告主からの要請により、(不本意ながら)広告を流すことを一時停止、あるいは中止したことも影響していると指摘する。

しかし、この柔軟な対応とそれによって構築された信頼関係こそが、今回の広告費用の支出を生み出しているという。

ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)の最高収益責任者、ステファニー・ラップ氏は「春先に起きたことが繰り返されたとしても、良いパートナーになれることは分かっている」と語る。「これからに向けて、柔軟に歩調を合わせて、ともに進んでいけると広告主の信頼を得ているからだ」。

「結局、誰もが買い物をやめない」

最終的には、消費者心理の回復力がもっとも重要な材料になりそうだ。経済協力開発機構は、春先に急落した消費者心理が、7月以降順調に上向きに転じていると報告している。

プログラマティックエージェンシーのWLxJSの共同創業者ジョン・ドナヒュー氏は、「消費者の購買意欲は、それだけ押さえつけがたいもの」と語る。「結局、誰もが買い物をやめない」。

[原文:‘People are gonna shop’ Despite second coronavirus wave, consumer confidence ticks up and brakes on ad spend not slammed yet

MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)