「Facebook広告のボイコットは、正しい決断だった」: パタゴニア が模索する広告購入のあり方

パタゴニア(Patagonia)はFacebookなしでのセールスに備えている。これまでリーチをFacebookに頼ってきたパタゴニアだが、同社のマーケティング・エグゼクティブのひとりによると具体的な変更がおこなわれない限り、Facebookの利用は再開しないとのことだ。

パタゴニアの欧州マーケティングディレクターのアレックス・ウェラー氏は「ソーシャルメディアのプラットフォームたちがヘイトスピーチの流布から収益を上げていることは何ら秘密ではない。この致命的で重要な問題に対する取り組みという点では、Facebookは特に(対策をすることへの)抵抗が一番大きいプラットフォームであり続けている。そのため我々はこの点に関して具体的にアクションを取ることにした」と述べた。

パタゴニアはFacebookのあらゆるマーケットにおける資金を停止させる「利益のためのヘイトを止めろ(Stop Hate for Profit)」キャンペーンに参加した最初のグローバル企業だ。それ以来、アディダス(Adidas)、ベライゾン(Verizon)、そしてコカコーラ(Coca-Cola)がまた同様の動きを見せた。ただし、彼らはキャンペーン自体には参加していない場合もあり、必ずしもまたFacebookから完全に撤退していない企業もある。例えば、ノース・フェイス(The North Face)はアメリカでの(Facebook上の)広告キャンペーンを止めているものの、その他のカナダ、ドイツ、ニュージーランドといったマーケットでは利用を継続している。

Facebookに対する抵抗のスタンスとその理由という点ではこれらのブランドは団結しているものの、彼らが求めている内容は異なる。パタゴニアが求めるのは今後1カ月以内にヘイトスピーチから利益を得ることを止める具体的なアクションに取り組むことだ。それができない場合は、彼らの広告資金を他のプラットフォームに移動させる。リサーチ企業パスマティックス(Pathmatics)によると昨年、パタゴニアはFacebook上の広告支出として620万ドル(約6億6500万円)を費やした。米DIGIDAYはウェラー氏に取材し、Facebookに対する要求や、要求に応えなかった場合のメディア支出はどこに行くのかについて詳しく話を聞いた。

以下は読みやすさのために会話に若干の編集を加えている。

──パタゴニアがFacebookへの支出停止をすることを今決めたのはなぜなのか?

長い時間をかけて高まってきたスタンスだったが今、ヘイトスピーチの流布に対して許容できるレベルを越えた形だ。また根本的に欠陥を抱えるビジネスモデルに対処しようとしない態度も、もはや許容できない。ここ数カ月、特に先月はFacebookの変化を促す要因がたくさん存在したにもかかわらず、大きな変化には結びついていない。このビジネスに資金を投資し続け、(Facebookのビジネスを)サポートし続けることに罪悪感なしではいられない。

──パタゴニアは7月末までにFacebookにどのような変化を求めているのか?

ヘイト、レイシズム、反ユダヤ人主義、気候変動否定、そして公民権や人権の弱体化からFacebookが利益を得るようなビジネスモデルに対するポリシーを変更することを求めている。政治、そして選挙に関する問題における(情報の)正確性にもしっかりとコミットして欲しい。また定期的に独立した第三者機関による監査も受け入れることで、現在そして今後これらの問題に透明性が確保されるように確約して欲しい。

──これらの要求が満たされなければFacebookから永久に撤退するのか?

Facebookがヘイトから利益を得ることを止めることに我々は責任を持って関わっており、その方針は変わらない。どれだけ長い時間がかかろうともそのことを曲げない準備ができている。

──Facebookで使われる予定だった予算はどうなるのか?

パブリッシャーやデジタルプラットフォームとの協働関係については常に慎重に検討してきた。環境問題を中心にしたコミュニティにリーチし、動かすことが(プラットフォームを)使う上での最大の要素だ。そのことは我々のミッションを支えるものであり、Facebookから撤退するという決定を難しいものにした。これまでもどこからメディアを購入するか慎重に考えてきたが、今回はさらにパタゴニアとしてもっとも重要な問題について人々やコミュニティと結びつくためにどのように投資をするべきか、考えを深めるアプローチをとった。どのような会社でありたいか深く考えるチャンスとなっている。メディアの新しい使い方にイノベーションを起こし、テストする機会を与えられている。

──プログラマティック広告の購入方法についても再検討しているのか?

今日のダイナミックな状況ではあらゆることが再検討の対象となっている。我々の業務や我々と協働する企業が環境問題に対するアクションを起こすミッションに貢献すること、そしてこれらの問題に我々の顧客のコミュニティを動員しアクションを起こすことができる限りは、パートナーシップを検討する。今この瞬間、ビジネスとしても自分自身に挑戦し続ける機会を無数に与えられている。

──あなたたちが抱えるメディアチャンネルの中でも最も大きいもののひとつを失うという点で、今が安全なタイミングなのか?

我々やほかブランドがFacebookから撤退するという結果に到るまで、多くの要素があった。そして、そのひとつはメディア支出を止めるのに容易なタイミングである点だ。7月は多くの批評家が指摘したように広告への反応が鈍化する月だ。しかしそれが今アクションを起こした理由ではない。

──このボイコットがパタゴニアのビジネスに与える影響は何か?

パタゴニアはあらゆるマーケットでFacebookとインスタグラムの広告購入を停止した。しかし、今後も両プラットフォームで我々が投稿する環境問題のキャンペーンに関わるオーガニックな投稿が、限られた形ではあるが現れるだろう。Facebookとインスタグラムは予算という点でメインの広告プラットフォームのひとつであるだけでなく、環境問題アクションに関して顧客とのコミュニケーションという点でもメインの場所となっている。この事実は我々のボイコットの決断を支えるものでもあり、同時に困難にするものでもある。Facebookからの撤退はビジネスへの影響があるが、世界的な新型コロナウイルス流行と同様に、今対処しなければならない多くの問題のうちのひとつにすぎない。撤退の決定が我々のビジネスに与える影響に注意を逸されないようにしたい。経済的影響を考慮してボイコットしたのではなく、正しいことだからボイコットしたのだ。

──ボイコットがビジネスに与えた影響の具体例を示して欲しい。

ヨーロッパにおける環境問題の草の根運動や非営利組織のオンライン・キャンペーンを、我々はFacebookを利用して経済的にサポートしている。これらの組織は我々のサポートに頼っているが、それが一定期間中断することになる。現在はこうした組織と協力し、Facebookから撤退しているあいだ彼らを支援する代替手段を模索している。

SEB JOSEPH[原文:Patagonia: Boycotting Facebook ads will lead to an ‘even more thoughtful approach’ to its ad buying](翻訳:塚本 紺、編集:分島 翔平)