アレルギー点鼻薬「アステプロ」の春のキャンペーンは、ヘルスケアよりも美容マーケティング、特にフレグランス・マーケティングの手法を取り入れた新しいアプローチを採用している。アステプロはスポット広告に女優で“イットガール”のメーガン・フェイヒー氏を起用した。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
アレルギー点鼻薬「アステプロ(Astepro)」の春のキャンペーンは、ヘルスケアよりも美容マーケティング、特にフレグランス・マーケティングの手法を取り入れた新しいアプローチを採用している。キャンペーンのタグラインは「セクシーな気分に、早く(Feel Sexy, Fast)」で、アステプロはスポット広告に女優で“イットガール”のメーガン・フェイヒー氏を起用した。フェイヒー氏はドラマ『ホワイト・ロータス(The White Lotus)』の最新シーズンに登場したことでよく知られており、過去には『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち(原題:The Bold Type)』にも出演した。同氏は93.6万人のフォロワーを持つインスタグラムでも、キャンペーンをプロモートしている。
「キャンペーンの開発にあたり、新しいアレルギー製品のユニークなポジショニングを探るべく、アレルギー患者の経験を丹念に調べた」と、このキャンペーンのためにアステプロが契約したトゥエルヴノート(Twelvenote)のクリエイティブディレクター、ダン・ウェスト氏は語る。「アレルギー症状があって、セクシーな気分になる人はいない。クリエイティブの観点から言えば、アステプロは早く気分が良くなる鼻スプレーだ。香水もまた早くに気分が良くなるスプレー。だからこそ、この2つを組み合わせるのは予想外でもあり、同時にとても自然なことだと感じた。アレルギー患者にとっての究極の必需品を作るため、2つを組み合わせるというアイデアは抵抗なかった。
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キャンペーンのプロモーションのため、アステプロは実際に「ラ・スポンタネイテ(La Spontanéité)」という名のユニセックスなオードトワレを作った。プレスリリースによると、このフレグランスは「人生で突然訪れるセクシーな瞬間に、どこでも、何にでも準備万端でいられるように」と作られたという。限定版のこのフレグランス(非売品)の懸賞が、現在行われている最中だ。
「アレルギー患者の10人中7人が、アレルギーのせいで魅力を感じなかった、あるいはラブライフに影響があったと認めている」と語るのは、アステプロの親会社バイエル(Bayer)で米国のアレルギー・咳・風邪製品のマーケティング責任者を務めるキャサリン・ヴェナット氏だ。「人々が自分自身を、外見だけでなく気分も含めてケアすることに時間を費やすようになり、健康、ウェルネス、美容の領域が交差している。たとえばアレルギー症状と戦った後など気分が良いときには、デートに出かけたり、友達と夜遊びに行くためにドレスアップするといった傾向が強くなるなど、密接に関わっている」とヴェナット氏は言う。
Glossyはフェイヒー氏に、アレルギー薬ブランドとの提携を選択したことや、お気に入りの香り、そしてゆるやかなウェルネスルーティンについて尋ねた。
ーーアルマーニ ビューティ(Armani Beauty)などのブランドと提携してきたあなたにとって、アレルギー薬のブランドと組むことの魅力とは?
「アレルギーに対する考え方全体を新たな解釈でとらえた広告だと思ったので、とても楽しみにしていた。ユーモアを取り入れたいというアステプロの考え方も、私にとっては自然なこと。そして実際に私は物心ついたときからずっと、アレルギーに苦しんできた」。
ーーインスピレーションを受けた、特定の香水の広告はあったか?
「香水のマーケティングでは、似たようなショットを見たことがあるだろう。それを少しからかおうという部分もあった。たとえば、ドレスを着た人が森のなかを走り抜けるといったものだ。そんなことをするアレルギーのCMは見たことがなく、とても面白いと思った。特に参考にしたブランドは無く、香水のCMがよく醸し出すありふれた雰囲気を少し拝借した」。
ーーアステプロのラ・スポンタネイテ以外で、シグネチャーセント(自分を象徴する香り)は?
「(ラ・スポンタネイテよりも)以前には、ヘンリー・ローズ(Henry Rose)の大ファンだった。いくつかを混ぜていたが、同ブランドのウィンドウズ・ダウン(Windows Down)、ジェイクズ・ハウス(Jake’s House)、トーン(Torn)の香りはすべてお気に入りだ」。
ーーラ・スポンタネイテの作成には携わったのか?
「いいえ。でもとても懐かしい感じがする。そしてユニセックス、あるいは少し男性的な香りには、コロンでも香水でもとても惹かれる。この香りは、まさしくそれだ」。
ーーアレルギーのケア以外での、ウェルネスのルーティンは?
「日々バタバタと忙しいなかで、本格的なレジメンは維持するのが難しいことがある。ありきたりのようだが、実際に続けているのは水だけ。水はあらゆることに効果があるので、一番頼りにしている」。
ーーハリウッドで働いているのに、それ以上に何か特別なことはしていないのか?
「してこなかったが、もしかしたら何かすべきなのかもしれない。サウナに入るのは大好きだが。あと、可能であれば朝一番に温かいレモンウォーターを飲むのも好きだ」。
ーーアステプロのキャンペーンは、アレルギーがあってもセクシーな気分になれる、というメッセージだった。あなたがセクシーな気分になるのは?
「正直なところ、自分にとって心地よく感じられるものを身に着けているときで、ヒール靴はあまり好きではない。どういうわけか私は、地に足をつけるというのを好むところがある。ブーツを履くのは好きだ。ブーツは私を、地に足をつけた安全で快適な空間にいる気分にさせてくれる」。
[原文:Meghann Fahy’s new allergy commercial riffs on perfume ad tropes]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)