LIFE BEYOND THE COOKIE

「 コンテクスチュアル 広告の強みは、先回りできること」:三井住友カード 久保拓也氏 × GumGum 土居博通氏

サードパーティCookieを用いない、オルタナティブな広告手法が世界中で注目を集めるなか、国内でもその活用事例が見られはじめている。

そのひとつが、三井住友カードの取り組みだ。同社は今年2月より展開を開始したクレジットカード、「三井住友カード (NL)」のWeb上における認知向上施策に、コンテクスチュアルターゲティングのソートリーダー、GumGumが提供するソリューションを活用。サードパーティCookieを使用せず、さまざまなコンテンツのコンテキスト(文脈)に合わせて広告を配信する、コンテクスチュアルターゲティングを導入したところ、CTRはもとより、認知度や利用意向、アドフラウドといった各種指標で改善が見られたという。

「サードパーティCookieを活用しないという点で、プライバシーに配慮できるだけでなく、質の高いクリエイティブを多様にカスタマイズできる点が魅力だ」。GumGumのソリューションについてこう述べるのは、三井住友カード マーケティング統括部に所属し、今回の取り組みをディレクションした久保拓也氏だ。同氏がこう述べるように、GumGumはCookieレスなターゲティングだけでなく、クリエイティブ専任チームを設けるなど、高品質かつ自由度の高いクリエイティブも提供している。

一方、GumGumのセールスマネージャーである土居博通氏は「今後デジタル広告の世界では、生活者のプライバシーに配慮しながら、適切な広告を適切な形で届けることが、より強く求められるようになるだろう。そのうえで、コンテクスチュアルターゲティングは非常に有用だ」と語る。両氏の対談から、本取り組みの裏側とコンテクスチュアルターゲティングの可能性を紐解く。

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ポストCookieの時代へ

DIGIDAY(以下、DD) 三井住友カードさんが、GumGumさんのソリューションを採用した背景には、どのような課題があったのでしょうか?

久保拓也氏(以下、久保) 課題は主にふたつありました。我々は2021年2月に、「三井住友カード (NL)」をリリースしました。この商品の特徴は、①表面にカード情報が記載されていない事による高い安全性、②対象店舗での利用であれば最大5%ものポイントが貯まること、③最短5分でカード番号を発行することができること、という3点です。ただ、ユーザーに対して、この3つの特徴すべてを広告内で訴求しようとすると、バナーや動画単体で理解してもらうのは難しいことがひとつ目の課題です。

ふたつ目の課題は、GDPRやサードパーティCookieの廃止にも関わってくるのですが、個人データの取り扱いが厳しくなったことです。2022年4月に改正個人情報保護法の施行が決まり、社内でも「個人データの取り扱いに対して、スピーディーに取り組まなければ」と、機運が高まる状況になりました。

▲三井住友カード (NL)

土居博通(以下、土居) 我々が提供しているのは、Webページ上にあらゆるコンテンツのコンテキストに合わせて広告を配信する、コンテクスチュアルターゲティングというソリューションです。コンテクスチュアルターゲティングは、コンテンツと広告の高い親和性、加えてブランドセーフティの担保を実現できます。

また、GumGumにはクリエイティブ専任のチームがあり、クライアントのニーズに合わせて、さまざまなカスタマイズや作り込みが可能です。実際、三井住友カードさんのケースでは、一般的な静的バナーではなく、動的なクリエイティブをご提案させていただきました。こうしたアプローチであれば、久保さんがお話しされた3つの特徴を、余すことなく丁寧に訴求することができると考えたのです。

加えて、いわずもがなコンテクスチュアルターゲティングは、サードパーティCookieといった生活者の行動データを使用しません。つまり、昨今のユーザープライバシーに配慮した広告配信が可能なのです。


実際に活用されたクリエイティブ

適切な広告を適切な場所に

久保 でも、正直いうと最初はちょっと懐疑的でした(笑)。

DD ほう。それはどういった点についてでしょうか?

久保 サードパーティCookieを使わないという点には疑いはなかったのですが、AIがコンテクストを解析してくれる」という点に関して、当時は「本当にできるの?」という感覚がありました(笑)。

ただ、土居さんの丁寧なご提案と、実際にGumGumさんのソリューションを活用して、その疑念は払拭されました。テキストはもちろん、画像から文脈を読み取るだけでなく、それがポジティブかネガティブかまで判断できるので、非常に驚いたのを覚えています。

土居 光栄です。実際、高い技術力は我々の大きな強みのひとつです。自社開発のAIが、テキストから画像を細かな粒度で分析することができます。

久保 また、配信したクリエイティブに関しても、制作プロセスのなかでこちらの要望を柔軟かつ、スピーディに反映していただいきました。おかげでユーザーに対し、複数ある商品特徴を分かりやすく伝える事のできるものとなりました。細かな部分まで設計していただいて非常に助かりました。

久保拓也/三井住友カード株式会社 マーケティング統括部 部長代理 大学卒業後、大手家電量販チェーンに新卒入社。その後デジタルマーケティング支援会社への転職を経て、現在は三井住友カード株式会社にて会員獲得推進を主目的とした認知から獲得フルファネルでのデジタルマーケティング活動に従事。

「モーメントを捉える」広告

DD 「三井住友カード (NL)」の認知が目的だったということですが、結果的に効果はどれほどありましたか?

