広告に懸賞を使うこと自体は目新しいものではない。特にスーパーボウル中継の広告枠を利用しないマーケターたちは、何年ものあいだ、スーパーボウル関連の注目を集めるために懸賞を利用してきた。広告にインタラクティブなゲーミング要素を加えることが、今年の人気アプローチになるかもしれない。
マウンテンデュー(Mountain Dew)は、昨年2月のスーパーボウルで30秒間のスポット広告を流したが、その広告内で何本のマウンテンデュー・ボトルが映り込むか、視聴者に推測するよう求めた。正答者には100万ドル(約1.1億円)の賞金を獲得するチャンスが与えられた。
広告に懸賞を使うこと自体は目新しいものではない。特にスーパーボウル中継の広告枠を利用しないマーケターたちは、何年ものあいだ、スーパーボウル関連の注目を集めるために懸賞を利用してきた。広告にインタラクティブなゲーミング要素を加えることが、今年の人気アプローチになるかもしれない。
たとえば、仮想通貨取引所のFTXは、ビットコインを獲得するチャンスを得るために、スーパーボウルの日曜日に固定ツイートをリツイートするよう視聴者に求めている。FTXは、4人のオーディエンスに、スポット広告が放映された時間と同じ量のビットコインを提供する計画だ。つまり、広告が7:15 PMに放映された場合、7.15ビットコイン、つまり約30万3349ドル(約350万円:本稿掲載時点)が提供されることになる。
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FTXのマーケティング責任者、ネサニエル・ウィットモア氏は、「我々はブランド認知と消費者エンゲージメントを結びつける戦略を好む」と述べ、スーパーボウル戦略は「自然な組み合わせ」だと付け加えた。
「広告の一大イベント」を再考すべき
このアプローチをとっているのはFTXだけではない。ゲーミフィケーションや懸賞のアプローチで消費者の注意を引きつけようとしているほかのマーケターには、ステートファーム(State Farm)、バドライト(Bud Light)、グルーポン(Groupon)などがいる。と同時に、NBC(スーパーボウル中継局)は、30秒スポット広告の料金を100万ドル(550万ドルから650万ドルに[約6.3億円から約7.5億円に])上げている点も特筆に値する。
メカニズム(Mekanism)の最高ソーシャル責任者兼パートナーであるブレンダン・ガハン氏は、「昨年の視聴率が下がったことで、価格へのプレッシャーはさらに高まっている」と語った。「広告主は今年も同様の視聴率低下を予想しているに違いない。その結果、マーケターはできる限り投資を幅広く活用しようとしている。獲得したメディア(およびエンゲージメント)の波及効果を生み出すために、第2のスクリーン体験(モバイルなど)を統合したテレビ広告の配置がより強調されている」。
2021年のスーパーボウルの視聴者数は9640万人だった。2007年以来の最低視聴率を記録したと報じられている。
GUTの共同創設者でクリエイティブ部門の責任者でもあるアンセルモ・ラモス氏も同じ意見だ。「グラミー賞、ゴールデングローブ賞、そしてスーパーボウルのような伝統的に大規模なテレビイベントは、広告の最大の視聴者数獲得の機会と考えられてきたが、私たちはブランドが一般的に『広告の一大イベント』が何を意味するかについての考え方をやっと変えつつあることを確認している。その多くは、ソーシャルメディアをブランド認知と消費者との関わりの主な原動力として利用することに関係している」。
「重要なのは広告自体が優れていること」
このような意識の変化と消費者のアテンションを求める戦いが、今年のスーパーボウルの広告枠における懸賞やゲーミフィケーションの数を増やしているようだ。そうは言っても、マーケターは単に人々の注意を引くために賞金に頼ることはできない。
TBWA\シャイアット\デイ(TBWA\Chiat\Day)ニューヨーク支社のロブ・シュワルツ会長は、「ゲーミフィケーションは、適切に行われると注目を集めることができ、視聴者にブランドを使って遊んでもらい、覚えてもらうことができる」と語った。「ソーシャル、デジタル、アクティベートなどのエコシステムも重要だが、スーパーボウルのスポット広告でもっとも重要なのは30秒か60秒の広告自体が優れていることだ」。
Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)