D2Cブランドは何年ものあいだ、Facebookに依存しすぎているという認識を持っている。しかしながら、このプラットフォームが彼らの目標達成に重要な役割を果たすことから、メディアミックスの本格的な多様化に踏み切れないでいた。だが、そんな状況が今年になって変わり始めた、とメディアバイヤーたちはいう。
D2C(Direct-to-Consumer)ブランドは何年ものあいだ、Facebookに依存しすぎているという認識を持っている。しかしながら、このプラットフォームが彼らの目標達成に重要な役割を果たすことから、メディアミックスの本格的な多様化に踏み切れないでいた。
だが、そんな状況が今年になって変わり始めた、とメディアバイヤーたちはいう。多様化についての議論が2020年半ばから後半にかけて加速し、マーケターたちは広告費をFacebookからSnapchatやTikTok、Pinterest(ピンタレスト)のようなプラットフォーム、さらにはHulu(フールー)のような動画ストリーミングプラットフォームへ移動させるよう求めたという。
「Facebookから離れて多様化することは、いまの最大のテーマだ」と、ムーンシャイン・マーケティング(Moonshine Marketing)のマネージングディレクター、ジェレミー・ソーン氏は語る。「Facebookはいまだに最大のプラットフォームであり、誰もがまだそれを使っているが、ブランドはもはや、すべてをそこに注ぎ込むほどFacebookを信用していない」。
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Facebook依存を見直している理由
マーケターがトーンを変えた理由はさまざまだ。大きな要素のひとつはコストだ。バイヤーたちによると、Facebookでの最近数カ月のCPM(インプレッション単価)が14~17ドル(約1450〜1750円)なのに対し、SnapchatやTikTokのCPMは3~5ドル(約310〜510円)だという。その他の問題としては、Facebookのアドマネージャー(Ads Manager)のバックエンドが壊れていたり、さまざまな場面で機能しなかったり、誤ってアカウントがランダムに停止されたりする齟齬があることが挙げられる、とバイヤーは口を揃える。
パフォーマンスマーケティングエージェンシーのテイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創業者で、戦略責任者を務めるドゥアン・ブラウン氏は、「2020年夏、Facebookアドマネージャーが壊れ、Facebookが何らかの変更を加え(たことは明らかで)、広告を掲載しにくくした」と述べ、その結果としてクライアントに多様化を勧め始めることになったと付け加える。「FacebookからSnapchatやTikTokへ移動した割合は15~20%と決して多くはないが、2021年にはもっと増える」。
マーケターがFacebook依存を見直している理由はこれだけではない。今夏Facebookアドマネージャーのサービス停止に見舞われたとき、マーケターの多くは、Facebookに割り当てられている広告費をSnapchatやTikTok、Pinterestなどの別のチャンネルへ移動させテストしてみるようメディアバイヤーに依頼した。
Facebookから離れてチャネルを多様化することについての議論は、「6月にサービス停止があったときに始まり、それ以来勢いを維持している」と、パフォーマンスマーケティングエージェンシー、デジショップ・ガール(Digishop Girl)の最高経営責任者(CEO)、カトヤ・コンスタンチン氏はいう。「ほかのプラットフォームでの実験は上手くいったので、そうしたプラットフォームへの支出が2021年のメディアプランに盛り込まれる。ブランドはいまでは、新しいチャネルを試して顧客獲得範囲を広めるための実験予算に、よりオープンになっている。2021年になれば、多様化を目指すブランドがもっと増えるだろう」。
「Facebookではいずれ収益率が限界に」
ほかのチャネルのテストを通じてマーケターたちは、Facebook以外の場所でより多く支出することに抵抗を感じなくなった。ほかのプラットフォームが堅実なROAS(広告の費用対効果)とより安価なCPMを提供してくれたからだ、とバイヤーたちはいう。同時に、SnapchatやPinterest、さらに最近ではTikTokにもShopify(ショッピファイ)が統合されたことで、D2Cブランドやeコマースブランドを抱えるマーケターにとって、これらのプラットフォームの魅力が増し、広告予算をそこへ移そうという気にさせている。ホームステッドストゥーディオ(Homestead Studio)のCEO、ザック・スタック氏によると、特にSnapchatやTikTok向けの広告制作が容易になったという。ユーザー生成コンテンツはこれらのプラットフォーム上ではパフォーマンスがいいからだ。
メディアバイヤーによると、マーケターは通常、Facebook用の広告予算の10~30%をほかのプラットフォームへ振り分けているといい、クライアントがFacebookからの多様化を求めてくると考えているという。そうは言っても、マーケターはまだ、広告予算の多くをFacebookとGoogleで使っている。
スタック氏はこう語る。「人々はより安定したプラットフォームを見つけようとしている。D2Cブランドにとって、Facebookは依然としてもっとも安価でもっとも一貫性のあるプラットフォームだが、時間とともに低下し続ける収益率が限界点に達するときがくるだろう」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:長田真)