イギリス国内でリテーラーとしての影響力を強めているマークス&スペンサー(Marks and Spencer、以下M&S)。その次なるソーシャルメディア戦略は、インスタグラムをマネタイズの場所としてではなく、よりオ […]
イギリス国内でリテーラーとしての影響力を強めているマークス&スペンサー(Marks and Spencer、以下M&S)。その次なるソーシャルメディア戦略は、インスタグラムをマネタイズの場所としてではなく、よりオーガニックな場所として活用する、というものだ。
インフルエンサーを使った買い物を促すような投稿をはじめ、このリテーラーにとって、ソーシャルネットワークはソーシャルメディアマーケティングの中核を担うようになってきた。だが、ソーシャルネットワークで急成長を見せているストーリー(Stories)、とりわけM&Sではフードビジネスに関する投稿で、まだ試行錯誤を続けているところだと、フードコンテンツ部門を率いるエマ・スライト氏は語る。なかにはストーリー内広告や有料のサポートによって伸びる投稿もあるが、M&Sのフードビジネスの大部分はオーガニック投稿であり、フォロワーがそそられるコンテンツを知ろうと奮闘中だ。
食品部門では認知重視
「M&Sの食品部門では、最低でも週に3回はストーリーに投稿するように、頻度を増やしてきた。このことで、メインフィード以上にオーガニックリーチを最大限伸ばすことができている」と、スライト氏は語る。「インスタグラムストーリーの活用が増えてきていることも、ブランドが何かしらの形でそれに反応を示さなければならないこともわかっている」。
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スライト氏によると、シェアされるストーリーのほとんどは、ゲーム要素のある投稿やアンケート形式の投稿だ。その目的は「意義のあるエンゲージメントを生み出す」こと、そしてさまざまなコンテンツのアイデアをテストできる良い実験場所として機能させることだった。その一例として、2018年11月にGIF画像サイトのジフィー(Giphy)を使って行なったパーシーピッグス(Percy Pigs)キャンディーの商品ラインナップのキャンペーンでは1310万ビューを達成。実際、M&Sの食料品関連商品のマーケターたちの目標は、インスタグラムでのブランド認知を強めることであり、そのプラットフォームの外でお金を落としてくれるようにフォロワーを促すことではない。
「我々は、インスタグラムストーリーを、ターゲットとなるオーディエンスにリーチし、我々のイノベーションや商品開発についての認知度を広めるための非常に効果的な手段だと考えている」と、スライト氏は言う。「ゲーム感覚の投稿でユーザーにタップを促したり、ユーザーの投稿を一緒になって盛り上げていくなど、それが顧客をクリエイティブに巻き込むものであれば、エンゲージメントは急増する」。
衣類関連ではCV重視
だが、衣類関連商品での戦略は、よりコンバージョンに重きを置いているようだ。M&Sのデニムなどの特定の商品の販促に関するストーリーでは、ユーザーをM&S自身のeコマースサイトの商品販売ページに誘導している。M&Sは、自社の衣服ブランドのソーシャルネットワーク上での業績については詳しく教えることはできない、と語った。
M&Sの食品と衣類部門の違いは、インスタグラムでの動きを見れば一目瞭然だ。
インフルエンサーのライフスタイルを見せる写真や動画など、ブランドのメインのタイムライン上で公に投稿されるオーガニック投稿には、ソーシャルネットワークでのブランド認知を確かなものにするという意図がある。アナリティクス企業のブランドトータル(BrandTotal)が行なった調査によると、直近の30日間で、このブランドのメインのタイムラインには210件を超えるオーガニックコンテンツがストーリーとして投稿されたという。
スポンサード投稿は、特定のキャンペーンでターゲットとなるユーザーに対してだけ表示される「ダークポスト」だが、これは「今すぐ購入」や「購入はこちら」のように、購買喚起を露骨に促すものだ。こうしたスポンサード投稿は季節ごとのコレクションなどの特定の商品を宣伝する投稿であり、そこには値段やコンバージョンにもとづいた広告も含まれる。
すべて1アカウントで
興味深いことに、こうしたインスタグラム上でのブランドキャンペーンは、食料品、衣類や家具などのビジネスの部門を含めて、すべて自社のメインアカウントで運用されている。だが、これではオーディエンスにとっては適切にセグメントされているかどうか分からなくなってしまうおそれがある。