「顧客のプライベートレーベル化はしない」:アリババとオフィス・デポ、小規模事業向けビジネスで提携

アリババ(阿里巴巴)と事務用品販売大手オフィス・デポ(Office Depot)が提携し、Amazon Businessに対抗するべく、アメリカで共同BtoBサイトを立ち上げる。

この新オンラインマーケットプレイス、オフィス・デポ・オン・アリババ・ドットコム(Office Depot on Alibaba.com)では、中小企業が1万5000以上ものサプライヤーからなるアリババのグローバルネットワークから商品/サービスを購入できるようになる。アリババは一方、オフィス・デポのフルフィルメントシステムを利用し、配達時間を短縮できる。また、オフィス・デポ商品のオンラインおよび店内割引品も同サイトで販売していく。

今回の業務提携は、ビジネスサービスへの注力を進めるオフィス・デポが打ち出す新たな一手だ。オフィス・デポは既存店舗のコワーキングスペースとしての活用も2019年初頭から本格的に開始している。オフィス・デポはコンシューマーサービス会社として創業したが、家庭および事務用品をAmazonといった通販サイトで購入する人が増えたことにより、同分野で打撃を受けていた。

一方、アリババにとってこれは、米国進出の突破口になりうる興味深い分野だ。同社はTモール(Tmall)での米DTCブランドおよび高級品の販売により、中国で成功を収めているが、 米リテーラーとの本格的提携は今回が初となる。

オフィス・デポとスモールビジネス(小規模事業主)との親密な関係性を前面に押し出すのがアリババの戦略であり、同社はこの提携を、梱包や販売に関するルールを絶え間なく変えるAmazonに辟易しているスモールビジネスを惹き付ける絶好の機会と見ている。彼らはまた、従来型のリテーラーとの提携にはマーケティング面での利点もあると考えている。

双方トップの見解

「オフィス・デポは、ここ米国のスモールビジネスと個々に親密な関係を築いている。その高い信頼性を存分に活用し、Alibaba.comの強大な力と広域性をもってすれば、スモールビジネスへの支援を効果的に推進できると考えている」と、アリババ側のノース・アメリカBtoBのトップ、ジョン・キャプラン氏は語る。

Amazonの法人向けサービスであるAmazon Businessは2018年の売上高が100億ドル(約1.1兆円)に達する見込みを発表している。この強大なライバルといかに勝負するのか、との問いに対し、オフィス・デポCEOジェリー・スミス氏との共同インタビューの席において、キャプラン氏から直接の回答はなかった。ただ、スミス氏はAmazonが批判を受けた過去の行動に触れ、オフィス・デポとアリババが行なわないことについて、いくつか例を挙げた。

「我々はこれを米ビジネスオーナーたちに友好的なプラットフォームにしたいと、心から考えている。この違いは非常に重要だ。我々は顧客のプライベートレーベル化はしないし、データをかき集めることもしない。[中小企業に]時間と経費を節約してもらえる、信頼の置けるプラットフォームを構築していく」と、スミスは語った。同社は中小企業主をターゲットとしており、自らを彼らと製造業者、双方にとっての友好的なパートナーと位置づけている。

スミス氏いわく、アリババと協議を始めたのは2018年5月、オフィス・デポのインベスターデイ後のことで、同社はその場で中小規模の企業に向けたオンラインマーケットプレイスを設立したい旨を伝えたという。

米国ではなじみの薄いアリババを宣伝するため、オフィス・デポは1800の販売代理店を介し、オフィス・デポの顧客に働きかけていく。同社はまた、インストアブランディングでアリババのマーケットプレイスも販促していく。

第三者たちの見方

市場調査会社イーマーケター(eMarketer)のリテール/eコマースアナリスト、アンドルー・リップスマン氏は、小規模事業主は大半がAmazonを使い慣れているため、オフィス・デポとアリババは苦戦を強いられることになると指摘する。同氏いわく、両社が顧客を勝ち取るには、Amazonよりも友好的なプラットフォームを提供するだけでは足りず、よりシームレスな商品購入体験を創造していく必要があるという。

「とはいえ、彼らはAmazonにおける購買プロセスを前提にBtoB購買プロセスを捉えており、それはつまり、購入者が移行しやすいということでもある。実際の話、顧客がいったん移行したら、引き戻すのは容易ではないともいえる」と、リップスマンは語る。

フランスに拠点を置く大手広告代理店ピュブリシス(Publicis)のチーフコマースストラテジーオフィサー、ジェイソン・ゴールドバーグ氏も、アリババといった既存のマーケットプレイスの利用を決めたオフィス・デポの判断は、万が一両社の関係が壊れた場合、「その時点ですでに、全顧客がAlibaba.comをブックマークしていることになる」ため、リスクが大きいと指摘する。

いずれにせよ、このAmazon時代において、エンドレスアイル(「終わりのない通路」の意味:参考)を持てる機会は魅力的だ。リップスマン氏いわく、「アリババを利用し、エンドレスアイルを手にできれば、競争力は格段に上がる」。

Anna Hensel(原文 / 訳:SI Japan)