コロナ禍によって、実店舗で先行き不透明感が強まっているが、企業にとっては、専門知識やデジタルで知られているサービス店舗を強化するチャンスだ。そう、ユニリーバ(Unilever)のプレスティッジグループ(Prestige Group)でCEO兼エグゼクティブバイスプレジデントを務めるヴァシリキ・ペトルー氏は語る。
新型コロナウイルスのパンデミックによって、実店舗で先行き不透明感が強まっているが、企業にとっては、専門知識やデジタルで知られているサービス店舗を強化するチャンスだ。
「そのような状況は変わっていない」と、ユニリーバ(Unilever)のプレスティッジグループ(Prestige Group)でCEO兼エグゼクティブバイスプレジデントを務めるヴァシリキ・ペトルー氏は語る。「むしろ、強まるだろう。将来に適応していくということは、そうした力を次の段階に引き上げるということであることは確かだ」。同氏は、タッチャ(Tatcha)やミュラド (Murad)といったグループ傘下のブランドについて、米DIGIDAYの姉妹サイトであるグロッシー(Glossy)の「ビューティー・ポッドキャスト(Beauty Podcast)」で、こう話した。
また、ブランドの存在感のそうした面では進化が求められるが、逆に、消費者は最近、既知の、彼らが好むブランドの主力商品に特に惹きつけられているとペトルー氏は考えている。
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「人々は危機のなかでは、たとえば、より『発見された』製品と比較して、人気が高くて信用できる象徴的な製品に回帰する傾向が見られる。消費者は安全でいられる場所に行きたがる」と、ペトルー氏は指摘する。
ペトルー氏は、ユニリーバのプレスティッジグループが英国のコスメブランド、シャーロット・ティルベリー(Charlotte Tilbury)と買収交渉を行っているとの噂を肯定も否定もしようとせず、「事実である噂もあれば、そうではない噂もある」と意味深に話すだけだった。だが、ペトルー氏は、M&Aに対するユニリーバの全体的なアプローチを説明してくれた。
「創設者が率いるブランドを常に重視している。新しいビジネスモデルや新しいアプローチ、世界的に適切なすばらしいアイデアがあるかどうかにいつも目を向け、すべての分野に間違いなく注目している」と、ペトルー氏は語った。
この記事では、ペトルー氏とのインタビューのハイライトをお届けする。なお、読みやすくするため、以下の本文には若干の編集を加えている。
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レガシー製品が買い物客の避難所に
「新製品を提供するようにと小売業者から常に圧力があるのは、彼らの立場を考えれば、顧客を刺激したいからだ。小売業者とこんな会話をしたことがある。『主力製品と新製品はどのくらいか?』。両者のあいだにはこうした健全な論争がある。だが、小売業者もこの危機のあいだ、象徴的な製品や主力製品の力を目の当たりにしたと思う。人々は危機のなかでは、たとえば、より『発見された』製品と比較して、人気が高くて信用できる象徴的な製品に回帰する傾向があるからだ。消費者は、理にかなっているならば、新しいものを発見しようとするのではなく、安全でいられる場所に行きたがる」
小売りは生き残る
「店舗に戻る人々については楽観的に見ている。どれだけの人々が完全にバーチャルに移行して、店舗が空っぽになるのかについて、おそらく私たちは誇張している。私はそうは思わない。それに、中国は、人々がかなりすぐに店舗に戻ることを証明した。人々は人々を求めている。友人やコミュニティ、助言者、専門家などとコミュニケーションをとりたいと思っている。人々は店舗に戻ってくると心から信じている。人々は以前と比べてもっとバーチャルに行動するのか? 絶対にそうだ。食品やヘアカラー、スキンケア製品を注文するのにある程度慣れたからだ。小売りはもう少し自己改革し、経験や対面でのコンサルタント業務にもっと力を注ぐ必要があるのか? 絶対にある。だが、『小売りの死』を目にしているとは、まったく思ってはいない」
オンラインでの製品発見を実現
「ふたつのことが言える。とにかくコンテンツだ。より多くの製品ではなく、より適切なコンテンツだ。人々は、探し物への解決策を得るために専門家の本物の助言を期待している。それと、チャットする相手がセラピストやヘアドレッサー、専門家など誰であれ、専門知識へのオンラインでのアクセスだ。これは、新型コロナウイルスの感染拡大中には優れた力であることを証明したと思うし、小売業者は存続すると予想している」
M&Aに対するユニリーバ、プレスティッジグループのアプローチ
「M&Aに対して前向き思考のアプローチをとっている。謙虚に、将来に適応したものだ。提携したい相手企業を選ぶ余裕もあり、目的は明らかに、我々が行うすべてのことの中心にあるものだ。創設者が率いていて、将来に適応したブランドを常に重視している。新しいビジネスモデルや新しいアプローチ、世界的に適切な素晴らしいアイデアがあるかどうかにいつも目を向け、すべての分野に間違いなく注目している。フレグランスは少し商品化されてきているので、おそらく差し当たってフレグランスはないだろう。現在、それも少し変わりつつあるが、優先事項に目を向けている。真の目的と世界を変える使命を持った素晴らしいブランドを見つけるのがすべてだ。それが動機付けになっている」
The Glossy Beauty Podcast(原文 / 訳:ガリレオ)