ランニングシューズブランドのオン(On)の親会社であるオンホールディング(On Holding)は、強力な品揃えと、D2C(ダイレクト販売)売上の急増によって、今年も堅実な成長に向かって着実に走り続けている。
オンは8月15日の朝、第2四半期業績で売上高が4億4430万スイスフラン(5億720万ドル、約741億円)に達し、6四半期連続して過去最高の純売上を達成したと発表した。また、「第3四半期に入っても勢いが続いている」ことと、「小売パートナーから良好なフィードバックを受けている」ことを理由に、2023年度の残りの期間についての業績予想を引き上げた。
パフォーマンス重視のほかのランニング用品ブランドと同じく、パンデミックのあいだにランニングなどの屋外活動への関心が新たに高まったことを主な理由として、オンの売上はこの数年間で急増した。だがアシックス(Asics)やホカ(Hoka)と比べて、オンはシューズの技術、プレミアムな価格帯、およびプロテニス選手のロジャー・フェデラー氏やイガ・シフィオンテク氏など有力なアスリートとの提携によって、自社の差別化に成功した。オンは2021年9月に株式を公開し、株価は47%以上急騰して、時価総額は113億5000万ドル(約1兆6600億円)に達した。それ以降も事業は成長を続けている。現在で60カ国以上で展開し、過去24カ月の間にクラウドブームエコー3(Cloud Boom Echo 3)を含む6つの新しいパフォーマンスシューズを発売した。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
ランニングシューズブランドのオン(On)の親会社であるオンホールディング(On Holding)は、強力な品揃えと、D2C(ダイレクト販売)売上の急増によって、今年も堅実な成長に向かって着実に走り続けている。
オンは8月15日の朝、第2四半期業績で売上高が4億4430万スイスフラン(5億720万ドル、約741億円)に達し、6四半期連続して過去最高の純売上を達成したと発表した。また、「第3四半期に入っても勢いが続いている」ことと、「小売パートナーから良好なフィードバックを受けている」ことを理由に、2023年度の残りの期間についての業績予想を引き上げた。
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パフォーマンス重視のほかのランニング用品ブランドと同じく、パンデミックのあいだにランニングなどの屋外活動への関心が新たに高まったことを主な理由として、オンの売上はこの数年間で急増した。だがアシックス(Asics)やホカ(Hoka)と比べて、オンはシューズの技術、プレミアムな価格帯、およびプロテニス選手のロジャー・フェデラー氏やイガ・シフィオンテク氏など有力なアスリートとの提携によって、自社の差別化に成功した。オンは2021年9月に株式を公開し、株価は47%以上急騰して、時価総額は113億5000万ドル(約1兆6600億円)に達した。それ以降も事業は成長を続けている。現在で60カ国以上で展開し、過去24カ月の間にクラウドブームエコー3(Cloud Boom Echo 3)を含む6つの新しいパフォーマンスシューズを発売した。
D2Cが急速に伸長
オンはディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)や、JDスポーツ(JD Sports)、フットロッカー(Foot Locker)など多くの卸売業者と提携しており、これまでは卸売が主に売上を推進してきた。しかし現在は、店舗とオンラインでの買い物に関心を持つ買い物客が増えていることから、D2Cチャネルが盛況だ。ニューヨークや東京など主要な市場に直営店を持ち、スポーツ関連ビジネスメディアのSGIヨーロッパ(SGI Europe)によると、この夏にはパリに新店舗をオープンする。
実際に共同CEOのマーティン・ホフマン氏は、2023年の第2四半期において、D2Cはオンにとって「もっとも急速に成長しているチャネル」だと、決算発表で発表した。オンの第2四半期のD2C売上高は前年同期比54.7%増の1億6350万スイスフラン(1億8665万ドル、約273億円)と過去最高売上を記録した。また、eコマースサイトへのトラフィックも前年同期比で75%以上増え、「過去最高」だったと同氏は述べた。
卸売とD2Cとの両立
2022年の第2四半期において、オンはD2Cで1億560万スイスフラン(1億2030万ドル、約176億円)の純売上をあげたと発表した。同四半期の合計純売上は2億9170万スイスフラン(3億3232万ドル、約176億円)だった。
ホフマン氏は、「D2Cチャネルの優れた業績は、卸売と直販のバランスをとり、世界中のファンとの直接的な強い絆を築くために、一貫したイノベーションを市場にもたらす我々の能力を証明するものだ」と15日の電話会議で語った。
これは、オンが卸売をやめるということではない。オンの商品は、REI(アールイーアイ)やフットロッカーなどの大手小売店だけでなく、何千もの個人運営のブティックでも販売されており、オンは卸売とD2Cが両立できるものだと考えている。これら2つのチャネルは「互いに補完的であるとともに、増強し合うものでもある」と共同創設者のカスパー・コペッティ氏は昨年9月末、米モダンリテールに語った。「小売業者と提携をすると、その地域のオンライン売上が増加する」。
吟味された卸売パートナー
しかし、オンはどんな卸売業者とでも協力するわけではない。同社は当初、いくつかの小売業者との提携を見送ったが、それによってブランドは選択眼を養うことができたとコペッティ氏は付け加えた。ホフマン氏は15日の決算発表で、「以前に伝えたように、有意義で整理された顧客基盤を持つ業者のみを受け入れることで、我々の主要な卸売パートナーシップを精選して拡大することを計画している」と説明した。
テルシー・アドバイザリー・グループ(Telsey Advisory Group)のシニア調査アナリストを務めるクリスティーナ・フェルナンデス氏は、ブランドの認知の拡大や新商品の成功と並び、卸売パートナーシップの拡大がオンの業績好調の一因だと語った。オンの第2四半期の結果は全体として、「非常に優れた成長を続けているブランドであることを示している」と同氏は述べた。
オンは今後に向けて、新商品を開発中だという。共同創設者のデビッド・アレマン氏は15日、新しいランニング用アパレルの発売を示唆し、今後もトレイルへの注力を続け、より軽量なモデルを加えていくと語った。また、第2世代のロジャープロ(Roger Pro)やクッション機能を強化したクラウドモンスター(Cloud Monster)など、パフォーマンスフランチャイズもアップデートを加えていくという。
[原文:On continues to post record sales thanks to DTC growth]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via On