米DIGIDAYの姉妹サイト、モダンリテール(Modern Retail)とグロッシー(Glossy)は6月、ブランド、およびリテール各社を対象にアンケートを実施。回答した90%の企業が、2021年末までに「デジタル(オンライン)マーケティングの予算をパンデミック以前の水準に戻す」予定であることがわかった。
企業のマーケティング活動が、息を吹き返しつつある。
米DIGIDAYの姉妹サイト、モダンリテール(Modern Retail)とグロッシー(Glossy)は6月、ブランドおよびリテール各社を対象にアンケートを実施。回答した90%の企業が、2021年末までに「デジタル(オンライン)マーケティングの予算をパンデミック以前の水準に戻す」予定であることがわかった。また残り6%の企業も「2022年末までに」と回答している。
デジタル予算は回復傾向
この数字から、各社はコロナ禍の終息と経済の回復を期待していることが見て取れる。2020年に比べて、これは大きな変化だ。2020年はブランド、リテール企業とともに、苦しい状況のなかでリソースをやりくりすることに終始した1年だった。実際、2020年12月のモダンリテール、およびグロッシーのアンケートでは、50%の企業が実店舗のスタッフ数を2019年よりも減らすと回答している。
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しかし今回のアンケートでは、少なくともデジタル広告については、2019年の水準に戻る見通しとなっている。実際、すでに新規のキャンペーンを開始したブランドも多く、今回のアンケートに回答した企業の62%がインフルエンサーマーケティングのキャンペーンをスタートしている。また、残りの30%もマーケティングイベントを実施している。
オフラインへの期待は低い
一方、オフラインマーケティングについては、変化の兆しを見せているものの、期待値は依然として低い。デジタルマーケティング予算が、パンデミック以前の水準に戻らないと回答した企業はわずか4%だったのに対し、「オフラインのマーケティング予算については、以前の水準に戻らないだろう」と回答した企業は20%に達している。
とはいえ、オフラインマーケティングが衰退するわけではない。クアン・メディア・グループ(Quan Media Group)のブライアン・ラパポートCEOによれば、実際のところ「ブランドのOOHマーケティングに対する関心は、かつてないほど高まっている。特に人気なのが、バスや電車といった地上の交通機関のテイクオーバー広告だ」と明かす。その一方で、地下鉄などの広告はまだ回復の兆しはないとも付け足している。
「OOHは、もはや以前の活気を取り戻したといっても良い」。
ラパポート氏のこの言葉の意味するところは、単に一部の企業がマーケティング戦略を根本から見直しただけでなく、マーケティング業界全体がポストコロナの時代に向けて舵を切り、実際に動き始めていることを指す。そのうえでラパポート氏は次のように総括する。「ブランド各社にとって、明るい兆しが見えてきたということだ」。
[原文:Modern Retail Research: Brands’ marketing budgets are inching back to pre-pandemic levels]
Cale Guthrie Weissman(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)