CMOがもてはやされる時代は終わったのかもしれない。少なくとも、我々がこれまで見てきたようなCMOの時代は。
2010年代を通じて、ある種のCMOに対する評価が高まっていった。クールなクリエイティブで話題を呼び、ブランドを成長させるだけでなく、彼ら自身もまた話題の的になるといったタイプのCMOだ。自ら進んで注目を集めようとしていたかどうかは人それぞれだろう。しかし多くの場合、そうしたCMOは賞を授与され、あちこちのカンファレンスに登壇し、広告業界が目指すべき輝かしい見本とされた。
ところが近年、特にこの1年は明らかに空気が変化した。景気が減速するなか、マーケターは基本に立ち返り、黙々と仕事に集中するようになっている。それと同時に、エージェンシー幹部や業界アナリストによると、マーケターはより少ないリソースでより多くの仕事をこなし、それがうまくいっていることを証明し、これまで以上に多くの責任を負うことを求められるプレッシャーに直面しており、その傍らで自身のブランドも構築することは困難になっている。
ジャスティン・ビーバーからベートーベンへ
マーケティングショップ、ノウン(Known)の共同創設者兼プレジデントのロス・マーティン氏は、「ほとんどすべての業界で、マーケターは統合やリソースの制約に直面している。マーケティングの効果を含めて、ビジネスのあらゆる側面に向けられる目がこれまでよりはるかに厳しくなっている」と述べ、マーケターの役割がジャスティン・ビーバーからベートーベンへ、すなわちロックスターのような花形から、より多くのことを任される指揮者や作曲家へ変化していると指摘する。
「私が知っているCMOのほとんどは、人件費や使えるメディア予算といったリソースを20~50%削られたなかで仕事をしているが、ほぼすべてのケースで成功の指標は以前と変わっていない。はるかに少ないリソースで、はるかに多くのことをこなすよう求められている状況だ」。
CMOの役割が変化し、困難さを増していることで、CMOがブランドにもたらしている貢献も見えづらくなっている。彼らの貢献は、クールで新しいクリエイティブキャンペーンや優れた戦略ほど明確なものではないからだ。
CMOがもてはやされる時代は終わったのかもしれない。少なくとも、我々がこれまで見てきたようなCMOの時代は。
2010年代を通じて、ある種のCMOに対する評価が高まっていった。クールなクリエイティブで話題を呼び、ブランドを成長させるだけでなく、彼ら自身もまた話題の的になるといったタイプのCMOだ。自ら進んで注目を集めようとしていたかどうかは人それぞれだろう。しかし多くの場合、そうしたCMOは賞を授与され、あちこちのカンファレンスに登壇し、広告業界が目指すべき輝かしい見本とされた。
ところが近年、特にこの1年は明らかに空気が変化した。景気が減速するなか、マーケターは基本に立ち返り、黙々と仕事に集中するようになっている。それと同時に、エージェンシー幹部や業界アナリストによると、マーケターはより少ないリソースでより多くの仕事をこなし、それがうまくいっていることを証明し、これまで以上に多くの責任を負うことを求められるプレッシャーに直面しており、その傍らで自身のブランドも構築することは困難になっている。
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ジャスティン・ビーバーからベートーベンへ
マーケティングショップ、ノウン(Known)の共同創設者兼プレジデントのロス・マーティン氏は、「ほとんどすべての業界で、マーケターは統合やリソースの制約に直面している。マーケティングの効果を含めて、ビジネスのあらゆる側面に向けられる目がこれまでよりはるかに厳しくなっている」と述べ、マーケターの役割がジャスティン・ビーバーからベートーベンへ、すなわちロックスターのような花形から、より多くのことを任される指揮者や作曲家へ変化していると指摘する。
「私が知っているCMOのほとんどは、人件費や使えるメディア予算といったリソースを20~50%削られたなかで仕事をしているが、ほぼすべてのケースで成功の指標は以前と変わっていない。はるかに少ないリソースで、はるかに多くのことをこなすよう求められている状況だ」。
CMOの役割が変化し、困難さを増していることで、CMOがブランドにもたらしている貢献も見えづらくなっている。彼らの貢献は、クールで新しいクリエイティブキャンペーンや優れた戦略ほど明確なものではないからだ。
「CMOの職務の範囲は大きく変わった」と、マーケティングコンサルタント企業ジャニュアリーデジタル(January Digital)の創業者兼CEOのビク・ドラビッキー氏は話す。「CMOは、広告キャンペーンやマーケティング、広告に加え、ブランドのセンチメントやポジショニング、さらには文化的な時代精神、さらにはテクノロジー、さらには……とあらゆることを任されるようになった。少なくとも、我々はおそらくCMOを自身のキャリアを自慢する暇もないほど働かせるようになっている」。
CMOの「輝き」はより見えにくくなっていく
より少ないリソースでより多くをこなすプレッシャーや、職務範囲の拡大は、マーケターに向けられる目が厳しくなっていくなかでの変化だと、クリエイティブデザインとブランディングを手がけるエージェンシーのパールフィッシャー(Pearlfisher)で戦略的ビジネス開発担当エグゼクティブディレクターを務めるジャスティーン・アラン氏は指摘する。
そしてCMOの平均在任期間が短縮し続けるなかで、当然ながら、マーケターは刻一刻と減り続ける時間とも戦っている。「CMOの平均在任期間が18カ月であることを考えると、その期間内にどれだけのキャリアを築くことができるだろうか」と、ブランドコンサルティング会社メタフォース(Metaforce)のパートナーのデーヴィッド・キャンプ氏は話す。
ザンベジ(Zambezi)のプリンシパル兼CEOのジーン・フリーマン氏も、そのように短い時間では、組織のなかで能力を発揮することがいっそう難しくなると述べ、さらにはCMOの肩書をCMOから最高グロース責任者や最高カスタマー責任者に変更する動きもあり、それが「現在のCMOの仕事内容や職務範囲の流動性」を高めているという。
どのような名前で呼ばれるにせよ、これから先、CMOが称賛を浴びる日が二度と来ないというのではない。しかし、役割や責任の進化、さらには現在の情勢によって、CMOという星の輝きは目に見えにくくなっている。
Kristina Monllos(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:分島翔平)