FUTURE OF TV

テレビ朝日 が切り拓く、動画広告の「新世界」とは?:独自配信プラットフォーム「 UltraImpression 」の全容

テレビ番組のキャッチアップ(見逃し)配信が、ここ数年で世間に浸透してきた。それに伴い、デジタル動画広告市場では、TVer(ティーバー)のようなキャッチアップ配信サービスの存在感が高まっている。

まさにこうした潮流に乗るべく、テレビ朝日は2019年5月、Supership(スーパーシップ)ホールディングス、サイバーエージェント、電通グループ、博報堂DYメディアパートナーズと共同で、UltraImpression(ウルトラインプレッション)を設立した。UltraImpressionは、国内初となる、テレビ局による動画広告プラットフォーマーだ。

現在、TVerやテレビ朝日の「独自」動画広告プラットフォームであるUltraImpressionでは、テレ朝キャッチアップ、GYAO!、ABEMAといった動画メディアのプレミアムな広告在庫を有している。これらの動画メディアでは、テレビ局が手掛けたコンテンツなどが配信されているため、テレビ同様のブランドセーフな環境が期待できるのだ。

「広告プラットフォームを自ら拵えることは、テレビ朝日がデジタル動画広告市場を取り込んでいくための大きな一歩だった」と、テレビ朝日出身で、UltraImpression代表取締役社長を務める棚田壽典氏は述べる。「現在は、多くの大手広告主から好評価を頂いている」。

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「UltraImpressionの設立は、テレビ朝日にとって大きな一歩だった」と棚田氏

自ら開発することが重要な戦略

メディア環境のデジタル化に合わせ、テレビ局各社はキー局を中心に、どこも動画メディアを提供している。テレビ朝日も同様にテレ朝キャッチアップという動画メディアを展開しているが、これに加え同社は、広告配信プラットフォームも自ら開発することが重要な戦略だと考えた。

「テレビ朝日が、デジタル動画広告市場に参入したのは必然的な流れであり、その流れのなかでUltraImpression設立に至った」と、棚田氏は語る。「コンテンツ配信だけでなく、広告を配信するプラットフォームも自前で所有すれば、市場でのプレゼンス向上が狙える」。

また、Supershipに在籍しつつ、現在はUltraImpressionでプロダクト領域を管轄する大野祐輔氏は、「広告プラットフォームを自前で作り、そこで自らのデータを分析し、プロダクト改善が行える体制は我々にとって財産だ」と語る。

前例がないための苦労も

ただ、テレビ局が広告配信プラットフォームを持つことは、国内では前例がない。そのため、設立に至るまでは苦労もあったという。「テレビ朝日では、自前で広告配信プラットフォームを持つことの重要性は共通認識としてあったが、それを形にするための知見には乏しかった」と、テレビ朝日で広告配信プラットフォーム関連業務を担当してきた棚田氏は説明する。「Supershipをはじめ、さまざまな企業の協力があり、UltraImpressionを立ち上げることができた」。

また、棚田氏と同じくテレビ朝日出身で、UltraImpressionの取締役を務める増村信也氏も、UltraImpression設立直後は「もどかしい瞬間が多々あった」と語る。テレビ朝日の広告営業も務めている同氏は、UltraImpressionに移籍後、「テレビ朝日という看板」の強さを実感したという。後ろ盾があるとはいえ、同社はベンチャー企業だ。「一から事業の内容を説明し、広告主の皆さんからの理解を得るのには、労力と時間がかかった」。

大野氏も、「テレビ局独特な慣習に、最初は戸惑った」と述べる。しかし同氏はその慣習と開発領域での経験を組み合わせ、UltraImpressionでの広告配信に活かすことに務めたという。たとえばキャッチアップ配信では、テレビCMのように複数の広告をひとつの枠に連続して流す場合があるが、大野氏はその際の広告リクエストを効率化し、最適な配信を実現した。また、動画コンテンツの内容を活用した広告配信も進めているという。「テレビ放送業界の慣習を吸収できたのは、非常に良かった」。

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「テレビ放送業界の慣習を吸収できたのは、非常に良かった」と述べる大野氏

