メッセージングアプリ に進出する、マーケターたちの勝算:「顧客がいるところならどこへでも」

マーケターは、船上からUber車両フォーチュンクッキーに至るまで、あらゆる場所に広告を出したいと考えている。しかし、まだ広告があまり掲載されていない場所がひとつある。それは、メッセージングだ。

メッセージング上にも広告は存在するが、これからはさらに増加の一途をたどるだろうと、マーケターたちは言う。Facebookのメッセンジャー(Messenger)やSnapchat、Twitterなどのメッセージングアプリには、メッセージング体験のなかにそれぞれ広告用のフォーマットが用意されている。ジフィー(Giphy)のジフ(GIF)やエモジ(Emogi)のステッカーなどのメッセージングにおいて利用できるツールにブランドをリンクすることも可能だろう。FacebookのニュースフィードやGoogle検索などの従来から存在する領域において競争が激化するなかで、マーケターは安価かつ効果的な別の選択肢を探している。

「広告主は顧客が存在するところへ進出するという信念を持つべきだ。デジタル広告が拡大し続けているなかでメッセージングをマネタイズすることは、今後も変わらず焦点となり、顧客が多くの時間を費やすプラットフォームをフォローしていくことになるだろう」と、ナショナルシネメディア(National CineMedia)でデジタル販売を統括するバイスプレジデント、ジェリー・キャニング氏は言う。

TwitterとBuzzFeedの試み

Twitterは、プロモツイートやプロモトレンドなどの広告ユニット規格を提供しているが、同サービスのダイレクトメッセージ機能もマーケターが利用できるようにした。たとえば、マイクロソフト(Microsoft)のAIチャットボット、ゾー(Zo)がTwitter上で利用できる。ゾーは今月、Twitterのフォロワーに次のようにつぶやいた。「ぴったりのギフトをお探しですか? お客様が『この人にぴったりのギフトは何だろう』と頭を悩ませているなら、私がBuzzFeedと協力して見つけるお手伝いをさせていただきます。#hacktheholidaysのハッシュタグを付けてツイートして、サービスをご利用ください!」

ゾーは、BuzzFeedと協力して、TwitterのDMやメッセンジャー、グループミー(GroupMe)、スカイプ(Skype)、キック(Kik)上で顧客にパーソナライズされたギフト案内をする。

「BuzzFeedは、ギフト案内や洞察あるショッピングコンテンツで知られ、ゾーのチームの優れたパートナーとなって、ギフト探しを目新しく、より個人的な体験にしようとしている」と、ゾーとAIの部門を統括するマイクロソフトのディレクター、イン・ワン氏は電子メールで答えてくれた。

Facebook、Snapchatは?

Facebookもメッセンジャーに広告を掲載し、チャットボット事業を拡大してきている。同社は、顧客と企業間で毎月、100億通のメッセージのやり取りがあると謳っている。レゴ(Lego)は2018年、ユーザーにお勧め商品を表示する、「ラルフ・ザ・ギフト・ボット(Ralph the Gift Bot)」と呼ばれるチャットボットを開発した。Facebookによると、同キャンペーンのコンバージョンあたりのコストは、メッセンジャー広告1クリックあたりで、ほかのコンバージョン型広告と比べて31%高いということだ。

2014年から2017年のあいだ、金融サービス業界ディレクターとしてFacebookで勤務した経験もある、先述のキャニング氏は、メッセンジャーは10億人以上のユーザーがいるという規模の利点があるだけでなく、Facebookの技術的な柱でもあるという。

「Facebookがこのプラットフォームに広告を統合しようとし続けているため、マーケターはFacebookの環境のなかでクローズドループ属性を求めれば利益が得られるようになる」と、彼は言う。

Snapchatは2018年、AR(拡張現実)体験のなかで広告を出しはじめ、その一部ではARを通して直接ショッピングできるようにしている。たとえば、ドミノ(Domino)は、ユーザーがタップするだけでピザを注文できるピザARを開発した。アディダス(Adidas)は、ユーザーが靴を「試着」し、購入できるAR広告を流した。以前には、ユーザーがクリックすれば購入できるほかのARレンズも提供していた。Snapchatによると、スポンサー付きのARレンズは、アプリ上で友人に送信される前に平均で10秒から15秒間再生されるということだ。ARレンズによって広告の認知度が19ポイント上昇し、ブランドの認知度が6ポイント上昇、アクションを起こそうとする値が3.4ポイント上昇したと、同社は以前に述べていた。

「実に大きなマーケット」

さまざまなプラットフォームに自社のアプリなどを統合した、GIFの開発会社であるジフィーは、2018年、ブランドキャンペーンを介して収益を上げはじめた。

「メッセージングは非常に明確な理由があって、従来の割り込み型の広告に抵抗してきた。そのような広告が非常にうっとうしいものであったからだ。しかし、検索は主体的に行う行為だ。私たちはすべてのメッセージングアプリに検索バーを埋め込んでいる。私たちには対話型の内容を表示し、ユーザーがそれを見てクリックし、共有できるようにするというチャンスがある」と、ジフィーの収益部門統括者のアレックス・マニャン氏は言う。

ジフィーはこれまで主にふたつの広告グループから利益を得てきた。ひとつは、消費者向け包装商品や迅速なサービスを提供するレストランなどの、視覚的に認識可能な製品を扱うブランドで、もうひとつは、「文化的なトレンドに関連した」マーケティングに関心のある広告主だと、マニャン氏は言う。

「私たちはあらゆる主要広告カテゴリでこれを行っている。この領域に関して考えたとき、これは実に大きなマーケットだといえる」と、マニャン氏。「顧客はWebを利用する以上の時間をモバイル上でメッセージングアプリに費やしている。モバイル上での広告支出は、米国では100億ドル(約1兆円)にのぼる」。

WeChatやLINEにも注目

2019年を見据えて、キャニング氏は、FacebookがWhatsApp(ワッツアップ)とともにチャットボットやメッセンジャー内の広告で業界を牽引し続けると期待していると言った。彼はまた、彼やほかのマーケターが中国のWeChat(微信)や日本のLINEにも(ライン)を注視しているとも述べた。

「マーケターは、米国においてメッセージングがどこへ向かうかを理解するために、それらふたつのプラットフォームを注視し続けるだろう」。

Kerry Flynn(原文 / 訳:Conyac