ここ2年間、迫り来る不況に対する恐れから慎重になっているマーケターたちは、予算に関して保守的になり、広告取引ではフレキシブルさを求めている。
今年の第1四半期を前にして、再びその傾向が高まった。不況の恐れを跳ね返すような四半期が期待されていたが、人員の削減が続き、結果的にはその期待には応えられなかった。
ここ2年間、迫り来る不況に対する恐れから慎重になっているマーケターたちは、予算に関して保守的になり、広告取引ではフレキシブルさを求めている。
今年の第1四半期を前にして、再びその傾向が高まった。不況の恐れを跳ね返すような四半期が期待されていたが、人員の削減が続き、結果的にはその期待には応えられなかった。
波乱続きの1Q、影響は複雑
第1四半期が終わったいま、マーケターや広告代理店の幹部たちは、その結果にポジティブ、ネガティブ両方の要素が入り混じっており、第2四半期の予測がより困難になっていると語っている。特にテクノロジー分野での雇用の損失が増えたり、銀行業界に関する懸念やTikTokが禁止される可能性など、波乱含みの四半期だった。一方で、新規ビジネスへの関心が強くなっているとも指摘している。
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「クライアント企業の中には、縮小や再編が行われているところも多い」と、モジョ・スーパーマーケット(Mojo Supermarket)のマネージングディレクターであるニシェル・サンダース氏は言う。「その影響は単純ではなく、プロジェクトの増加や減少、作業の遅延や加速など、さまざまな状況があった。状況は非常に変わりやすい」。
第1四半期は「全体的にはプラスの面がマイナスの面よりも多かった」とサンダース氏は指摘し、波乱含みの経済状況の中では、代理店は通常、予算を削減し、プロジェクトに集中することを付け加えた。しかし、クライアントの経済状況への対応は(現在の状況は業界全体ではなく、特定のセクターの状況により密接に関連している)、広告業界の経営者たちによって説明されているように、さまざまだった。
広告主は支出に厳密さと具体性を要求
「やや緩やかな四半期を予想していた」と、ペレイラ・オデル(Pereira O’Dell)の創設者でCEOのアンドリュー・オデル氏は述べ、「想定していたほど難しくなかった。事前に企業が少し後ろ向きになっていることは分かっていた。しかし、同時に新規ビジネス活動も多く見られた」と語った。
オデル氏によれば、一部のクライアントは支出を抑えたが、そうしなかったクライアントもいたという。「一貫した全体的なパターンはなく、業界ごとに状況は異なっている」と述べた。
代理店幹部たちによると、クライアントは新規ビジネスの提案やブリーフに対して、より厳密さと具体性を求めており、今後数カ月でマーケティングの精査がより厳しくなることは明らかだという。
そうした状況を受け、マーケターや広告代理店の幹部たちは、第2四半期に入っても予算が引き続き厳しくなると見込んでおり、マーケターは保守的な予算と契約内容に柔軟性を求める姿勢を維持するだろう。ただし、サンダース氏は「今の経済状況では、将来の四半期を予測することは現実的ではなくなっている」と述べ、次の四半期に何が起こるかは分からないと指摘している。
2023年後半は不況? それとも回復?
取材に応じたマーケターや広告代理店の幹部たちによれば、不況が迫っているとの噂はまだ残っており、今年の後半に突入するかもしれないという見方もあるが、同時に懐疑的な意見もある。
「この迫り来る不況については、過去15~18カ月間ずっと話している」とオデル氏は言う。「まるで不況にあるようには感じない。人々は今年の後半だと言っている。それは昨年も同じだった。みんな自分たちのビジネスを守るために最善を尽くしている」。
Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)