UltraImpressionの強み

UltraImpressionの何よりの強みが、ブランドセーフティ。同社と連携する動画メディアのコンテンツは非常に質の高いクオリティを誇っており、CGM(Consumer Generated Media)型のメディアに比べて、その品質や安心感は段違いだ。

ブランド毀損に対しては、昨今多くの広告主が神経を尖らせている。その対策として、ツールを導入する企業も少なくない。だが、そもそもメディアの配信面に問題が発生する余地がなければ、広告主も安心して出稿できるはずだ。棚田氏は「我々が実現しているのは、いわば『究極のブランドセーフティ』だ。コンテンツの品質と信頼性には強い自信を持っている」と述べる。

コンテンツ品質の高さは、ブランドセーフな配信環境だけでなく、広告そのものに対する、没入感の醸成にもつながっている。UltraImpressionが独自に実施した調査によれば、キャッチアップで配信されたCMの視聴完了率は、ほかのインストリーム動画広告と比較して高水準だという。

加えて、Supershipが持つキャリアデータ(※)と、テレビ朝日が持つキャッチアップ配信データもUltraImpressionの武器だ。これらを用いて、多様かつ独自のセグメントで広告配信を行うことができるという。「キャッチアップコンテンツを見ている視聴者が、どのような嗜好を持っているかということは、他社のデータではわからない。それを活用した広告配信も、我々の強みだ」と大野氏は述べる。

※Supershipが取り扱うキャリアデータは、各関連法令を遵守し、適切な情報セキュリティのもと管理・運用しています。また、キャリアデータは全て匿名化されており、個人の氏名、番地を含んだ住所、電話番号、メールアドレスなど、個人の特定につながる情報は含まれません。

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UltraImpressionのサービス概要図

広告主からの高い評価

なお現在、UltraImpressionの広告主は、普段からテレビへ広告出稿をする機会が多い飲料メーカー、自動車メーカー、製薬会社、金融機関といった大手広告主が、その大半を占めている。また、キャッチアップ配信ではドラマ番組が人気であり、F1層 (20~34歳の女性)、F2層(35~49歳の女性)の視聴者が多いことから、女性向けの商材を持つ広告主から評価を受けているという。

UltraImpressionのサービスを活用した多くの広告主から、ブランドリフト値の向上という点で、評価を頂いている」と、増村氏は述べる。認知や興味関心のリフト値に関しては、テレビCMと同じ、もしくはそれ以上の効果が出ているケースも見られているという。「今後は、視聴者のアクション、つまり実売にまで貢献できるような機能も検討していきたい」。

テレビCMと同等、もしくはそれ以上の結果を導き出せる理由のひとつは、オーディエンスの視聴態度にある。テレビの場合、帰宅などのタイミングでスイッチを入れ、ほかに何かをしながらテレビを見る、いわゆる「ながら視聴」が少なくない。その点、キャッチアップ配信の視聴者は、自らアプリを立ち上げて見たい番組を選択しているため、視聴態度が能動的になるのだという。

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「さまざまなカテゴリーの広告主から、高い評価を受けている」と増村氏

多様化するニーズに応える

動画メディアやコネクテッドTVの出現は、テレビ的なコンテンツの視聴スタイルを大きく変えた。かつては家で「テレビ」という固定された機器の前でしか視聴できなかったコンテンツが、PCやスマホ、タブレットといった持ち運びできるデバイスで楽しむことが可能になったのだ。そしてこの流れは今後、5Gの出現でさらに加速することは間違いないだろう。

そんななか、UltraImpressionは、今後どのような展開を考えているのか。

「テレビ局は、コンテンツについてはプロ中のプロだ。そこにアドテクノロジーなど、デジタル分野での知見を掛け合わせることができるのは、我々の強みだ」と、棚田氏は締めくくる。「これからも、最高品質のコンテンツと最先端のテクノロジーを追求していく。それが、多様化する広告主のニーズに応えることになる」。

Sponsored by UltraImpression

Written by DIGIDAY Brand STUDIO(滝口雅志)
Photo by 合田和弘