メイデンホーム(Maiden Home)は2017年以来、オンライン直販家具ブランドとしてインテリアデザイナーや高級住宅所有者の支持を得てきた。しかし現在、同社はデザインサービスの拡大とブランド認知の向上を図るため、初の旗艦店を通じてカスタム製品を展示している。
マンハッタンのミートパッキングディストリクトにある4100平方フィート(約381平方メートル)の旗艦店舗は9月28日に開設した。創設者でCEOを務めるニディ・カプール氏は、ブランドの立ち上げ以来、実店舗を構えることを構想してきたと、米モダンリテールに語った。しかし同社はCovid-19パンデミックによるロックダウンのあと、高い売上と顧客の多くのリピーターに支えられ、実店舗を実現するためにより具体的に動き出した。
メイデンホームのカスタム商品はノースカロライナで手作りされ、リビング、ダイニング、ベッドルーム、オフィス向けに数多くのオプションを用意している。カプール氏によると、店舗では、ブランドを新しい顧客に紹介するだけでなく、4人のインテリアデザイナーが常駐するという。インテリアデザイナーは、家具のコーディネート、色の選び方、間取りの図面作成など顧客の相談に応じる。こうした無料相談はすでにオンラインで行われているが、新店舗では無料相談用に壁一面の見本や座席を用意する。
「この空間に商品やサービスを提供し、オンラインではできないようなはるかに密接な形でインテリアデザイナーと関わる時間を提供できることこそ、我々が小売店舗を構える意義がある」と、カプール氏は述べている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
メイデンホーム(Maiden Home)は2017年以来、オンライン直販家具ブランドとしてインテリアデザイナーや高級住宅所有者の支持を得てきた。しかし現在、同社はデザインサービスの拡大とブランド認知の向上を図るため、初の旗艦店を通じてカスタム製品を展示している。
マンハッタンのミートパッキングディストリクトにある4100平方フィート(約381平方メートル)の旗艦店舗は9月28日に開設した。創設者でCEOを務めるニディ・カプール氏は、ブランドの立ち上げ以来、実店舗を構えることを構想してきたと、米モダンリテールに語った。しかし同社はCovid-19パンデミックによるロックダウンのあと、高い売上と顧客の多くのリピーターに支えられ、実店舗を実現するためにより具体的に動き出した。
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メイデンホームのカスタム商品はノースカロライナで手作りされ、リビング、ダイニング、ベッドルーム、オフィス向けに数多くのオプションを用意している。カプール氏によると、店舗では、ブランドを新しい顧客に紹介するだけでなく、4人のインテリアデザイナーが常駐するという。インテリアデザイナーは、家具のコーディネート、色の選び方、間取りの図面作成など顧客の相談に応じる。こうした無料相談はすでにオンラインで行われているが、新店舗では無料相談用に壁一面の見本や座席を用意する。
「この空間に商品やサービスを提供し、オンラインではできないようなはるかに密接な形でインテリアデザイナーと関わる時間を提供できることこそ、我々が小売店舗を構える意義がある」と、カプール氏は述べている。
実店舗を構えはじめた家具D2Cブランド
D2Cの家具新興企業が実店舗小売に踏み出す例は多く、メイデンホームはそのもっとも新しい例だ。2016年に創設されたバーロウ(Burrow)は2018年に最初の店舗を開設し、今では4つのショールームを運営している。2018年にオンラインのカスタム家具ブランドとしてデビューしたインサイドウェザー(Inside Weather)は現在、ミネソタとワシントンD.C.に2つのショールームを持つ。フロイド(Floyd)は昨年、ロサンゼルスにショールームを構えた。またウェイフェア(Wayfair)が保有するジョスアンドメイン(Joss and Main)はボストン店に続き、今夏にシカゴに2店舗目を開いた。
実店舗を持つことは、メイデンホームの長期的な成長に役立つと、カプール氏は述べる。同ブランドはオンラインの売上でも前年比で3ケタの成長を続けているが、ラグジュアリー家具の分野で「数十億ドル規模のビジネスチャンスがある」という。
今回の旗艦店舗オープンは、メイデンホームが昨年ニューヨーク市で開いたポップアップショールームを基にしている。アポイントメント制のモデルでは、顧客はオンラインでの注文よりも多くの金額を払い、長期的に渡ってリピート購入する可能性が高かった。このことが、常設の場所を設置する根拠になった。一方で、常設のショールームがあれば、よりユニークでブランド独自の環境を提供することができる。カプール氏は、ムーディーなアースカラー、ヴィンテージアート、柔らかな照明を特徴とするスペースの内装を厳選した。
ニューヨークとメイデンホームの顧客
旗艦店舗の場所をニューヨーク市に決定したのは、ニューヨークは同ブランドにとってもっとも得意とする市場であり、プロのインテリアデザイナーの顧客が多く居住していることが理由のひとつだ。メイデンホームのビジネスの45%は商業クライアントからのもので、これらのクライアントのリピート購入率は50%だ。これらの商業クライアントは、富裕層の顧客と取引していることが多く、専門的技術も豊富であるため、ブランドの成長戦略において重要な役割を担っているとカプール氏は述べる。
「ホームカテゴリーのパワーユーザーたちだ。ブランドとしての我々の立ち位置を証明する大きな要素だ」と同氏は話す。
メイデンホームの商品は比較的高価で、ユニット家具の価格は3100ドル(約46万5000円)、ダイニングテーブルは2450ドル(約36万8000円)が最低価格だ。そのため、一般的なトレンドとは多少隔絶されている。経済的な制約から大きな買い物を避ける消費者がいる一方で、メイデンホームでは顧客全体の3分の1以上が、部屋の模様替えや別荘の家具などのためにリピート購入しているとカプール氏は述べる。
「ホームカテゴリーでは、顧客が一度商品を購入すると、それから何年も購入しないというのはまったくの誤解だ。廉価品ではそうなのかもしれないが、ラグジュアリーではそんなことは絶対にない」と同氏は述べる。
ブランド拡大の重要な要素に
クリエイティブエージェンシーであるスターチクリエイティブ(Starch Creative)の創設パートナー、ブランドン・ボール氏は、D2Cブランドが実店舗戦略を立案する支援を行っている。家具ブランドは価格帯が高く、十分に考慮してから買い物する分野であるため、実店舗を設けることが特に重要な動きであると同氏は語る。また、カスタマイズコーナーを設けることで、画面越しではなく、実際に色や感触を確かめることができるため、より多くの顧客に納得して購入してもらえる可能性があるという。
「人々に対してこのような決定を促すには、自信が鍵となる」と、同氏は述べる。
運営面では、実て店舗はブランドの拡大計画の重要な要素になるとボール氏は語る。オンライン販売は、そのブランドを実際に目にできないことについて顧客が懸念を持つ可能性があることから、やがて頭打ちになる。また、高所得な人々が集まるトレンディーな地域では、すでにブランドの認知度が高く、また、いつか購入してくれるかもしれない潜在的な顧客の目に触れることで、その顧客による将来の購入を促すことになる。
「人々が実際に商品を目にする機会が増えるほど、コンバージョン率も高くなる」とボール氏は語った。
[原文:Maiden Home opens first retail store in NYC]
Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Maiden Home