ナショジオ 、VR・ソーシャル活用で「Z世代」攻略に挑む

ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)が10月初頭、ワシントンD.C.に新しくオープンしたバーチャル・リアリティ・シアターには400人が来館した。来館者は皆、VRのヘッドセットを頭に付け、写真家のアーロン・ヒューイ氏にガイドされ、ユタ州にあるベアーズ・イヤーズ国立モニュメントを体験した。

130年の長い歴史を持つナショナル・ジオグラフィックが、24歳以下の人々にリーチしようと試みている多くの手段のひとつがこれだ。ほかにもワットパッド(Wattpad)、IGTV、Snapchat(スナップチャット)といったプラットフォームにもナショナル・グラフィックは展開している。

若年層開拓のための努力

「常に移り変わるメディア業界において自分たちの存在の重要性を保つためには、リーダーがどこであろうとリーチできる非常に優れたコンテンツを作らなければいけない。我々が長く持ってきた従来のチャンネルには、必ずしも若い新しいオーディエンスはエンゲージしてこないことを理解しながら、それぞれのプラットフォームに特有の方法でコンテンツを作っている」と語るのは、ナショナル・ジオグラフィックのエグゼクティブ・バイスプレジデントであり最高マーケティング責任者であるジル・クレス氏だ。

彼らが持つサイトやプラットフォーム全体を見てみると、オーディエンスの年齢層は高い。たとえば、2018年春のメディアキットによると雑誌読者の年齢中央値は47歳となっている。同じメディアキットによると、読者において18歳から24歳の層はたった13.4%となっている。25歳から64歳の層は65.5%、65歳以上は21.3%となっている。

そのため、彼らがTVや雑誌のために開発したコンテンツを若者向けのイベントやソーシャルプラットフォームへと形を変えつつ再利用している。そのひとつの例として、上記のVR体験があるわけだが、これは雑誌版ナショナル・ジオグラフィックの11月の巻頭記事からインスピレーションを受けている。またタテ型動画や解説動画、OTT動画といったZ世代に人気のビジュアル形式へと適応している。

プラットフォームの対応例

ナショナル・ジオグラフィックはインスタグラム上で928万人のフォロワーを抱えており、ブランドとしては最大となっている。そして6月にはインスタグラムが新しく長編動画用のフォーマットとして開始したIGTVも試験的に利用し始めた。そこでは、ドキュメンタリー・シリーズ「とある奇妙な岩(One Strange Rock)」の最終話をタテ型動画で配信した。また、9月号で特集した9000ワードの長編記事「ひとつの顔の物語(The Story of a Face)」を25チャプターからなる、これまでもっとも長いインスタグラムストーリーズ(Instagram Stories)として制作した。これは米国でもっとも若い顔移植患者の物語だ。ストーリーは580万回再生された。

Snapchat上では、ディスカバー(Discover)コーナーを使って、野生の動物、文化、そして科学にフォーカスしている。クレス氏によると、ナショナル・ジオグラフィックは、この1年でSnapchatの登録者数を150万人追加し、700万人にまで成長させた。

さらに、まだ若いオーディエンス向けには、子ども向けのAmazon Alexa(アレクサ)用スキルをローンチしている。そのほとんどはクイズだが、就寝後は起動しないなど、保護者によるコントロール機能もついている。7月にはYouTubeにあるナショナル・ジオグラフィック・キッズ・チャンネルを再ローンチした。いまでは毎日1本、動画が配信され、チャンネル登録者数は16万8615人、月間再生回数は50万回となっている。

Z世代たちの特性

環境、科学、イノベーション、探求、アドベンチャーといったナショナル・ジオグラフィックにとってのコアなテーマの多くがZ世代にとっても人気なジャンルであることは手伝っている。2週間前には、ソーシャル・ストーリーテリング・プラットフォームであるワットパッド(Wattpad)のユーザーたちに500ワードの文章を「プラスチック」について書くというコンテスト募集をした。これはプラスチックが環境に与える影響を特集した6月号と結びついている。また、コンテスト参加者たちには、#PlanetorPlastic(惑星かプラスチックか)というハッシュタグを使って、プラスチックの利用を減らす宣言をするように促した。16日間にナショナル・ジオグラフィックは1000件の応募を受け取り、Wattpad上では3万人のフォロワーを獲得した。

「Z世代は目的をしっかりと持ち、社会的意義にちゃんと取り組んでいるブランドとエンゲージメントをし、環境問題に関する意識が高い、といった事柄と同意語となっている」と、クレス氏は言う。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)