広告代理店の幹部たちの証言によると、マーケティング担当者は広告支出を続けており、新しい案件提案の数も増えているなかで今年の後半には、支出が増加する可能性があるという。しかし、マーケティング担当者の現在のムードはどのようなものか問うと、あるエージェンシーの幹部は「まだ慎重な楽観主義」だと述べた。
マーケティング担当者や広告代理店の幹部たちに第2四半期の見通しを聞いてみると、意見が分かれていた。
広告代理店の幹部たちの証言によると、マーケティング担当者は広告支出を続けており、新しい案件提案の数も増えているなかで今年の後半には、支出が増加する可能性があるという。
慎重な楽観主義
しかし、マーケティング担当者の現在のムードはどのようなものか問うと、あるエージェンシーの幹部は「まだ慎重な楽観主義」だと述べた。同時に、支出は昨年第2四半期に比べて減少している。代理店の幹部たちによると、減少幅は約10%減で、多くの人が年初に予想していたよりも少なかったという。マーケティング担当者は予算の持ちを長引かせようとしており、長期的なコミットメントよりも柔軟性を求めている。
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「誰もが、春が本当に春(ポジティブな状況の始まり)であることを望んでいる」と、訪問データプラットフォームのグラウンドトルゥース(GroundTruth)でCMOを務めるブランドン・ローテン氏は述べた。
「緩やかによりよい状況で、着陸できる兆候が存在している。人々は春を期待しており、インフレや景気後退をそれほど心配せずにビジネスを再開できることを望んでいる。確かに、1カ月前よりも希望はある」。
現在のマーケターは短期的な計画に注力
ローテン氏によると、この希望も一時的な仮のものであり、マーケターたちはブランド構築よりもパフォーマンス・マーケティングにより多くの投資を行っているという。マーケターたちは、1カ月前に予想していたよりもよい第2四半期であることを、慎重な態度で楽観している。また、最善の結果を期待している一方で、最悪の事態は避けるために引き続き柔軟性に焦点を当てている。
現在のマーケターは短期的な計画に重点を置いており、「長期的な契約を結ぶよりもキャンペーンの開始に近い時期に資金を投入している」とUMの米国最高マーケットプレイス責任者であるステーシー・スチュワート氏は説明し、「柔軟性が引き続き最優先事項である」と付け加えた。
「誰もが一番気にしているのは支出そのものではなく、不確実性だ」と同氏は言う。「誰もが収益確保のために予算を戻す必要がないと確信できるギリギリまで、その予算で続けたいと思っている」。
依頼のプロセスが変化
メカニズム(Mekanism)の最高経営責任者であるジェイソン・ハリス氏によると、一部のマーケティング担当者が慎重な姿勢を維持している一方で、「冷静さを保ち、前進するのみ」というメンタリティーで、売り上げ増加のために利益が下がることも受け入れているマーケターもいるという。
「より多くのブランドが、自分たちが支出を行っていないあいだに、競合他社が広告に支出していることは、景気が回復したときに(競合他社)がシェアを得ることにつながると認識している」とハリス氏は述べた。また、「(景気低迷期に)広告支出を止めるのは誤りであることは明らかだ。よりスマートなブランドは、よりよい立場に立つためには黒字減少を引き受ける」と続け、「現在は広告費の柔軟性に焦点が当てられているが、その流れは新しい案件提案にも浸透しているようだ」と指摘した。
「最近見られるのは、クライアントがまずプロジェクトを行い、それがうまくいけば指名代理店(agency of record、以下AOR)の契約に繋がるということがある。以前は、AORかプロジェクトかのどちらかだった。まずはAORではなく、プロジェクトの提案をまずはする、という動きが起きている。最終的な(事業を勝ち取った)代理店が気に入れば、それがAORに繋がるといった具合だ」。
提案依頼のプロセスがこのように変化しているにもかかわらず、新しいビジネスの売り込みが行われているという事実は、同氏に今年の第2四半期と後半が予想よりもよくなるという希望を抱かせている。「案件提案の量を見ると、クライアントが今年の後半を忙しく計画していることが示されている」と同氏は述べ、「今年はよい年になると思う」と言い添えた。
[原文:Marketing Briefing: The outlook for Q2 is mixed, but marketers’ hopes grow for a better 2nd half]
Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)