マーケターキャリア協会、新卒の就職支援プログラムを開始:「マーケターとして生き抜くためのスキルを」

社会や消費の枠組みが著しく変化するいま、マーケティングの重要性は益々高まっていくとされている。そんななか、発足から1年が経った一般社団法人マーケターキャリア協会(以下、MCA)は、どのような取り組みを行なっていくのか。

MCAは2020年7月10日、会員総会及び、新プログラムの発表会をオンラインで開催した(当日の模様はYouTubeで視聴可能)。同協会は、「マーケターの価値を明らかにする」をビジョンに、マーケターの市場価値の向上とキャリア構築の支援に取り組んでいる。当日は、先期の活動報告と今期の方向性、そして、新規学卒者(以下、新卒者)を対象とした就職支援プログラムなど、新たな取り組みが発表された。

「2019年3月に、MCAがスタートしてから1年が経過した。これまでご参加いただいた方のなかには、キャリアップを果たした方が多数いるとの報告を受けており、非常に嬉しい限りだ」。MCA代表理事を務める、株式会社ホールハート 代表取締役CEOの小野進一氏は、開会挨拶でこう語る。現在MCAの会員数は901名を突破。事業会社所属の会員が54%程度、続いて広告代理店やマーケティング関連会社という順番で多いという。

第1期の活動報告と今後

MCAでは、同協会の理事7名による講義・ワークショップ「MCA道場」を開催している。第1期は7回開催され、66名が参加したという。同プログラムを担当する株式会社インフォバーン 取締役COOの田中準也理事は、「第1期は、参加者のマインドセットに変化を与えるような内容を設定した」と語る。また、第2期に関しては「マーケターとして生き抜いていくためのスキルを、『発見』『習得』『研鑽』できる経験を提供していきたい」と付け加える。なお、講師にはエステー株式会社で宣伝責任者を務め、この6月にかげこうじ事務所を設立し独立を果たした鹿毛康司氏など、錚々たるマーケターが名を連ねている。

また、MCAではキャリア支援を目的に、著名マーケターによる1対1の「MCA メンターシッププログラム」も提供している。同プログラムを担当する、株式会社クレディセゾン セゾンAMEX部 部長を務める相河利尚理事は「メンターの経験や個性を活かし、メンティーが多くの気付きを得られるようなプログラムにしたいと考えている」と語る。また、メンターのひとりであるアクティブ合同会社 CEOの藤原尚也氏は「メンティーの方の個性や希望を尊重し、そこから逆算したキャリアプランを提案し、サポートしていきたい」と、第2期の取り組みに関する意気込みを述べた。

さらに、MCAはビジネスパーソンや学生の、マーケティング思考を育成するため「MCA Meet Up」も開催している。第1期は、さまざまな分野の著名マーケターが登壇し、合計200名以上が参加したという。同プログラムを担当する、株式会社ニューバランス ジャパン マーケティングディレクターの鈴木健理事は、以下のように語る。「第2期に関しては、『30代のためのマーケティング職キャリアガイド』として、若手のマーケターも招き、ネットワーキングを行なっていきたい」。なお、7月16日には「ニューノーマル時代に生き残るマーケター」をテーマに、第6回目の開催が決定している。

新卒者支援プログラムには、5社が参画

このように、すでにさまざまな取り組みを実施しているMCAだが、新たな取り組みもスタートする。そのひとつが、新卒者を対象とした就職支援プログラム「MCA 幸せな就活」だ。マーケターを志す学生と、企業との出会いをサポートする同プログラムには、現在、株式会社イトーヨーカ堂、パナソニック株式会社、株式会社ポーラ、株式会社Mizkan Holdings、横河電機株式会社が参画。対象となるのは2022年度卒業予定の学生で、優秀者として選ばれた学生は参画企業に採用されるか、インターンシップへの参加権を得ることができる。

同プログラムのアドバイザーを務める、早稲田大学 商学学術院教授の守口剛氏は、こうコメントする。「現状国内では、ごく一部の企業のみ新卒でマーケティング職の採用を行なっていない。マーケター志望の学生が、現役マーケターの方々と接することで、具体的にどのようなステップを歩めばいいのかを理解できれば、非常に有意義な機会になるだろう」。

企業全体のマーケティングスキル向上を目指して

会の終盤には、「MCA 幸せな就活」に参画する企業5社の担当者が登場。Preferred Networks 執行役員 最高マーケティング責任者の、富永朋信理事(TOP画像、上段右)をモデレーターに、記念講演が開催された。以下は、5名のコメントの一部だ。なお、読みやすさを重視して編集を加えている。

株式会社ポーラ 代表取締役社長 及川美紀氏(TOP画像、上段左)

「消費や社会の枠組みが著しく変化する昨今、マーケティングの重要性は益々高まっている。そんななか我々も、マーケティングへの興味関心、そして経験を持つ方を積極的に採用し、社員全体のマーケティングスキルを向上させる必要がある」。

株式会社Mizkan Holdings 執行役員 兼 株式会社Mizkan 取締役 MD本部長 佐藤武氏(TOP画像、上段中央)

「マーケターは生活者ファーストでいなければならない。しかし、マーケティングを一貫して経験しないでいると、生活者ファーストでなければならないのに、『お得意先ファースト』になるなど、そのポジションや企業独自の考え方に囚われてしまうことがある。これ自体は必ずしも悪いことではないが、マーケター採用を行う意義は、こうした問題にある。『MCA 幸せな就活』を通じて、一生活者としてターゲットに憑依してくれるような、そんな仲間に出会いたい」。

株式会社イトーヨーカ堂 取締役 執行役員 営業本部長 河田靖彦氏(TOP画像、下段左)

「自分のキャリアを考え、『マーケティングをしたいんだ』という熱い意思を持った人材は非常に魅力的。我々も、社内で立候補制度を設け、現在全体の17%ほどは自らが就きたい職種・分野で頑張ってもらっているが、マーケティング職については、まだ層が薄いという課題がある。『MCA 幸せな就活』を通じ、マーケティング職を目指す方に出会うのが楽しみだ」。

横河電機株式会社 常務執行役員 マーケティング本部長 阿部剛士氏(TOP画像、下段中央)

「現在、日本ではB2BもB2Cもマーケティングのポジションが低く、日本国内でCMOを設けている企業も少ない。日本企業において、マーケティングのポジションを向上させることは、私のライフワークでもあるので、MCAのビジョンに深く共感し、参画した」。

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務エンタープライズマーケティング本部 本部長 山口有希子氏(TOP画像、下段右)

「日本と世界では、マーケティングのレベルや使い方が全く異なる。これは、企業の競争力に繋がる問題なので、企業全体で、高いマーケティング力を持つことが重要だ。そのためにはまず、全社にインフルエンスするようなマーケティング組織が必要。マーケティングのメソッドが日々変化するなか、いまを生きる若者を支援し視点を取り入れることで、そうした組織作りを行なっていきたい」。

Written by Kan Murakami
Image by MCA(一般社団法人マーケターキャリア協会)