「フリーランサーは、仕事を奪いに来たのではない」:インハウスエージェンシーで働くフリーランサーの告白

DIGIDAY無料メルマガに登録しませんか?

平日朝9時にマーケティング業界の最新情報をお届けします。利用規約を確認


大手マーケターがより多くを自分でコントロールしようとするなか、インハウスエージェンシーを構築するところもあれば、フリーランサーをもっと利用しようとするところさえある。そうしたマーケターは、外部のエージェンシーを雇うのではなくフリーランサーを使うことで、自社でしっかりコントロールしながら、外部の視点も採り入れられる。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回は、インハウスエージェンシーで仕事をすることが多いフリーランスのコンサルタントが、社内の権力闘争を切り抜けることの難しさを語り、自分がセラピストになったような気がすることがあると話した。

インタビューは読みやすさを考えて編集してある。

──インハウスエージェンシーでフリーランスとして働く理由は?

個人で多くのクライアントを抱えて仕事をする場合と違って、社内でフリーランスで働くと守られる。契約期間は通常3カ月だし、期間が長いので、ほかのクライアントと仕事をするより高いレートの報酬が得られる。ブランドのことがよくわかるので、私はこの方が好きだ。1回限りのキャンペーンをやろうとしているわけではない。

だが、社内でフリーランスで働いていると、コンサルタントの役割を果たすだけで終わってしまうことがある。あるプロジェクトに関わりながら、それまで一緒に働いたことがない企業の歴史的過程も理解していくことになる。だから、医師やセラピストみたいに悪いところを診断して処方箋を書いているような気分になる。

──コンサルタント的な役割を担うということだが、内部の権力闘争をどうやって乗り越える?

問題点を人に伝えるのには技術がある。どこがまずいかを言って回る前に、まずは企業内の力関係や経営構造を理解しなければならない。何かがうまくいっていないとわかっている人がいることは多い。だが、彼らは日々の固定業務に追われ、それに慣れてしまっている。

それは彼らでは修正できない。変化には抵抗が付きものだ。パズルのピースをつなげるようなもので、何が誰かの引き金を引き、何が引かないかを理解しなければならない。フリーランサーはそこに数カ月しかいないのだから、うまく機能しているものとしていないものは、社内の従業員に教えてもらうのだ。

──問題の一例を挙げてもらえるか?

スタートアップのなかには、創業したときに入った人間が責任者になっていて、もっとベテランの従業員が彼らに報告をするようなチーム構造になっているところがある。こうなると、経営幹部レベルの戦略と中間レベルの従業員たちは噛み合わないかもしれない。

だから何かを壊さなくてはならないが、そこに長くいる従業員は変えることを躊躇しがちだ。中間レベルの従業員は、変化が必要だとわかっているが、トップにいる人たちは強い縄張り意識を持っているので、それを言い出せずにいる。

──社内の人間よりフリーランサーの言葉に耳を傾けやすいのはなぜ?

過小評価されていると感じていて、繊細で燃え尽きた人々の話を聞いているが、新しいプロセスを実行に移そうとすることは難しい。だが、一時的に社内に入り込んだコンサルタントなら、「これはあなたがやりたいと言ったことで、私がここにいるあいだにそれをやるには数カ月しかない」というように根拠を示せる。(従業員なら)何かを起こすのに時間制限はない。

自分がここにいる時間は限られているので、周囲の人々の背中を少し強めに押すことができるし、すでに決まっている予算のうちの一定の部分をそこに向けることにも彼らは同意してくれた。何かを動かせれば、少しは手応えを感じる。

──社内にいる従業員とどうやって関係を築いていくのか?

コミュニケーションはほとんど、Slack(スラック)を通じてデジタルで進めている。私はオフィスにほんの数時間しかいないのだから、一緒にランチに行ったりコーヒーを飲みに行ったりするのは難しい。フリーランスになってから、時間の見方が変わった。働く時間は8時間しかないのだから、持ち時間を最大限に活かす必要がある。

──フリーランサーについてインハウスエージェンシーの従業員に理解してほしいことは?

我々は彼らの仕事を奪いにきたのではないとわかってほしい。我々は社内に取り込まれたくはない。ただ、彼らが生活しやすいようにして、報酬をもらって去っていくだけだ。

Kristina Monllos(原文 / 訳:ガリレオ)