日本企業が理解すべき、「マーケターの価値」とは?:一般社団法人マーケターキャリア協会 設立

日本のマーケターの夜明けは近い。

一般社団法人マーケターキャリア協会(以下、MCA)」は2019年3月5日、東京都渋谷区にて設立発表会を開催。MCAは、「マーケターの価値を明らかにする」をビジョンに、マーケターの市場価値向上及び、キャリア構築の支援を行うべく、今月1日に設立された団体だ。

MCAがビジョン実現のために掲げているミッションは、「ビジネスを動かすマーケティングの貢献度を可視化する」「プロフェッショナルとしてのマーケターのキャリア構築を支援する」「ビジネスパーソンのマーケティング思考を育成する」の3つだ。同協会では、これらのミッションを達成するための各種調査や研究、講演、執筆などを実施していく。

なお、理事を務めるのは、ブランドとエージェンシーを中心に、業界の最前線で活躍してきたトップマーケターやキャリア支援のプロフェッショナルが名を連ねている。理事に就任した7名は、1年以上前から、設立準備を進めてきた。MCA設立の中心人物で、代表理事を務めるホールハート 代表取締役CEOの小野進一氏は冒頭、「一部の著名なマーケターはともかく、現状マーケターにとって明確なキャリアアップの道が築けているとはいえない。彼ら一人ひとりのキャリアに寄り添い、彼らが一層活躍できる世の中にしていきたい」と意気込みを語る。

向かって左から小野氏、

向かって左から、ホールハートの小野 進一氏 / 元・クレディゾンの相河 利尚氏 / ベーシックの秋山 勝氏 / ニューバランスの鈴木 健氏 / DIGIDAY[日本版]の田中準也 / イトーヨーカ堂の富永 朋信氏 / Plug and Play Japanの藤本 あゆみ氏

経営層への働きかけ

テクノロジーの発展とグローバル化により、消費者の行動が多様化するなか、企業にとってマーケティングの重要性は増している。しかし理事のひとり、イトーヨーカ堂で執行役員を務める、富永朋信氏は「『マーケティング』という言葉自体、その意味が企業によって異なる場合が多く、単なる市場調査だと捉えているケースもある。本来マーケティングは、もっと広い意味を持っているのに、それが経営層に理解されていないのが現状だ」と話す。

同じく理事を務めるベーシックのCEO 秋山勝氏も「マーケティングとは本来市場創造のこと。しかし、その本質を伝えるのは容易なことではないため、特定の手法についての話になりがちだ」と語る。

こうした課題に対しMCAでは、成功したビジネスモデルをベースに、マーケティングがビジネス全体にどれだけ貢献しているか、調査や研究を実施予定だ。また、そこで得られた結果を、大企業、中小、ベンチャー関わりなく、経営層に共有する場を設けることで、マーケティングへの理解を深める後押しをしていく。

マーケターをプロに

また、MCAが取り組みの目玉が、「プロフェッショナルとしての」マーケターのキャリア構築支援だ。現状、日系企業でマーケターを専門職としている企業はほとんど見られない。それゆえ、急な人事移動などにより、突如積み上げてきたキャリアが水の泡になってしまう、こんな状況に陥るマーケターも少なくない。

MCAではこうした状況を打破し、マーケターをプロフェッショナル、つまり専門職として世の中に浸透させていくための取り組みとして、メンターシッププログラムを実施予定だ。加えて、マーケティング従事者を集めた事例研究会を開催するなど、興味や課題を共有する場を設けるという。

MCA事務局で、同協会の運営を指揮する、グーグル合同会社の中村全信氏は「メンターシッププログラムに関しては、スキルだけではなく、マインドも含めた学びが実践できるようなものにしていきたい」と語る。

マインドの醸成

中村氏がこう話すように、マーケターにとって大事なのはスキルセットだけではない。理事を務めるDIGIDAY[日本版]事業統括・田中準也は「キャリアについてを考えるとき、多くの場合スキルセットの話になりがちだが、ことマーケターに関していえば『楽しむ』というマインドを持つことが重要だ」と語る。

また、同じく理事を務める、ニューバランスのDTC&マーケティングディレクター、鈴木健氏も「就職活動の学生と面接することがあるが、マーケターを目指すのであれば、もっと自分の興味があること、好きなことを突き詰めて話してもらいたい」と続けた。

消費者の趣向を分析し、施策を打つのがマーケターだ。だからこそ、自分の好き嫌いを認めて、それに忠実になるという思考を持つことが大切なのかもしれない。

「私は本当にマーケティングが好きだ」と、発表会の冒頭、各理事による自己紹介で、富永氏は語っていた。「おそらく来世でも、マーケティングに関わっていると思う」。

Written by Kan Murakami