H&M で 新設された「多様化推進」部署のトップの1日

スキャンダルの嵐が吹き荒れた冬のあと、グッチ(Gucci)やドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)といったファッションブランド勢は、次々に非人種差別主義を誓い、多大な損失を生む失態を回避するべく、新たな職務を設けた。以下に紹介するのは、H&Mインクルージョン&ダイバーシティ部の新トップであるエズネ・クビアリ氏が、よりインクルーシブな職場への改善を目指し、日々勤しんでいる業務の一部だ。

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ここはニューヨークのオフィス。(月曜の朝)私は出勤したらまず、全員に「おはよう」と声をかけ、続いて、その週の目標について話し合う。私のデスクは人事部のすぐそばにあり、この一連のミーティングもたいていは人事からはじめる。ミーティングの目的は、社内および各店舗の現況を掴むこと。店舗は週末も営業しているから、これは欠かせない。どこかに不安の芽はないのか、つねに目を配っておく。人事部と話し合い、さらにマーケティング部やプレスチームとも顔を合わせ、直近の予定を確認する。

それとは別に、店舗の人々とも連絡を取る。店舗従業員が私にいつでも気軽に連絡できる状態にしておきたい、と思っているのだ。何か問題があっても、直属の上司には話しづらい場合もあるから。また、カスタマーサービスセンターにも連絡を入れ、ソーシャルメディア上に対応したい事柄がないか、確認する。

この職務は生まれたばかりだから、日々の業務が具体的にどのようなものなのか、私の席はそもそもどこにあるべきなのか、まだいわば手探りの状態だ。もっとも緊密に連携を取っているのは人事部。ここは、人事部のなかにある独立した部署になる。

主な業務の中身

私の業務は、ふたつに大別されると考えている――内部的な業務と外部的な業務だ。タレントプールはどこにあるのか? 社内のダイバーシティをどうしたら進化させられるのか? 多種多様なバックグラウンドを持つ社員たちそれぞれの定着率はどれくらいなのか? これらはどれも内部的なものだ。外部的なものでは、社内の経験を世の中と共有することや、私たちが発信するものにダイバーシティ&インクルーシビティの重要性を確実に反映させること、などがある。

たとえば、不満を感じている従業員がいて、人種やその類のせいで、自分は疎外されていると感じているとする。私はその人物と一対一で会い、何が問題なのか、詳しく話を聞く。状況にもよるが、私の経験上、多くの場合、そういう方々は話を聞いて欲しいと思っている。自分の話を親身になって聞いてくれる人がいるとわかるだけで、安心できるのだ。私自身もマイノリティだ。それはよくわかっている。多くの場合、私という存在自体に大きな意味があるのだ。

もっと深刻な問題の場合、本格的な調査をするのは私ではない。ほかの誰かが行なう。だが、提案や助言は、皆で一丸となって考える。

外部的な業務も、基本的には同じだ。たとえば、最近は幸いにも、ソーシャルメディア上で惨事は起きていないが、社にはソーシャルメディア専門のチームがあり、社の活動に対して人々がどう反応しているのか、つねにモニターしている。万が一、反発の動きや怒りを露わにしている人を見つけた場合、彼らはすぐに連絡を入れてくれる。それを受けて、私たちはチームとして対応を決めるのだ。

職務上のやりがい

いわゆるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見/思い込みに気づく)トレーニングも実施した。この部署はまったくもって新しいものだから、まずは社員全員に、インクルージョン&ダイバーシティの意味をしっかりと理解して欲しかったのだ。

1日の最後にするのが、予定表のアップデート。トレーニングプログラムを提供したい会社、パートナーシップを結びたい新規ソフトウェア会社やコミュニティ組織など、毎日、さまざまなところから打診がある。基本的に、そういうコミュニティ組織には連絡を入れ、社にとって有益なものを提供してもらえるのかどうか、見定めるために話を聞く。

日々の行動は、週によってまったく異なる。来週は、人事関係の大きな会合を開くことになっていて、雇用や保持などについて話し合う。一方、先週は社外で、ダイバーシティに関するパネルディスカッションに参加した。別の週には、アフリカ系アメリカ人歴史月間(Black History Month)に関するさまざまな活動の監督をしていた。予想外だった点をひとつ挙げるとすれば、店舗スタッフにとっての心の師と言うか、彼らが本音を打ち明けられる人、という役を担うことになった点だ。それまでの仕事にはなかったものだ。実際、この職務は私だけでなく、全社員にとって、まだ馴染みがない。彼らには早く、個々の意見には大きな意味がある、ということに気づいて欲しい。そのための機会を提供できることに、大いにやりがいを感じている。

Danny Parisi(原文 / 訳:SI Japan)