米国ユタ州パークシティーで開催された、米DIGIDAY主催の「DIGIDAYブランドサミット(Digiday Brand Summit)」。このイベントでは参加マーケターに、それぞれの課題について書き出してもらった。これを通して、いま彼らの頭のなかを占めているものが透けて見えてくる。その内容をまとめて紹介する。
米国ユタ州パークシティーで開催された、米DIGIDAY主催の「DIGIDAYブランドサミット(Digiday Brand Summit)」。
このイベントには、大小さまざまな規模の有名ブランドが参加した。この場において各マーケターに、それぞれの課題について書き出してもらっている。
この試みを通して、いま彼らの頭のなかを占めているものが透けて見えてきた。また、複数のマーケターには自分が考える課題について匿名で説明してもらっている。その内容をまとめて紹介する。
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アトリビューション
複数のタッチポイントがある場合のアトリビューションは、ブランド、とりわけ、オンラインとオフラインの両方にしっかりとしたプレゼンスがあるブランドにとっては、相変わらず重大な課題だ。ある幹部は、「これは大きな問題だ。これについては昔から文句をいっている気がする。問題なのは、プラットフォームごとに違うルールがあることだ。YouTubeで使えるものが、Facebookのライブ動画では使えない。そんなルールがそこらじゅうにあるから、アトリビューションと測定は大変なのだ」。
そして、アトリビューションの話題になると、決まって内輪もめがはじまる。あるeコマース専門家は、オフラインのデジタルキャンペーンの成功を数字にするのは実に難しいという。数字にできないということは、うまくいっていることを経営上層部に納得させるのも難しい。
コンテンツは誰のもの?
内輪もめといえば、コンテンツを巡る押し引きも依然として大きな課題だ。ほとんどのブランドがこの問題を抱えている。コンテンツ計画を策定すると、最終的に実質的な責任をもつのは誰かが問題になる。販売か、マーケティングか、PRか、それともそれ以外の部門か? また、ある出席者が述べたように、オーガニックなコンテンツは、投資利益率(ROI)の計算がさらに難しく、リソース投入の正当化は苦しい戦いになる。
ある人物は、「コンテンツの帰属問題は難しい」と語る。「チームは綿密に計画を立てるだろうが、多くの場合、実行戦略に関しての意思疎通は皆無か、それに近い。責任者の役割を果たす人がいることはまれだ。いまのところ、うちは各部門からひとりずつ人材を提供してチームを作っているが、全員がどこかに所属していて兼任している状況だ。もっとチームが独自の人材を集めて、対処する必要がある」と、この人物は述べた。
多くのブランドは、エージェンシーをコンテンツ制作にまったく関わらせないようにしている。別の出席者は「もっと我々がコントロールする必要がある」と述べた。
ブランディング対ダイレクトマーケティング
予算の行き先を巡る衝突が続いている。販売に直結する施策に使うべきか、それとも「ブランディング」のプロジェクトに使うべきか。ブランドの多くのマーケターがこのふたつで悩んでいる。ブランディングは、ROIが低かった際に都合の良い言い訳として使われることが多い。幹部たちは「そんなことはないはずだ」と釈明つつも、適切なバランスを見つけるのに苦心している。ある出席者は「どちらに力を注ぐべきなのかわからない」と述べた。
インフルエンサーへの過剰な支払い
インフルエンサーへの予算を縮小していると、あるマーケターは話している。ブランドの幹部たちは、インフルエンサー市場は過剰なマネタイズがされており、コンテンツに高い値段をつけるブロガーやインスタグラムのスターがあまりに多いと考えている。また、インフルエンサーマーケティングはこれ以上規模が広がらないという声もある。
ある出席者は、「最初の投稿を予算を使ってとにかく増幅させている。その後、インフルエンサーの投稿を拡散させていくには、どうやるのが一番良いのだろう」と模索していた。
やっかいなミレニアル世代
最後に、ブランドはミレニアル世代やそれ以降のオーディエンスのことをまだ気にしている。ある出席者は「我々はみなミレニアル世代を追いかけているが、この世代に訴求する適切な方法も、そもそもこの世代は気にするべきなのかもわかっていない。この世代は我々が狙うべき対象なのだろうか」と話した。多くのブランドにとって、どのオーディエンス層を、ほかのオーディエンス層を犠牲にしてまでも狙うべきかと議論している。
Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)