- 一部のプラットフォームは番組削減やレイオフを行っているものの、ポッドキャスト市場は拡大中でリスナー数と広告費が増加している。
- 特にアイハート(iHeart)、Spotify、オーダシー(Audacy)などの大手ポッドキャストプラットフォームに広告費が偏っているが、「強力に焦点を絞り、優れたコンテンツ」を持つ小規模パブリッシャーも伸びている。
- アメリカではリスナーの割合が増加しており、2023年には米国の56%が聞いているとの調査も。しかも、毎週数時間以上のポッドキャストを聴く人も増えているという。
このほど、ポッドキャスト市場に関する新しいレポートが次々と発表され、リスナー数と広告費のどちらも拡大していることが明らかになった。ポッドキャストの輝きは多少失われているものの、業界自体(特に最大手)はまだ成長を続けているようだ。
だからといって、この一年間ポッドキャスト市場の縮小がなかったというわけではない。SpotifyやNPRなどのポッドキャストプラットフォームやネットワークは番組を削減し、レイオフを敢行している。
また、パラマウント(Paramount)は2023年は例年に比べ新番組の数を減らすと話しており、オーディオ事業を看板ポッドキャストに集中させる戦略の一環として、一連の番組を打ち切るポッドキャスターもある。
広告主はポッドキャスに関心
「こうした決定は、必ずしも広告収入の不足によるものではない」と話すのは、広告エージェンシーのホライゾン・メディア(Horizon Media)でイノベーション&パフォーマンスオーディオのEVP兼マネージングパートナーを務めるローレン・ルッソ氏だ。どちらかといえば、パンデミック中(ロックダウンで聴取がピークに達した)ときに契約が膨れ上がったことが原因だという。
過去数年のポッドキャストブームでは、「大手パブリッシャーは注目度の高い一部のスター的な人気スタジオやクリエイターに大きく投資していたが結果は出ず、期待していたようなリターンは得られなかった。このことから、パブリッシャーはコンテンツ編成や戦略的提携を検討する際により慎重に細かく吟味して選ぶようになった」と、ルッソ氏は米DIGIDAYに語った。
だが、最近のレポートを見ると、広告主がポッドキャストに予算を回し続けている様子がうかがえる。以下の点に注目してみよう。[続きを読む]
- 一部のプラットフォームは番組削減やレイオフを行っているものの、ポッドキャスト市場は拡大中でリスナー数と広告費が増加している。
- 特にアイハート(iHeart)、Spotify、オーダシー(Audacy)などの大手ポッドキャストプラットフォームに広告費が偏っているが、「強力に焦点を絞り、優れたコンテンツ」を持つ小規模パブリッシャーも伸びている。
- アメリカではリスナーの割合が増加しており、2023年には米国の56%が聞いているとの調査も。しかも、毎週数時間以上のポッドキャストを聴く人も増えているという。
このほど、ポッドキャスト市場に関する新しいレポートが次々と発表され、リスナー数と広告費のどちらも拡大していることが明らかになった。ポッドキャストの輝きは多少失われているものの、業界自体(特に最大手)はまだ成長を続けているようだ。
だからといって、この一年間ポッドキャスト市場の縮小がなかったというわけではない。SpotifyやNPRなどのポッドキャストプラットフォームやネットワークは番組を削減し、レイオフを敢行している。
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また、パラマウント(Paramount)は2023年は例年に比べ新番組の数を減らすと話しており、オーディオ事業を看板ポッドキャストに集中させる戦略の一環として、一連の番組を打ち切るポッドキャスターもある。
広告主はポッドキャスに関心
「こうした決定は、必ずしも広告収入の不足によるものではない」と話すのは、広告エージェンシーのホライゾン・メディア(Horizon Media)でイノベーション&パフォーマンスオーディオのEVP兼マネージングパートナーを務めるローレン・ルッソ氏だ。どちらかといえば、パンデミック中(ロックダウンで聴取がピークに達した)ときに契約が膨れ上がったことが原因だという。
