オピニオン: ブランドは「コンテンツ内製化」をいかに実現すべきか?

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本記事は、ブランドストラテジストで、社会学の専門家であるアナ・アンドジェリック氏による寄稿です。

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ファッションと美容業界において、既存のブランドも新興ブランドもコンテンツ投資を真剣に行うようになっている。ここで課題となるのが、どこを出発点とすべきか、そしてコンテンツ運用をどのように洗練させていくかだ。結果としてパブリッシャーのコンテンツスタジオやエージェンシーへの外注という選択を行うブランドが多い。

これは実のところ機会損失となっている。より検討を重ねたアプローチをとれば、ブランドがインハウスのコンテンツ機能を確立することは可能なのだ。だがそれには戦略、クリエイティブ、運用という3つの観点からのアプローチが求められる。

戦略

最初に考えるべきことは、コンテンツが企業とブランドの目標を達成するうえで、どのような役割を果たすかだ。企業としてコンテンツに何を求めるかについて、非常に明確なアイデアを社内で取り決める必要がある。目標とすべきは、オーディエンスや短期長期の売上、マーケティング関連の目標(サイトへのトラフィック、新規カスタマーの獲得、知名度の向上、既存のカスタマーを呼び戻すなど)、企業とブランドの成長に関する目標(ブランドの広範囲にわたるサービスを知らしめる、ブランドとしての立場を強める、特定の製品ラインをアピールするなど)のようなものとなる。

ここで大事なのがコンテンツを単体で打ち出すのではなく、ブランド戦略や企業戦略の一貫としてコンテンツ戦略を作り上げることだ。現実的に見て、これを実施するのが困難なブランドも多い。サイロ化された組織やコンテンツ関連の権限が不明確なことなどが理由として挙げられるだろう。だが、トラックスミス(Tracksmith)やラファ(Rapha)、アウトドアボイス(Outdoor Voices)といった小規模ブランドで実際に成功例がある。いずれのブランドもコンテンツとして既存のコミュニティメンバーを広告で取り上げることで、新規カスタマーを増やしている。また、競争やコミュニティの屋外イベントなどを実施して既存のカスタマーを引き止め、繰り返し製品を購入させることに成功している。(アウトドアボイスの愛好家は「ほとんどサブスクリプションと変わらない」と述べている

クリエイティブ

コンテンツは視覚および言語面で明確なブランドメッセージを打ち出す必要がある。メッセージは一貫性が求められ、ブランドによる既存の取り組みと表現を統一すべきだ(パッケージや商品説明、店舗、ウェブサイト、提携企業等)。コンテンツはブランドの活動の場であり、ブランドメッセージを届けて素晴らしいブランド体験を提供するときにもっとも高い効果を発揮する。ブランドが発する言葉はすべてコンテンツなのだ。ブランドの行動も多くはコンテンツとみなされる。だからこそ、競争力と一貫性があり、明瞭で差別化されたブランドメッセージと位置づけが求められる。これをうまくこなせているブランドは少ない。

この点において優れているブランドの一例がイソップ(Aesop)だ。同社はブランドとしての全体戦略に基づき考え抜かれた明確なアプローチを有している。同社のアプローチは寓話的な物語を活用し、元気で充実した人生を送るようオーディエンスに呼びかけている。イソップのあらゆる行動はイソップの位置づけとブランドのアイデンティティー強化を目標としている。たとえば、ローマにある同ブランドの旗艦店のデザインでは映画監督のルカ・グァダニーノ氏と提携し、包装や製品コラボレーションでは3Dファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏と提携している。サイトやソーシャルメディアのコンテンツについても方針は一貫している。このブランドとしてのアイデンティティーは、ブランドの拡大において極めて重要だ。イソップは数多あるブランドと成長の速度と規模で競い合うかわりに、成長しながらも差別化を維持しつづけている。

運用

コンテンツの実装で成功するには、適切な組織構造とプロセスが欠かせない。ブランドはコンテンツのコンセプトを作り上げ、構築し、実装するためにどのような組織が必要かを自らに問い、さらにより幅広い組織のなかでそれが上手くフィットするかを考慮する必要がある。そして適切な人的および技術的リソースと、もっとも迅速かつ効果的な反応が可能なプロセスを見定め、測定と最適化を適切に実施していくことが求められる。

さらに、ロードマップと軸となるやり方を決めて、意思決定のボトルネックをなくす。ブランド戦略やブランド基準、コンテンツ戦略、ソーシャルメディア戦略、KPIといった成功指標などの形で、必ず戦略およびクリエイティブなコンテンツのパラメーターを明確に定めて運用する。こうすることでコンテンツや担当者が企業やブランド全体の目標と同調し、クリエイティブ面でのコンテンツに一貫性が生まれるのだ。

ANA ANDJELIC(原文 / 訳:SI Japan)