ベライゾン(Verizon)の無店舗型通信キャリアであるビジブル(Visible)は、インフルエンサーの協力を仰ぐ際、長期にわたるパートナー関係を結ぶ。継続的関係を育むことで、インフルエンサーのオーディエンスにビジブルというブランドを知ってもらい、1回の投稿では望めない繋がりを構築できると、確信しているからだ。
ベライゾン(Verizon)の無店舗型通信キャリアであるビジブル(Visible)は、インフルエンサーの協力を仰ぐ際、長期にわたるパートナー関係を結ぶ。継続的関係を育むことで、インフルエンサーのオーディエンスにビジブルというブランドを知ってもらい、1回の投稿では望めない繋がりを構築できると、確信しているからだ。
「ソーシャルリスニングを丹念に行ない、可能な限り熟慮を重ねるようにしている」と、ビジブルのブランドマーケティング部門トップ、パール・サーヴァット氏はインフルエンサーマーケティングに対する同社の姿勢を語る。「インフルエンサーたちのオーディエンスと弊社が繋がり、我々のブランドを知ってもらうために、彼らがひと息つき、考えるための時間を設けたいと思っている。たとえば、2回投稿して終わりでは、それはできない。そのオーディエンスとの繋がりは、そこで切れてしまう」。
クリエイティブエージェンシーのマッドウェル(Madwell)とアンカー・メディア(Anchor Media)が後押しする今回のキャンペーン、「#ProudlyVisible(プラウドリービジブル)」に参加するインフルエンサーの一部が、ビジブルとすでに仕事をしたことがあり、同社のほかのインフルエンサーキャンペーンにも関わっているのは、そのためだ。今回、同社のキャンペーンへの参加が初めてではないインフルエンサーには、パティ・ゴニア氏、ALOK氏、マット・バーンスタイン氏、タレク・アリ氏、ラフィニー氏、ケネス・バボン氏、スカイラー・ベイラー氏、ブレア・イマニ氏、アンジャリ・チャクラ氏などがいる。「#ProudlyVisible」はプライド月間マーケティングキャンペーンであり、さまざまなLGBTQ+アーティストや活動家にTikTokやインスタグラム、Twitterといったソーシャルプラットフォームにおいて、それぞれのチョーズンファミリー[chosen family/血縁に縛られず、自ら選択した人々で構成される家族]に関するストーリーを共有させている。
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広告戦略に欠かせない存在
インフルエンサーマーケティングは近年、非店舗型/D2Cブランドの広告戦略に欠かせない存在となっている。ソーシャルチャンネルに長い時間を費やし、フォローするインフルエンサーの商品評価を確認する行為が日常化したいま、インフルエンサーを使ったデジタル版口コミマーケティングは、規模の大小にかかわらず、ほぼすべての広告主にとって魅力的と言えるからだ。
ビジブルが今回のプライドキャンペーンでインフルエンサーに投じた金額も、同社のインフルエンサーマーケティング総予算についても、サーヴァット氏は具体的な数字を明かしていない。ただ、市場調査会社カンター(Kantar)によれば、2021年度第1四半期におけるビジブルのメディア費は2230万ドル(約25億円)であり、前年同期比で、実に250万ドル(約1億8000万円)の増額となっている。ちなみに、ソーシャルメディアはカンターの調査対象でないため、この数字にソーシャルチャンネルへの支出は含まれていない。
今回のキャンペーンでビジブルが起用したインフルエンサーには、ファッションデザイナーのクリスチャン・シリアノ氏、ミュージシャンのティーガン&サラの両氏、米リアリティ番組『ル・ポールのドラァグレース(RuPaul’s Drag Race)』の人気者カルメン・カレラ氏などもいる。彼らとのパートナー契約締結の仲立ちをしたのは、インフルエンサーマーケティングに強いエージェンシー、アンカー・メディアだ。インフルエンサーたちが個々のチョーズンファミリーに関するストーリーを共有する姿を見て、多くの人々もハッシュタグ「#ProudlyVisible」を使い、自身のストーリーを共有して欲しいと、ビジブルは期待している。
「1年を通じてLGBTQ+を支援」
ビジブルは実際、プライド月間中だけでなく、どのインフルエンサーマーケティングにも必ずLGBTQ+インフルエンサーを起用するよう努めている。「ビジブルのビジネスモデルはアクセシビリティ[近接性]とインクルーシビティ[包括性]を基本とする」とサーヴァット氏。「したがって、6月中だけでなく、すべてのキャンペーンにおいて、LGBTQ+の人々に代弁者として語ってもらうようにしている。これは創業当初から心がけていることであり、インフルエンサーの選択は極めて意識的に行なっている」。
6月を、単なるLGBTQ+の人々の起用月間ではなく、LGBTQ+ストーリーの祝福月間と捉えるのは、多くのブランドに必要な戦略であり、なかでもZ世代との繋がりを求めるところには欠かせないと、インフルエンサーマーケティングエージェンシー、スウェイ・グループ(Sway Group)CEOダニエル・ワイリー氏は指摘する。
「Z世代は確かに、6月中はレインボー[虹色]を掲げるブランドに大いに注目する。ただ、そのほかのときはそうでもない」とワイリー氏。「よって、プライド月間という好機を利用して注目を集めるのはもちろん大事だが、その1カ月で終わりにせず、1年を通じて[LGBTQ+の人々について]語って[彼らをサポートして]いくことが、ブランドには求められる」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)