過去数年のポッドキャストブームでは、「大手パブリッシャーは注目度の高い一部のスター的な人気スタジオやクリエイターに大きく投資していたが結果は出ず、期待していたようなリターンは得られなかった。このことから、パブリッシャーはコンテンツ編成や戦略的提携を検討する際により慎重に細かく吟味して選ぶようになった」と、ルッソ氏は米DIGIDAYに語った。
だが、最近のレポートを見ると、広告主がポッドキャストに予算を回し続けている様子がうかがえる。以下の点に注目してみよう。
- キュミュラスメディア/ウェストウッドワン・オーディオアクティブグループ(Cumulus Media and Westwood One Audio Active Group)の「アドバタイザー・パーセプションズ」調査によると、現在ポッドキャストで広告を流しているエージェンシーと広告主は、2020年の34%から現在は60%近くに増えている。
- 同調査では62%のブランドおよびエージェンシーが今後6カ月以内のポッドキャスト広告を検討すると回答し(過去9年で最高)、58%が必ず広告を流すと回答している。
- 米国のポッドキャストを調査したメディアレーダー(MediaRadar)のレポートは、広告費が前年比で5%伸びていることを示している。
- メディアレーダーによると、Amazon、AG1を販売するアスレチックグリーンズ(Athletic Greens)、Shopify(ショッピファイ)などの広告主のおかげで、ビジネス系ポッドキャストの広告収入は前年比で30%拡大している。
- 広告費は事件/犯罪カテゴリーのポッドキャストで前年比26%、コメディ系ポッドキャストで前年比10%伸びている、とメディアレーダーは報告している。
大手がさらに大きく
「レポートを見るとポッドキャストの広告費は増えているが、そのほとんどは独立系のパブリッシャーではなく大手ネットワークだ」と、ベッチェス・メディア(Betches Media)のCROであるデビッド・スピーゲル氏は話す。スピーゲル氏によると、大手エージェンシー各社はアイハート(iHeart)、Spotify、オーダシー(Audacy)などの大手ポッドキャストプラットフォームに広告費をつぎ込んでいるという。
「オーディオコンテンツの成長は疑う余地もない。主要な広告主についてはね。確かに、規模の大きい広告先に偏りがある。だが広告主としても、どこかを最初に選ばなくてはならないわけだから」とスピーゲル氏は語る。とはいえ、「強力に焦点を絞り、優れたコンテンツ」を持つ小規模パブリッシャーもまだ伸びており、ベッチェスのポッドキャストの広告収入は今年2023年、月を追って増えているそうだ。
ルッソ氏の見解も同様で、広告主が最大手のポッドキャスト番組に集中していると話す。「人気最上位の番組に対する需要は引き続き高く、広告費の大部分は上位500タイトルで占められている」。
オーディオコンテンツ関連の上場企業の第2四半期決算も、ポッドキャスト広告費のこのような傾向を反映している。アイハートメディア、Spotify、エーキャスト(Acast)は前年同期比12%から31%のポッドキャスト収入の伸びを発表している。各社幹部は「米国の広告市場に改善が見られ、持続的な成長が期待できる」と、株主に強気に語った。特に、SpotifyのCEOであるダニエル・エク氏は第2四半期決算発表で、「一部の不調なポッドキャスト番組の中止を決めたことが同社のポッドキャスト事業の成長につながった」と述べている。
米国人の56%がポッドキャストを聞いている?
最近の調査は、ポッドキャストという媒体に対する消費者の関心が衰えていないことも示している。ユーガブ(YouGov)の調査によると、米国でポッドキャストを聴いている人の割合は2021年の46%から2023年には56%に増えている。その4分の1近く(22%)が、1週間に5時間以上ポッドキャストを聴いているという。この数字は2022年には20%だった。
ヴォイセズ(Voices)の「パワー・オブ・ポッドキャスト」レポートによると、米国のポッドキャストのリスナーの48%が、毎週1時間から3時間ポッドキャストを聴いているという。
[原文:New podcast studies showing growth in ad spend, listeners suggest the bubble hasn’t burst]
Sara Guaglione (翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)