土居 通常、CTRですと0.7〜0.75%で推移することが多いのですが、今回の施策では1.17%と大きく上回る結果になりました。加えて、弊社でブランドリフト調査を実施したところ、認知度で6.6%、利用意向も3.3%向上しました。これらの結果は、クリエイティブの見せ方や、面をしっかり選定しながら配信できた結果かなと思います。また、アドフラウドに関しても、アドベリフィケーションソリューションツール大手のMOAT社が発表している平均値は約5%なのですが、今回は0.16%にまで削減できました。

久保 我々は、コンテクスチュアルターゲティング以外の手法でも広告配信を行っていますが、既存のバナー広告と比較しても約3倍の効果があった。この結果にはすごく驚きました。

DD サードパーティCookieを使わなくとも、しっかりターゲティングができていたということでしょうか?

久保 そうですね。サードパーティCookieを使うと、ユーザーによってはストーキングされているような感覚を受ける人もいますよね。一方、コンテクスチュアルターゲティングの場合は「先回り」というか、ユーザーが関心を抱いたコンテンツに親和性の高い広告を掲出できる。こうしたコンテクスチュアルターゲティングの特性が寄与したのではないかと考えています。

土居 GumGumでは、よく「モーメントを捉える」という話をしています。コンテクスチュアルターゲティングでは、ユーザーが関心を抱くモーメントを狙って広告を配信できる。久保さんに「先回り」と表現していただきましたけど、まさにそういったイメージですね。

土居博通/GumGum Japan株式会社 セールスマネージャー 新卒にてイー・アクセス(現 Softbank)に入社し家電量販店営業を担当する。Web業界へ転身の後に大手金融媒体 Morningstarでの広告企画営業を経験、その後大手代理店グループのDAサーチ&リンクに転職しオペレーション、Web解析からメディア開発など多岐にわたる業務を担当した後、2019年7月よりGumGum参画。現在は主に国内クライアントや大手広告代理店を担当。

更なる可能性

DD 三井住友カードさんでは、今後どのようにコンテクスチュアルターゲティングを活用していく予定ですか?

久保 さらに活用の幅を広げていきたいと考えています。特に、ターゲットとなるユーザー層がはっきりしている商品のプロモーションにおいて、商品特徴が伝わりやすいリッチなクリエイティブとコンテクスチュアルターゲティングとの相性は良いと考えております。

また、今回は認知が目的でしたが、将来的には獲得領域とも連動させられるようにしたいですね。たとえば、コンテクスチュアル広告に接触したユーザーが、その後実際にどれだけコンバージョンに至ったか、つまりアシストコンバージョン数ですね。どれだけ獲得に貢献しているか、アトリビューションが追っていけるようになれば、さらに活用の幅は広がるはずです。

土居 おっしゃる通りですね。我々も、今後Cookieレスが浸透していくなか、効果検証については真剣に向き合わないといけないと考えています。そこについては、久保さんとご相談していきながら進めていきたいですね。

また、いまはデジタルマーケティングのあり方が、大きく変化する過渡期です。もちろん、これまでの手法がすべて正しくないというわけではありません。広告主のみなさんには、適材適所でさまざまなソリューションを使って、新たなアプローチを模索するチャンスだと思って、現状をポジティブに捉えていきたいですね。

Context Discovery

DD そのためにもGumGumさんは、コンテクスチュアルターゲティングの可能性をさらに啓蒙していくと。

土居 そうですね。まさにその取り組みのひとつが、コンテクスチュアルターゲティングを用いたデザイン設計〜実行〜分析〜最適化までのフレームワーク、「Context Discovery(コンテキスト・ディスカバリー)」の提供です。

Context Discoveryを用いれば、反応が良かったキーワードやカテゴリーを分析および参照することで、モーメント軸でのマーケティング設計ができる。さらにいうと、現在主流であるペルソナ軸でのマーケティング設計では想定しきれない、新たなターゲット層を導き出すことを可能にするのです。

久保 興味深いですね。我々も、GumGumさんのソリューションを実際に活用してしっかり効果が得られたので、モーメント軸でのマーケティング設計を徐々にでも取り入れていきたいと考えています。

土居 ありがとうございます。今後、サードパーティCookieベースの広告の検証やプランニングは間違いなく難しくなります。今年6月には、GoogleがサードパーティCookieのサポート終了時期を延期すると発表しましたが、これはいわば延命措置のようなものでしかなく、サードパーティCookieが使えなくなるという事実に変わりはない。広告主のみなさんには少しずつでも、準備を進めていくことを強くおすすめします。

久保 私も、決して安堵できる状況ではないと思っています。延期されたといってもあっという間ですし、危機感はまだ強く持っています。他社の成功事例を待って足踏みするのではなく、自らが率先して試行錯誤していきたいですね。

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Written by DIGIDAY Brand STUDIO(海達 亮弥)
Photo by 渡部幸和