マーケターは今年、ホリデーシーズンを盛り上げるにあたって、ますますインフルエンサーに目を向けている。今年のホリデーシーズンに先立ち、インフルエンサーマーケティングエージェンシーの幹部は、ホリデーシーズンのインフルエンサーキャンペーンの依頼が、昨年と比べて20~30%増加したと述べている。
マーケターは今年、ホリデーシーズンを盛り上げるにあたって、ますますインフルエンサーに目を向けている。
たとえば、ホームセンター大手のロウズ(Lowe’s)は、12月初めにスタートした「レターズ・トゥ・ホーム(Letters to Home:ご家庭へのお便り)」キャンペーンに、インフルエンサー18人を起用し、家族に感謝の気持ちを伝えると同時に、家庭を彩るギフトを選ぶよう人々に促した。ホリデーシーズンにおいてインフルエンサーに目を向けているのは、ロウズだけではない。今年のホリデーシーズンに先立ち、インフルエンサーマーケティングエージェンシーの幹部は、ホリデーシーズンのインフルエンサーキャンペーンの依頼が、昨年と比べて20~30%増加したと述べている。
「ホリデーシーズンのコンテンツに関してブランドやインフルエンサーと協力するのは、今年で12年目だが、これまではこれほど多くのプログラムはなかった。昨年より20%以上多い」と語るのは、インフルエンサーマーケティングエージェンシー、クレバー(Clever)の創業者で、インフルエンサーマーケティング協会(Influencer Marketing Association)のエグゼクティブディレクターを務めるクリスティ・サミス氏だ。「インフルエンサーとクリエイターのコンテンツは、ホリデーシーズン中、あちこちに存在するようになった。この2年間で、マーケティングプランの選択肢のひとつから必須の要素になった。専門の制作スタジオが、安全措置により頼りにできない今は、インフルエンサーが主力だ」。
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「新型コロナウイルスの影響で」
また、インフルエンサーマーケティング企業の幹部によると、今年の急増は、必要な安全措置に係る膨大な製作コストの影響だとみられるという。多くのインフルエンサーは、独自コンテンツを制作できるうえに、隔離された彼らの部屋で撮影できるため、インフルエンサーと協業するコスト面での魅力が、今年は急速に高まっていると、インフルエンサーマーケティングエージェンシー、ビレッジマーケティング(Village Marketing)の創業者、ヴィッキー・シーガー氏は語る。
「通常なら、タレントを探して、グループに加わる人を選択する。今は、インフルエンサーやクリエイターが、具合よく撮影できる人材を使っている」と、シーガー氏は述べ、インフルエンサーマーケティングへのこうしたシフトは、制作プロセスの見直しの一環だと付け加えた。「新型コロナウイルスの影響で、コンテンツの制作方法の変更や従来型制作モデルの打破を迫られている。制作は今、革新されつつある」。
同時に、新型コロナウイルスの感染者が再び急増しているため、自宅待機を促している州もあり、アプリやインフルエンサーのコンテンツ閲覧に費やされる時間が増える傾向にある、と幹部はいう。
「予算がシフトしてきた」と語るのは、A3アーティスツ・エージェンシー(A3 Artists Agency)のデジタル部門のパートナー、アマンダ・マルゾルフ氏だ。「大がかりなコマーシャル撮影は以前ほど多くないし、大規模なPRイベントや店頭広告もない。人々は家にいて、ネットやソーシャルメディアに時間を費やしているので、予算が実際にそうしたものにシフトしてきた」。
依頼をするブランドも多様化
インフルエンサーによるホリデーシーズン用コンテンツへの依頼が増加する一方で、そうした依頼をするブランドが多様化してきた。一般には、アパレルブランドや美容ブランドが、この時期にインフルエンサーのコンテンツを求める主要なブランドだ。だが今は、ホリデーシーズン用のインフルエンサーのコンテンツやキャンペーンの依頼が、イグルー(Igloo Coolers)のようなアウトドアグッズ、家庭用品、調理器具、家庭用フィットネスなど、さらに多様なブランドから届く。
インフルエンサーマーケティングエージェンシー、スウェイ・グループ(Sway Group)のCEO、ダニエル・ワイリー氏によると、ホリデーシーズン向けキャンペーンは通常、マーケティングで「満足な気持ちにさせる」よう意図されているが、今年は、マーケターからの要望により、ホリデーシーズン向けの典型的な美的センス(サンタの帽子や飾り付け、エッグノッグ、全長約1メートル80センチのクルミ割り人形など)に傾斜したホリデーシーズン向けコンテンツが、いつもよりもさらに多いという。「誰もが、ノスタルジーと幸せを得られる場所を求めている」。
インフルエンサーマーケティングエージェンシーの幹部によれば、ホリデーシーズンキャンペーンで喜びとレジリエンスのほかに、ノスタルジーを促すのは、一般的だという。「レターズ・トゥ・ホーム」ホリデーキャンペーンのために幼稚園の教員のマッケンジー・アダムス氏やブロードウェイのスターのロバート・ハートウェル氏のようなインフルエンサーと協力するなかで、ロウズは、「これまで直面してきた困難にもかかわらず、レジリエンスと喜びを通じて米国民の心を捉えてきた」インフルエンサーとの「思いがけない楽しいパートナーシップ」を見出そうと取り組んだ、とCMOのマリサ・タルバーグ氏は述べている。
「ブランドのおかげで、今年は、インフルエンサーがより創造的だ(そのため、より華やいだ気分になれる)」と、サミス氏は語る。「2020年は、皆にとってきつい年だったが、真に陽気なコンテンツやサンタ帽などから、皆が恩恵を受けられる」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:長田真)