ネスカフェは2015年、WebサイトをTumblrページに移行することを決定。そこにGIFアニメやユーザー作成動画を大量に掲載してきた。現地の小売業者へのリンクが張られた「buy now(いますぐ購入)」ボタンを設置したのは、たった10ページ。しかし、半年で20万ドル(約2000万円)の売上達成したという。
創業から78年になるインスタントコーヒーのブランド「ネスカフェ(Nescafe)」は、いわゆる「デジタルネイティブ」世代との親和性を高めるべく、Snapchat(スナップチャット)やインスタグラム、Viber(バイバー)などのプラットフォームにおけるプレゼンスの強化に投資してきた。
ソーシャルメディア分析会社ソーシャルベイカーズ(Socialbakers)のデータによると、ネスカフェはこの1年間で、Facebookページのフォロワーをグローバル全体で14%増やし、累計で3400万人以上を獲得したという。そのアカウントは、Facebook上の飲料関係のページのなかで、コカ・コーラ(Coca-Cola)に次いで2番目に速い成長をしている。
国際統合マーケティング担当責任者のマイケル・クリスメント氏によると、ネスカフェは最近、ある目標を定めたという。それは、デジタル支出の4分の1を投じて、ネスカフェのTumblr(タンブラー)ページをはじめとするソーシャルメディアを通して、消費者に商品を購入してもらうというものだ。
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半年間で約2000万円売上達成
「ROI(投資収益率)はソーシャルメディアにとって重要で、その点はほかのコミュニケーションチャネルと同じだ」と、クリスメント氏は語る。「我々の目標は、オンラインでの市場シェアをオフラインよりも高くすることだ」。
ネスカフェは2015年、Webサイトを50以上のTumblrページに移行することを決定。これらのページに、スマートフォンの登場により短くなっているという集中力持続時間に適応するよう、GIFアニメやユーザー作成動画を大量に掲載してきた。現地の小売業者へのリンクが張られた「buy now(いますぐ購入)」ボタンを設置したのは10ページしかないにもかかわらず、同ブランドは最初の半年間で20万ドル(約2000万円)の売上を達成した。一方で、モバイルトラフィックは20%増加したという。
「Tumblrは、現代化、若返り、そして一体感を得るための手段だ」と、クリスメント氏は説明する。「ネスカフェはイメージ主導のブランドであり、Tumblrは、人々を我々のコンテンツに結びつける交差点の役割を果たしている」。
ブランドを現代化することが望み
eコマースとの連携で見込みが出てきたいま、ネスカフェはこの連携を新しい領域へと展開している。ソーシャルメディアを使った直近のキャンペーン「グッドモーニング・ワールド(Good Morning World)」は、10月1日の国際コーヒーデーに58カ国で実施。このキャンペーンは、1500万人ものユーザーがコーヒー入りマグカップを手渡していく動画を、Facebookのライブ動画やPeriscope(ペリスコープ)、YouTubeで24時間に渡り、ストリーム配信するというものだった。
第1段階の狙いは、ソーシャルメディアにコンテンツという種をまくこと。第2段階では、同ブランドはキャンペーンの結果をリリースし、広い認知を推し進めた。そして現在の目標は、ソーシャルメディアと有料メディアからのリターゲティングにより、キャンペーンに参加したユーザーを顧客に転換することだ。結果を判断するのは時期尚早だが、これまでのところ見込みはある、とクリスメント氏は語る。
ネスカフェがフォロワーからのマネタイズを模索しているもうひとつの分野は、チャットボットだ。現在、Facebookの「Messenger」を通じて、「ドルチェグスト(Dolce Gusto)」シリーズのコーヒーマシンでどのように顧客サービスを展開できるかを調べるため、テストを実施している。対話型コマースの実装方法も探っており、Amazonの「アレクサ(Alexa)」のようなAIエージェントとの連携も「奨励する予定」だ。
「我々の望みは、ブランドを現代化してミレニアル世代とつながっていることをアピールすること。そして、次の78年、あるいはもっと長く、存在感を維持することだ」と、クリスメント氏は付け加えた。
Grace Caffyn(原文 / 訳:ガリレオ)