百貨店・メイシーズ、従業員300人をインフルエンサー化:「スタイルクルー」プログラムの中身

米・百貨店のメイシーズ(Macy’s)における社内インフルエンサーチームが拡大しそうだ。

昨秋、20人の従業員を「アンバサダー」にするというスタイルクルー(Style Crew)の試験運用を開始して以来、メイシーズは、このプログラムの進展のために投資してきた。今春には、300人を超える従業員がこのプログラムに参加し、現在はSnapchat(スナップチャット)やインスタグラム(Instagram)を含むソーシャルメディアチャネル全体で、400を超えるアカウントがアクティブな状態にあるという。

メイシーズの広報担当者は、正確な数字に触れることを控えながらも、同社が「大きなエンゲージメントを得た」ため、2019年には「もっと大きな」取り組みを計画していると発表した。設立当初のスタイルクルーは特に服飾や美容に焦点を置いていたが、リーチを広げ、リテーラーが販売する製品群すべての魅力を訴求していこうとしている。

社員なら誰でも参加可

メイシーズが社内のインフルエンサーに注目するようになったのは、同社の経営陣が外部のインフルエンサーに不信を抱くようになったためだと、同社の上級幹部が匿名を条件にして語った。インフルエンサーに関する反感(フォロワー数やエンゲージメントに関して行った虚偽の報告を非難したもの)は、6月のカンヌライオンズフェスティバル(Cannes Lions festival)で最高潮に達した。このフェスティバルでは、ユニリーバ(Unilever)のCMO、キース・ウィード氏が、同社はフォロワーを金で手なずけるインフルエンサーとは今後仕事をしないと発表。また、ウィード氏は、ユニリーバブランドはインフルエンサーがボットを使用したり、フォロワー数の水増しを行ったりしていないかどうかを監視するとも語った。

通常、外部のインフルエンサーに対し、投稿1件に付きいくらかの報酬を支払うのとは異なり、メイシーズは同社のスタイルクルーに対する前払い用の資金をほとんど用意しておく必要がない。従業員のインフルエンサーは、レジ係から幹部に至るまで、売り上げを促進するたびに報酬を得るが、その歩合ははっきりとは定まっていない。

メイシーズの従業員であれば、誰でもこのプログラムに応募できる。応募が承認されると、事実上、同デパートのすべての製品への無料アクセス権が与えられ、オンラインで販促活動を行う。従業員は#macysstylecrewやそのほかのさまざまなハッシュタグを使用し、自身のインスタグラムのページ上部に固有のURLのリンクを貼って販売促進をする。異国情緒漂う場所を背景にして飾られるトミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)のドレス、あるいはテニスコートで着用できるナイキ(Nike)の運動着などが「オーガニック」な広告の役目を果たす。

「従業員との関係を強固に」

カンター・メディア(Kantar Media)によると、メイシーズは昨年1年でアメリカの主要媒体に約4億1500万ドル(約46.7億円)を費やしたということだ。メイシーズの幹部は、外部のインフルエンサーに対する総予算は減少し、定量化がより簡単なデジタル広告やフィジカル広告の形態が好まれているという。しかし、同社は、外部のインフルエンサーを排除するつもりはまったくない。インスタグラムに最近掲載されているものには、女性の地位向上を目指すブランドのザ・シック(The Thicc)創業者ジェーン・ベルフライ氏がデザインしたドレスや、フリーランスのインフルエンサーであるモーガン・ベテル・ソシンスキ氏が着用しているデニムジャケットなどがある。

ベテル・ソシンスキ氏には3万人を超えるフォロワーがいる。メイシーズのスタイルクルー参加者の平均フォロワー数は1万人未満で、「マイクロインフルエンサー」としても知られている。しかし、マイクロインフルエンサーのリーチは狭いが、調査によると、たいていの場合、自分の投稿を詳しく見ている友人や家族によってリーチの狭さを埋め合わせている。

「この取り組みによって、従業員との関係を強固にできる」と同社の幹部は言う。「この取り組みは従業員がメイシーズに誇りを持ち、いくらかの報酬を得て、これまで以上に毎日精力的に働く動機づけとなるものだ」。

DIGIDAY[日本版]では、来たる2018年12月10日に、インフルエンサーマーケティングをテーマにした、1dayイベント「HOT TOPIC」を開催する。詳細は、こちらのページにてご紹介しているので、ぜひ参加のご検討を!

Michael Bodley(原文 / 訳:Conyac