ロレアルグループ傘下で、顔や肌の画像分析に特化したテクノロジー企業のモディフェイス(ModiFace)は、GoogleのVertex AIと連携し、同社独自の機械学習モデルの精度を高めている。
Google Cloudは2021年5月19日、同社のマネージド機械学習(ML)プラットフォームのVertex AIを一般提供することを発表した。これにより企業は、人工知能(AI)モデルの活用や管理を迅速に行えるようになる。ロレアルグループ傘下で、顔や肌の画像分析に特化したテクノロジー企業のモディフェイス(ModiFace)は、すでにGoogleのVertex AIと連携し、同社独自の機械学習モデルの精度を高めている。
モディフェイスのCOOであるジェフ・ホートン氏によると、現在同社は自社のソリューションに多くのデータポイントを与えることで、よりリアルな体験をユーザーに届けてようと考えている。「バーチャルメイクに対する消費者行動の変容を考慮すると、機は熟した」と、同氏は強調する。
「我々がソリューションを展開した当初、AI製品やAR(拡張現実)製品は、マーケティング用に用いられるか、普段の生活で楽しむためのものだった。人々はもっぱら、友人に見せるため、あるいはソーシャルメディアでシェアするためにこれらの製品を使っていた」と同氏。「しかしCOVIDの感染拡大によって、我々のサービスの利用者や Webサイトを訪れる人数は加速度的に増えた。人々は店頭で体験したようなことを、自宅で体験したいと考えている。店頭で得られる体験は今後も重要であり続けるが、それを美容テクノロジーによって補完することができる」。Vertex AIはモディフェイスの機械学習に組み込まれる予定だという。
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リテーラーのなかにも、店頭でのバーチャルメイクの活用に重点を置く動きが見られる。アルタ・ビューティ(Ulta Beauty)の最高店舗オペレーション責任者である、キーシャ・スティールマン氏は以前、バーチャルメイク技術の使用が2020年に1200%増加したと語っている。同社ではCOVID-19の期間中、グラム・ラボ(Glam Lab)のバーチャルメイクアプリを通じ、1億7100万回以上のメイクセッションを実施している。
なおホートン氏によると、モディフェイスは2022年、ロレアルのブランド向けに新製品をローンチする予定だ。バーチャルメイクと同様に、ARやAIを用いたスキンケアについても自信を見せている。「10年前、我々が提供していたバーチャルテクノロジーは現在ほどリアルなビジュアルを提供できておらず、速度も遅かった。消費者がいま望んでいるのは、もはや単なるゲーミフィケーション(ゲームの要素を他領域に活かすこと)ではない。商品購入のために、メイク後の自分自身を、できるだけリアルに近い形で把握したいと思っている」。
[原文:Modiface grows capabilities with Google’s Vertex AI]
PRIYA RAO(翻訳:田崎亮子/編集:村上莞)