リーボック(Reebok)は、新たに開発したハイテク製品のコンセプトや製作秘話を紹介するサイト「リーボック・イノベーション・コレクティブ(Reebok Innovation Collective)」をローンチ。イノベーション重視の姿勢で、新領域とのコラボやソーシャルインフルエンサーの積極活用など北米での展開に新しい取り組みを見せる。
3年前、販売不振に喘いでいたスポーツ用品ブランドのリーボック(Reebok)は、危機を脱すべく快適性や機能性だけでなく、ハイテクを重視した製品の開発に乗り出した。40名から成るチームを結成し、新しくローンチしたウェブサイト「リーボック・イノベーション・コレクティブ(Reebok Innovation Collective)」で、これらの製品を紹介する。
7月に立ち上げられたこのサイトでは、数週間から数カ月後に販売される製品の開発の舞台裏を掲載している。今後は、ソーシャルプラットフォームやメールでも、同様のコンテンツを配信する予定だ。
「人々は次にどのような製品が出るのか、そしてその製品がどのように作られたのかを知りたがっている」と、リーボック・インターナショナル(Reebok International)でランニング部門のゼネラルマネージャーを務めるスコット・デーリー氏は言う。「我々にとっては、製品の製作過程を消費者に見せる絶好の機会だ。そうすることで人々は、発売されたばかりの製品に親しみを感じるようになる。その製品にまつわるストーリーをすでに知っているからだ」。
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デジタル戦略でブランド再生
リーボック・イノベーション・コレクティブは、ブランドの再構築を試みる同社が、CEOのカスパー・ローステッド氏の下で1年前から行っているデジタル化の取り組みの一環だ。ローステッド氏が力を入れるのは、過去3年間売上が伸び悩む北米市場となる。
新しいサイトの狙いは、イノベーションを重視している同社の姿勢を広く消費者に知ってもらうこと。そのため、購買用ではないコンテンツも展開する。
たとえばリーボックは、ロンドンの名門紳士服ブランドであるHハンツマン&サンズ(H Huntsman & Sons)と共同で、靴の素材とファッションを融合させるプロジェクトを手がけた。リーボックがランニングシューズ用に開発した新素材「フレックスウィーブ(Flexweave)」を利用して、スーツの試作品を製作。このスーツは2018年2月に発売予定で、製作の過程を記録した動画、写真、スケッチがサイトで公開されている。また、ソーシャルメディアで膨大な数のフォロワーをもつNFLのブランディン・クックス選手が、このスーツを着用した姿も披露されることになっている(同選手はリーボックのランニング・アンバサダーも務める)。
宇宙飛行士のブーツも製作
また、リーボックはスポーツ関連以外にも新製品の領域を広げる。たとえば、航空用ヘッドセットメーカーのデビッド・クラーク(David Clark Company)と提携して、画期的な宇宙飛行士用のブーツの開発を進めている。現在、宇宙飛行士によるテスト中だという。
同社は、リーボック・イノベーション・コレクティブにかかっている費用を明らかにしていないが、サイトの運営には50名を超えるスタッフが関わっており、製品コンセプトの決定からストーリーテリングまで手がける。
8月には、北米でのリーボックの売上が前年同期比で5%増えたことが、親会社アディダス(Adidas)が公表した第2四半期決算で明らかになった。さらに、歌手のアリアナ・グランデなどソーシャルメディアのインフルエンサーを活用して、若者向けにもアピールしておりインフルエンサーのレビューを重視した施策を打ち出している。
Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)