お騒がせ ユーチューバー 、大企業を「勝手に」広告主 扱い:ピューディパイの狙いとは?

世界一のユーチューバーでありながら、たびたび炎上を繰り返すピューディパイ(PewDiePie)は1年前、「スポンサード・バイ・ボルボ(SPONSORED BY VOLVO)」とタイトルがついた動画をアップロードした。その動画で、「ところで、この動画はボルボ(Volvo)の提供。フルディスクロージャーだ」と、彼は述べている。ボルボの広報担当者によると、実際のところボルボは、その動画のスポンサーではない。

ボルボはこの7月末まで、ピューディパイが自社と関わるがあるかのような活動をしていることには気づいていなかった。反ユダヤ的な辛辣な言葉の応酬を見せる動画をアップロードし、2017年2月に論争に巻き込まれることになったディパイとの関わりについて米DIGIDAYがボルボに問い合わせをしてはじめて、同社はその事実を知ることとなった。「ボルボ・カーズはピューディパイの広告主ではなく、問い合わせの投稿とは何の関わりもない」と、ボルボ広報担当者は、8月2日付電子メールで答えている。その時点で、その動画は、8800万の視聴回数を稼いでいた。

ボルボからサーブに

その動画を見て明らかなのは、ボルボはその動画に出資していない、または少なくとも払った金に見合うだけのものを同社は得ていないということだ。

その動画はピューディパイがテレビゲームで遊んでいる様子を録画したもの。ある時点で彼はゲームのなかに車を見つけたあと、その動画内で終始ボルボに言及し続けている(しかし、ゲーム中の車が実際にボルボ車であるかどうかは明らかではない)。そのことと、動画が11分50秒を経過したときに、彼が「この動画はボルボの提供(this video is sponsored by Volvo)」と述べたことが、同社とこの動画の唯一の接点になっている。

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「これが有料広告パートナーシップだなんて、ありえない」と、広告主とインフルエンサー間のコンテンツスポンサーシップ契約などの業務を行うクリエイティブエージェンシー、リーチエージェンシー(Reach Agency)のマネージングパートナー、ゲイブ・ゴードン氏はいう。

8月3日、ボルボがその動画のスポンサーではないことを示す、さらに多くの証拠が見つかった。ピューディパイのチャンネルに表示されている企業の代理人に米DIGIDAYがメールで動画のなかでボルボが宣伝されていることについて尋ねたあとで、その動画のタイトルが「スポンサード・バイ・サーブ(SPONSORED BY SAAB)」に変更された。しかし、その動画詳細にはいまだにボルボの名前がスポンサーとして挙がっている。ピューディパイの代理人は、この記事の締切期限までに返事をしてこなかった。また、サーブ(Saab)の広報担当者からは「我々は彼とスポンサー関係にはなく、メールをもらうまでそのYouTube動画について知らなかった」というメールを我々は受け取っている。

LGとファーウェイも

では、なぜピューディパイはボルボとサーブがその動画のスポンサーだと主張するのだろうか? 低俗なインフルエンサーが広告主のご機嫌を取ろうとしている一例なのかもしれない。「一部のマイクロインフルエンサーたちは、文字通りスポンサーシップを偽り、ブランドにとってより魅力的になろうとしている」と、パートナーシップを管理するWPPのエグゼクティブ、バック・ワイズ氏は述べている。

インフルエンサーと提携するかどうかの判断において、広告主たちは他の広告主からヒントを得ることがしばしばあることを知って、他の広告主たちがボルボ動画をあの騒動(反ユダヤに関する炎上)が終わった証しと捉えるだろうと、ピューディパイは考えたのかもしれないと、ワイズ氏は語った。

スキャンダルをまき散らすユーチューバー、ピューディパイと関わってしまった有名ブランドはボルボだけに限らない。デジタル動画を分析する企業チューブラー・ラボ(Tubular Labs)は、ボルボ動画に続いて、LGとファーウェイ(Huawei)のHonor(ホーナー)がスポンサーであると主張する動画をピューディパイがアップロードしていることを確認している。チューブラー・ラボはピューディパイのその他のスポンサード動画の最近の動きを追跡し、米DIGIDAYにボルボ動画に関心を向けさせた企業である。ファーウェイの広報担当者はコメント要請に対して反応を示さなかった。LGの広報担当者は、家電部門が6月22日にアップロードされた動画のスポンサーになったことを認めたが、同YouTubeスターを取り巻く、反ユダヤ論争は知らなかったと回答している。

「ピューディパイのスタッフが連絡してきて、有機ELテレビの提供を求めてきた。その見返りに、彼がその製品についてエピソードを制作すると。韓国のチームはピューディパイの人気を知っていたが、彼がこれまでに起こした騒動についてはよく知らなかった。私はそのチームを急き立て、LGとピューディパイがこれ以上一緒に活動することはないことを周知させた」と、LGの広報担当者はメールで回答してきた。

経歴確認は必須の時代

LGの反応には驚いた。なぜならウォールストリートジャーナル(The Wall Street Journal)ニューヨークタイムズ(The New York Times)といったメディアで、彼のスキャンダルは広く報道されており、インフルエンサーとの取り引き前に広告主は一般的に身体検査を行うからだ。広告主やその代理店は、インフルエンサーの過去を知るために少なくともGoogle検索はするだろうと、ゴードン氏とワイズ氏は述べた。さらに、広告主はしばしば、バックグラウンドチェック(過去の経歴確認)を行うが、ゴードン氏によると費用はわずか60ドル(約6000円)程度とのことだ。

「彼はもっとも悪名高い現役ユーチューバーだ。それを突き止めるために事前準備をしないなんて考えられない」と、動画アナリティクス企業、オープンスレート(OpenSlate)のCEO、マイク・ヘンリー氏は述べた。

Tim Peterson(原文 / 訳:Conyac)