BEAUTY

P&G「オールドスパイス」、初の理髪店をオハイオ州に開店

P&Gの歴史ある男性用デオドラントブランド「オールドスパイス」がリーチ拡大のため、小売拠点を兼ねた理髪店をオハイオ州コロンバスに開店する。

同ブランドはD2CのECチャネルを運営しているが、実店舗を持つのは今回が初めて。店舗はオハイオ州立大学からほど近いショッピング街に位置しており、木製ボートの形をした受付カウンターや髪型の3Dモデルなど、インスタ映えしそうな要素も豊富だ。

理髪店と小売スペースのほかには、顧客がデジタルコンテンツをその場で制作して、ソーシャルメディアでシェアできるスタジオも設置。著名な理容師やその顧客であるセレブリティを招き、ソーシャルメディア用のコンテンツ撮影や、交流会を催すことも可能だ。オールドスパイスのヘアケア製品のブランドディレクター、レイフ・エドガー氏によると、12カ月間で5万人を店舗に迎えることを目標に掲げているという。

「企業色を前面に出した、息苦しい場にはしたくない。我々の製品をただ売るだけでなく、リテールの視点に立ち、ライフスタイルブランドがよく実施するような一度限りのコラボレーションや限定販売などに、店舗を活用していく計画だ」。

ここに出店した、さまざまな理由

コンテンツ制作と商品プロモーションが主な目的であるため、オールドスパイスは店舗でどれだけ多くのコンテンツを、いかに早く作れるかに重点を置いている。こうすることで、小売パートナー(たとえばウォルマート)が独自のデジタルチャネルでのプロモーションに使うための、タイムリーかつ新しいブランデッドコンテンツへのニーズも満たすことができる。

だが旗艦店の設置という物理的な側面には、ソーシャルメディア以外にもさまざまな活用方法を見出せる。同社が店舗の場所をここに選んだのは、若い男子大学生が集まる場所に近く、多種多様な人々が地域に暮らしていることが主な理由だ。オハイオ州立大学によると、同大学の学生の24%はBIPOC(黒人、先住民族、有色人種)だという。より進歩的な考え方の若年層に訴求するため、オールドスパイスは昨年1月に、有名な2010年のテレビCMを刷新した。

「この旗艦店が成功すれば、ほかのマーケットや都市にも理髪店を拡大する可能性が見えてくる。人口規模が同じくらいの都市や、主要な学園都市を検討している」とエドガー氏は語る。

エドガー氏は、リース料や店舗設計にかかった費用を明らかにしていないが、店舗の近隣にある商業施設は1平方フィートあたり38ドル(約4170円:本稿執筆時点)だと宣伝されていたため、旗艦店のリース料は年間13万3000ドル(1459万円)ほどだと推計できる。

将来的には理髪店のコンセプトを再構築し、小売パートナーとショップ・イン・ショップ(店舗内に別の店舗が出店する)で提携するようなことも考えられるとエドガー氏は展望を語る。すでにアルタ(Ulta)はこの店舗で、女性向けのスタイリングサービスを提供している。

「この旗艦店と何を結び付けたいか」

「小売業のトランザクションの部分は効率化が進み、人々がオンラインで購入し、柔軟なフルフィルメント(商品注文から配送完了まで)を利用することが快適になった。このことによって、空間の活用方法をもっと掘り下げて考えることができるようになる」と、ザ・ライオネスク・グループ(The Lionesque Group)のCEO兼チーフストラテジストのメリッサ・ゴンザレス氏は語る。

「長期間にわたって展開するならば、オールドスパイスはこの旗艦店と何を結び付けたいかという点で、戦略的でなければならない」と、小売コンサルティング会社ポップ・アップ・モブ(Pop Up Mob)の共同創立者、アナ・ペルカルテ氏は語る。「開店当初は物珍しさもあって楽しんでもらえるが、数カ月も経てば飽きられてしまう。同じ体験を、年間を通して提供することはできない」。

店が一般向けに公開される3月1日までは、ソフトオープンとして営業。年間5万人の来店を目指すということは、1日当たり136人という計算になるため、COVID-19対策にも注意を払う必要がある。8つの理容椅子は6フィート(約1.8メートル)間隔で設置し、空気清浄システムも導入した。現時点では大々的な来店促進策を展開していないが、「日常に戻れば」交流イベントやメディアエンゲージメントを行うマーケティングハブとなるだろう。また、オハイオ州コロンバス地域の男性の8割にリーチすることが目標であるとも、エドガー氏は述べた。

[原文:Old Spice opens first flagship barbershop, in Ohio

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)
Courtesy of Old Spice