ニックスプロフェッショナルメイクアップ(NYX Professional Makeup)は、ショートビデオプラットフォームのTriller(トリラー)で新たなライブストリームショッピングを開始した。画面上に「今すぐ購入」ボタンを表示し、ブランドサイトにリンクしている。
ビューティブランドがソーシャルコマースへの投資を続けるなか、ニックスプロフェッショナルメイクアップ(NYX Professional Makeup)は、ショートビデオプラットフォームのTriller(トリラー)で新たなライブストリームショッピングを開始した。
7月8日、ニックスコスメティクスはTrillerのライブストリーミングセクション「TrillerTV」で、ランス・バス氏やブランディ氏、ジョジョ氏といった2000年代前半のポップスターたちを起用したショッパブルビデオによるイベントを主催。「スローバック(懐かしい思い出を振り返る)」をテーマにしたそのライブストリームでは、それらのセレブたちがニックスコスメティクス2021年秋のコレクションアイテムを使ってY2Kルックの再現に挑戦する様子が映し出され、購入ボタンがブランド公式サイトのコレクションページへとリンクされていた。Trillerのホームページおよびニックスコスメティクスのインスタグラムアカウントでもプロモーションが行われたほか、ブランドのSMSリストではランス・バス氏に会えるチャンスを提供した。
Advertisement
2000年代ブームが美容業界へ
このキャンペーンは、2000年代を懐かしむトレンドが美容業界にも波及していることを示す最新の例だ。ニックスコスメティクスのキャンペーンでは、「過去を受け入れ、新たにひねりを効かせた」と同ブランドのマーケティング担当シニアバイスプレジデントのヤスミン・ダストマルチ氏は説明する。
「私たちがターゲットとしているのは、自分を表現したがっている、ブランドの核となるZ世代やミレニアル世代の消費者やコミュニティである。90年代や2000年代のテーマは彼ら世代の共感を呼ぶことがわかっている。これまでにも90年代から2000年代をテ題材にしたビューティプロモーションはいくつも行われてきた。たとえば、ヘアカラーブランドのハリー(Hally)はたまごっちなど2000年代のおもちゃをおまけにしたハッピーセットをローンチしているし、化粧品ブランドのカラーポップは当時流行したドラマ『リジー&Lizzie(原題:Lizzie McGuire)』をテーマにしたコラボを行っている。アイラッシュやネイルのグラムネティック(Glamnetic)はY2Kをテーマにしたネイルチップ、付け毛ブランドのINHヘア(INH Hair)はケアベア™(クマのキャラクター)コレクションを発売している」。
2020年12月には、ニックスコスメティクスのショッパブルなARスナップチャットレンズがSnapchat(スナップチャット)とTrillerの両方に登場した。今回のTrillerでのプロモーションも、同ブランドがZ世代のプラットフォームの新機能を採用した一例だ。ニックスコスメティクスは、ビューティブランドとしてはTikTokにおける初期の広告主でもあり、最近では6月23日にプロのeスポーツ団体「ディグニタス(Dignitas)」の公式ビューティパートナーになったことを発表するなど、グローバルな化粧品ブランドとしてeスポーツのチームと提携した初のブランドになっている。
注目されつつあるTrillerとは
Trillerは、2020年秋にトランプ政権によるTikTok禁止が懸念された際、その代替手段として初めてメディアから広く注目を集めた。それ以降は有名人が多く出演するボクシング試合『Triller Fight Club』が大きな反響を呼ぶなど、TrillerTV機能はエンターテインメントの分野で話題になっている。また、さまざまな大手ブランドが広告を出しており、美容関連では、E.l.f.(エルフ)もTrillerで積極的に活動している。
Trillerは競合他社のTikTokに続いてショッピング可能なライブストリーミングを展開している。TikTokは12月にウォルマート向けに初めてその機能を導入したが、インスタグラムはそれに先立つ1年以上前に導入していた。TikTokやインスタグラムのライブストリーミングショッピングでは、ホストが話しているあいだに画面上に商品リストが表示されるが、現在Trillerでは、「今すぐ購入」ボタンをブランドサイトにリンクしている。
今後のライブショッピングの可能性
ブランドの対面式の活動が再開されつつあるなか、ニックスコスメティクスはバーチャルと対面式のハイブリッドなアプローチをイベントに採用する予定だ。「ポストコロナの世界へと移行するなかで、今後もオフラインとオンラインのよりシームレスな体験を作り続け、将来的なキャンペーンに向けて一貫性を持たせていくつもりだ」とダストマルチ氏は述べた。
インスタグラムやAmazonのライブストリームショッピング機能にも積極的に取り組んでいるニックスコスメティクスは、人々が物理的なショップに戻ってくるとしても、ライブストリームショッピングの力は衰えないと考えている。「これはまだ我々にとって実験中の動きではあるが、ライブストリームショッピングは今後も存続し、ブランドを成長させるチャネルであり続けると信じている」。
[原文:NYX Cosmetics becomes first brand to use Triller’s livestream shopping]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida、編集:山岸祐加子)