世界的なパンデミックの最中にあっても、スーパーボウルは開催された。このビッグゲームの広告費が高額なことは、周知の事実だ。なにしろ、30秒のスポットで推定550万ドル(約5.8億円)もするといわれている。しかし、その550万ドルという金額で、ほかのどんなデジタルの特等席を購入できるのか、比較してみよう。
「ショウほど素敵な商売はない」と言われている。そして、世界的なパンデミックの最中にあっても、ビッグゲームは続けなければならない。
しかしながら、今年はバドワイザー(Budweiser)やコカ・コーラ(Coca-Cola)、ペプシ(Pepsi)といった、往年のスーパーボウルのスーパースターマーケターたちは、広告出稿を取りやめている。当然のことながら、今回の広告スポットも綺羅びやかな値札が付いているため、そういう判断に至ったのかもしれない。なにしろ、30秒のスポットで推定550万ドル(約5.8億円)もするといわれているのだ。
このビッグゲームの広告費が高額なことは、周知の事実だ。しかし、その550万ドルという金額で、ほかのどんなデジタルの特等席を購入できるのか、比較してみよう(我々の以前の集計は、こちらやこちら、そしてこちらで確認できる)。
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酒類専門EC「ドリズリー」のディスプレイ広告:370万回の有料クリック
フットボールとビール、これ以上のベストマッチは想像できない。そして、世界的なパンデミックの真っ只中で、より多くの消費者が、ドリズリー(Drizly)のようなデリバリーサービスを利用して、フードやドリンクを宅配してもらっている。つまり、広告主はそのようなサービスのアプリでも、スーパーボウルのオーディエンスを見つけることができたはずだ。
あるメディアバイヤーによると、ドリズリーの検索広告やディスプレイ広告の場合、クリック単価はカテゴリーによって異なり、1.45ドル(約152円)から2.60ドル(約274円)となっているという。この場合、550万ドルの予算で、210万~370万回の有料クリックを獲得できる計算となる。
薬局チェーン「ウォルグリーン」の検索広告:680万クリック
薬局チェーン「ウォルグリーン(Walgreens)」の検索広告の平均的なクリック単価は、とあるメディアバイヤーによると、およそ0.8ドル(約84円)になるという。この数字を考慮すると、バイヤーがスーパーボウルのスポットに費やした550万ドルで、ウォルグリーンなら680万回のクリックを獲得することができる。
薬局チェーン「CVS」の検索広告:280万クリック
米DIGIDAYが以前報じたように、薬局チェーン「CVS」は昨年半ばに、CVSメディアエクスチェンジ(CVS Media Exchange)を立ち上げ、小売メディアビジネスに参入した。これの利用を検討しているメディアバイヤーによると、1クリック少なくとも1.90ドル(約200円)の出費を見込んでいるという。その数字から算出すると、550万ドルの予算があれば、CVSで280万回のクリックを購入できることになる。
「ディスカバリー+」のインプレッション:4億2700万回
カンザスシティ・チーフスとタンパベイ・バッカニアーズによるこのビッグゲームを、何百万人もの人々がテレビで観戦するはずだ。しかし、スポーツファン以外に広告を当てるとしたら、「ディスカバリー+(Discovery+)」のようなサービスが具体的な選択肢になるだろう。米DIGIDAYが報じるところによると、ディスカバリー(Discovery)は今年のはじめ、広告付きと広告無しのふたつプランから選べる、サブスクリプションサービスを開始した。あるメディアバイヤーによると、ディスカバリー+でのキャンペーンは、CPMが12.87ドル(約1359円)で購入できるという。550万ドルの予算があれば、4億2700万インプレッションを購入できる計算になる。
You Tubeのインプレッション:2億7500万回
オラクルCX(Oracle CX)の調査によると、Z世代は今年のスーパーボウルに関して楽観的で、41%のファンが今年はより良い広告を期待している。そして、彼らはスポットが放映されたあとに、YouTubeでその録画を探すかもしれない。メディアバイヤーによると、YouTubeのスキッパブルなインストリーム広告はおおよそ0.02ドル(約2円)。550万ドルの支出をしたら、YouTubeで2億7500万インプレッションを購入できる。
Google検索:610万の有料クリック
今年のビッグゲームの最中にも多くの検索を期待できる。Googleトレンド(Google Trends)によると、スーパーボウルの開催前に、消費者はすでにチームやハーフタイムパフォーマー、ショウタイムなどのリサーチをかけている。メディアバイヤーによると、Google検索広告の有料クリックは平均で、0.90ドルと1ドルのあいだになるという。550万ドルでバイヤーは、Googleの検索広告で550万から610万のクリックを得ることができる。
TikTokの#ハッシュタグチャレンジ:トップインフルエンサーの22週分
あるメディアバイヤーによると、TikTokインフルエンサーとの仕事では、インフルエンサーのランキングに応じて段階的に相場が決められている。1億以上のフォロワーを有するチャーリー・ダミリオ氏のようなTikTokのトップスターだと、およそ10万ドル(約1055万円)の値がつく可能性があるという。この短尺動画アプリで広告主は、15万ドル(約1580万円)/週でハッシュタグチャレンジを実施できる。これらを550万ドルの予算で実行すると、バイヤーはトップインフルエンサーの協力を得て、22週間のハッシュタグチャレンジを実行できることになる。
[原文:What a $5.5 million Super Bowl ad can buy in digital media]
KIMEKO MCCOY(翻訳・編集:長田真)