夏向けの新アルコール製品を、いかに売り続けるか?:米で人気のハードセルツァー

この夏、アルコール入り炭酸飲料のカテゴリー、ハードセルツァー(hard seltzer)がアメリカを席巻した

この分野のトップ・ブランドに君臨する、ホワイトクロー(White Claw)を打倒すべく、パブストブルーリボン(Pabst Blue Ribbon)からナッティー・ライト(Natty Light)、そしてスミルノフ(Smirnoff)に至るまで、多数のアルコールブランドが自分たちなりのハードセルツァーを展開した。

そして、夏が過ぎたあとも、アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)は彼らのハードセルツァー、ボン・アンド・ヴィヴ(Bon & Viv)を引き続き売り上げようと狙っている。そのため、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(A-B InBev)はNFLと契約を結び、ボン・アンド・ヴィヴ秋のマーケティング予算のうち80%をNFLとのパートナーシップに費やす計画だ。これにはNFLの試合中のテレビCM、NFLのウェブサイト上のデジタルバナーやスポット、そしてTwitterとのパートナー契約が含まれる。

「アメリカ人の60%はまだハードセルツァーについて知らないが、彼らにリーチしようとしている。セルツァーを巡る争いが起きていると考えているかもしれないが、アメリカという国の東海岸と西海岸で行われているだけだ。この新しいプロダクトを全国の人々に紹介するためにはやらなければいけないことがたくさんある」と、アンハイザー・ブッシュのビヨンド・ビールブランド部門バイスプレジデントであるチェルシー・フィリップス氏は言う。

パートナーシップの中身

NFLは高いリーチと男女ともに幅広い年齢のオーディエンスを抱えているため、このパートナーシップは理に適っていると、フィリップス氏は言う。夏の方がハードセルツァーを飲むのが「より直感的にうってつけな」季節ではあるものの、年中を通して飲んでもらう習慣を売り込もうとしているようだ。その例がフットボールの試合観戦やホリデー・シーズンとなる。

ボン・アンド・ヴィヴの広告がNFLとパートナーのもとで行われるのは、この秋がはじめてではない。2月には30秒のスポットでスーパーボウルにおけるCMデビューを行っている。データ・コンサルタントのカンター(Kantar)によると、彼らの2019年の第2四半期メディア支出は900万ドル(約9.7億円)であった。これは第1四半期の650万ドル(約7億円)から大きく増加している。カンターはソーシャル支出をトラッキングしていない。この秋のメディア支出がどの規模になるか、まだ明確ではなく、この点に関してはメールでの返答はなかった。

フルサービスのコマースエージェンシーであるゼーナー(Zehner)の共同ファウンダーでありCEOのマシュー・ゼーナー氏は、ボン・アンド・ヴィヴを夏の飲み物から年間を通したプロダクトへと移行させることは理に適っていると述べる。非ビール分野には消費者の嗜好が集まりつつあり、アンハイザー・ブッシュ・インベブはそこにパフォーマンスの高いブランドを持ちたいと考えているのだろう、と付け加えた。ハードセルツァー分野を勝ち取ること自体も、彼らにとっては自明の目標だろう。この分野はすでに5億5000万ドル(約595億円)の市場価値を抱えていると報じられており、ファイナンス企業UBSの推計ではこれは2021年までに25億ドル(約2700億円)へと成長する予測されている。

「非常に若いカテゴリー」

ボン・アンド・ヴィヴはエージェンシーを起用している。ブリッシュ(Bullish)は彼らの指名エージェンシーでもあり、社内エージェンシーだ。NFLパートナーシップのコンテンツ制作については、その大部分がアンハイザー・ブッシュ・インベブの社内エージェンシー、ドラフトライン(Draftline)に任される。フィリップス氏によると、これはNFLシーズンの早いペースと、リアルタイムで反応してコンテンツを作る必要性からだ、とのことだ。

「ブランデッドコンテンツについて考えると、制作をするのは、それを流す数カ月前だ。今回の場合、ソーシャルとデジタル環境において我々ができること、そしてドラフトラインのできることを考慮すれば、フットボールにおいて現在進行系で起きている出来事に素早く反応してクリエイティブを作ることができる。会話のなかに我々の存在感を生み出し、ブランドとしての我々がどのような存在かを人々に気付いてもらい、そのうえでスポンサーシップやパートナーシップを活用する。そんな素晴らしい手法となっている」と、フィリップス氏は語った。

全体では、ボン・アンド・ヴィヴはマーケティング予算の60%をテレビに、40%をデジタルとソーシャルのチャンネルに費やしている。ソーシャル支出の内訳がどうなるか、具体的な数字は明かさなかったが、ソーシャルチャンネルのなかでは、インスタグラム(Instagram)がトップの支出となっていると述べた。

「これはまだ、非常に若いカテゴリーとプロダクトだ。テレビを通じてブランド認知を高めようとしている。ブランド紹介メッセージで人々にリーチするにはテレビがもっとも容易な場所である。それからソーシャルを通じたリターゲティングだ」と、フィリップス氏は語った。

Kristina Monllos(原文 / 訳:塚本 紺)