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ウォルマート 、体験型マーケティングで会員増加を目指す:「体験型イベントへの投資を増やす」

コロナ禍の最中にもかかわらず、ウォルマート(Walmart)が体験型マーケティングの取り組みを進めている。

ウォルマートは9月、待望の会員制プログラム「Walmart+(ウォルマートプラス)」をロールアウトした。同プログラムでは、同社はこれまで収集したカスタマーの買い物データに基づいて、ほかのオーディエンスに向けた独自のデジタル広告を展開する。また同社は現在、インフルエンサーやメディアパートナーと協力し、今年キャンセルされたイベントなどの「特別な瞬間」を、体験型マーケティングを通じて提供する試みを進めている。

「大規模イベントよりもスケーラブル」

たとえば同社は、NBCスポーツと提携し、シアトルで働く医療従事者とその家族に、シアトルのNFLチーム、シーホークス(the Seahawks)のシーズン初のホームゲームをスタジアム観戦の機会を提供している。そして最近では、家族向けに没入型のハロウィンイベントを作り上げている。こういった体験型マーケティングで、同社はサウスバイサウスウエスト(South by Southwest)やカンヌライオンズといった大掛かりなイベントに多数を招待するのではなく、少人数や家族単位で招待を行っている。現在ウォルマートは、個人や小規模グループ向けに、以前の日常生活の感覚を思い出させるような体験を提供しようと試みており、その体験をSNSを通じて多くのオーディエンスに届けている。

ウォルマートのメディア担当VPを務めるジル・トスカーノ氏は、「当社は大規模な対面イベントを提供しているわけではない、だが、多くの人が参加し、体験できるこういったイベントは、一度きりの大規模イベントよりもスケーラブルだと考えている」と語る。「当社は、これまで以上にメディア計画で体験型イベントに予算を割いている」。

ウォルマートは、体験型マーケティング予算の具体額は明かしていないが、カンター(Kantar)によれば2019年度は6億3000万ドル(約660億円)となっている。また、体験型イベントのメディア予算に占める割合についても、すぐに回答は得られなかった。だが、トスカーノ氏は、ウォルマートが「買収やパフォーマンスメディアではここまでうまくいかないことは分かっていた。Walmart+にとって、こういった体験の提供は必要だ」と述べている。

Amazonといかに差別化するか

ウォルマートはNFL以外にも体験型マーケティングでWalmart+の新規会員の獲得を目指している。そのための活動として、同社はメディアパートナーとしてオールレシピス(AllRecipes)やHGTV、ペアレンツ(PARENTS)、ピープル・アン・エスパニョール(People en Español)、ドリュー・ショー(The Drew Show)、フードネットワーク(Food Network)、NBCスポーツ・サンデーナイト・フットボール(NBC Sports Sunday Night Football)などと提携している。また、ウォルマートはSNSを通じて消費者にこういった体験への参加を促している。

「関心を持ってもらうためには、大規模プラットフォームにコンテンツや活動を大量に投入することが望ましい」と、トスカーノ氏は語る。「ドリュー・バリモア氏に、Walmart+への登録呼びかけと、同氏の番組で体験の様子も取り上げてもらう予定だ。HGTVでもこういった取り組みを進めていく」。

マスの体験よりも、SNS上で大勢が共有できる家族向けの体験を提供しているウォルマート。だが、Walmart+にとって何よりも重要なのは、あくまでプログラムの実際の体験だ。

パフォーマンスマーケティングエージェンシーのテイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創業者で、戦略責任者も務めドゥアン・ブラウン氏は「Walmart+の将来はAmazonに対抗できる力があるのかにかかっている」と指摘する。「消費者がAmazonと比べるのは間違いない。このふたつのサービスを比較するはずだ。ウォルマートがどういった差別化を提供できるのか、そしてより優れたサービスを提供できるのかに注目したい。SNSで見た内容と、実際の体験が一致しなければ、ひどい結果に終わる可能性もある」。

この動きに追従する企業も

体験型マーケティングを再び展開しているウォルマートだが、この動きに追従する企業が増えるのではないかという見方もある。

インフルエンサーマーケティングエージェンシーのRQでシニアアカウントディレクターを務めるケイティー・ウェルハウゼン氏は、次のように述べている。「体験型キャンペーンの利点は、消費者がブランドや製品に触れられることにある。ウォルマートのように、SNSでシェアしたくなるような体験を提供すれば、追加の費用なしに効果的にリーチを拡大できる。実際、SNS上で消費者の支持を得ようと、個人や小規模グループ向けの体験を提供するブランドは増えている」。

[原文:‘More dollars to experiential’ Why Walmart is still using experiential marketing to pitch Walmart+ — even during coronavirus crisis

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)