玩具企業のマテル(Mattel)といえばファッションドールのバービー(Barbie)が有名だが、同社は他にも400以上のブランドを展開している。今、CEO兼プレジデントのリチャード・ディクソン氏は、同社の「復活」を目指しているという。同氏へのインタビューの一部をお伝えする。
玩具企業のマテル(Mattel)といえばファッションドールのバービー(Barbie)が有名だが、同社は他にも400以上のブランドを展開している。今、CEO兼プレジデントのリチャード・ディクソン氏は、同社の「復活」を目指しているという。
アナログ玩具は今やスマートフォンやフォートナイト(Fortnite)といったゲームとの激しい競争にさらされており、ディクソン氏はそんななかでもできる限りメディア露出を増やしていきたいと語る。
ディクソン氏は米DIGIDAYの姉妹サイトのモダンリテール(Modern Retail)のポッドキャスト番組の最新回で次のように述べている。「我々の消費者は、いつの時代も、今も存在している。その方たちの目に触れる場所にいたい」。マテルは、YouTubeの短尺動画を自社製作しているほか、インフルエンサーとのコラボも試みている。さらにはNetflixでも番組を展開しており、昨年は22本のアニメや実写テレビ番組を発表した。
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たとえば今も米国の子供向け人気ケーブルチャンネルのニコロデオン(Nickelodeon)は若い消費者にリーチするにあたって非常に重要な一方、もっとも伸びているのはYouTube Kidsだという。「ここ数年でYouTubeが一番伸びている」とディクソン氏は語る。
さらにマテルは最近、「マテルクリエーションズ(Mattel Creations)」というD2Cプラットフォームをローンチした。同プラットフォームは、主にマテルが提供しているより大人向けの商品を扱っている。このD2Cプラットフォームは、直販のチャネルを増やすことを目的に立ち上げられた(ディクソン氏は、マテルにとって小売パートナーも非常に大切な存在だと補足している)。
以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。
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YouTubeを目指す
「YouTube Kidsは、当社にとって非常に重要なチャネルということが分かった。YouTube Kidsはさまざまな分野の短尺、長尺のコンテンツ双方で成長を続けており、当社もそれぞれがチャンネルを有するインフルエンサーと提携している。当社がコンテンツ製作を手掛けるホットウィール(Hot Wheels)は、今やYouTubeでもっとも人気の高い男の子向け玩具チャンネルへと成長した。当社のブランドはどれもプレゼンスは極めて高い。その一方、ニコロデオンは今も非常に有効なチャネルであり、素晴らしいコンテンツを揃えている。現在、映画は手掛けていないが、芝居型番組はオンライン展開も進めている。またオンラインゲームを利用する試みも行っている。たとえばホットウィールは非常に人気の高いオンラインレースゲームにも登場している。つまり当社は、消費者がいるあらゆる場所へ露出を試みているが、そのなかでもここ数年でもっとも成長したのはYouTubeだと思う」。
D2C展開
「新たにマテルクリエーションズというD2Cブランドを立ち上げた。これは当社にとっても初の試みで、とりわけ興味深い商品や大人向け商品を集めたプラットフォームとなっている。当社のブランドは実にさまざまなコラボを展開している。『マテルクリエーションズ』というのは当社のもともとの社名だが、こうしたコマースやコンテンツ展開用の本格的なオンラインプラットフォームをローンチしたのも初の試みだ。これを通じてさらなる成長を遂げたいと願っている。マテルは実に400を超えるブランドを有しており、75年にわたって多くの人々の人生に触れてきた企業だ。どのようなブランドとコラボし、どういった形で人々を楽しませられるか、実にさまざまな可能性が広がっている。今、もっとも人気のポップカルチャーを代表する方たちとも感情的なつながりを共有している。たとえばホットウィールはトラビス・スコット氏ともコラボしたし、ウノ(UNO)はカイリー・ジェンナー氏とコラボした」。
短尺と長尺コンテンツの両方を手掛ける
「こういったさまざまな変化は、リスクを負わずには進められない。結局のところ、消費者がいる場所で展開しようとすれば、現代においてはあらゆるチャネルを目指すことになる。消費者に関連する全プラットフォームで展開すべきなのだ。YouTubeでも短尺コンテンツだけでなく、ストーリーのある長尺コンテンツも製作し、Netflix展開や映画化もしている。さらにオンラインゲーム化もそうだ。ほかにもさまざまな手段で消費者の生活に自然に入り込み、それが最終的に事業に結びつけば良いと考えている。この半年間で、親と子供が一緒に家にいる時間が増えた。そのなかで親としても子供が夢中になってくれるツールの必要性は増しており、子供の成長の観点から遊びの内容を重視する親も増えている。当社の視点もそれに合わせて変わっており、取り組みにも影響を与えている」。
[原文:Mattel COO Richard Dickson on entertaining young consumers everywhere they are]
Pierre Bienaimé(翻訳:SI Japan、編集:長田真)