8月、TikTokの「チューブガール(Tube Girl)」ことサブリナ・バスーン氏が、ロンドンの地下鉄(チューブ)で踊る自分を撮影したTikTokを初投稿した。その後、彼女は同じような動画を数日ごとに、時には1日に複数 […]
8月、TikTokの「チューブガール(Tube Girl)」ことサブリナ・バスーン氏が、ロンドンの地下鉄(チューブ)で踊る自分を撮影したTikTokを初投稿した。その後、彼女は同じような動画を数日ごとに、時には1日に複数投稿して、71万人のフォロワーを獲得。そしてフォロワー数が急増するにつれ、ブランドから注目されている。
MAC、チューブガールと提携した初ブランドに
MACはバスーン氏と提携した初のビューティブランドとなった。MACは、9月、ロンドンファッションウィークの最中にアウターネットロンドン(Outernet London)で開催したラウンウェイショー、フェイスショー(Face Show)に同氏を起用した。このイベントには、リキッドフォーミュラとしては約10年ぶりに発売されたスタジオ ラディアンス セラム ファンデーション(Studio Radiance Serum-Powered Foundation)を宣伝する目的もあった。
「彼女は自己表現と自信に取り組んでいる。画期的でクリエイティブなコンテンツを提供しながら、ソーシャルメディアユーザーやクリエイターのコミュニティに楽しさを吹き込んでいて、シリアスになり過ぎていない」と語るのは、MACのシニアバイスプレジデント兼グローバルCMO、エイダ・ミダシルウ=ルボワ氏だ。同氏によるとMACは文化ブランドであることを優先しているという。そこで、ランウェイショーのわずか5日前に、同氏はバスーン氏に連絡を取り、ランウェイの内外でのパートナーにならないかと尋ねた。
Advertisement
チューブガールのスポンサードTikTok投稿
このパートナーシップにはふたつの側面があった。MACのランウェイを歩いたバスーン氏のモデルデビューと2本のスポンサードTikTok投稿だ。
1本目のTikTokは9月16日に公開され、バスーン氏はフォロワーに「How To Tube Girl(チューブガールのやりかた)」を示した。
画面に「1. 通勤後にグロスを塗りして」と表示され、その後に「(そう、私はM.A.C.ガール)」に切り替わる。続いて、「2. 画面(速度)を0.5倍にして、風にあたる!」。そして最後に、「誰にも見られていないかのように撮影。実際には見られまくっていてもね;)」。この投稿は350万回閲覧され、21万件以上の「いいね」を獲得した。「金を掴め、チューブガール!!!!!!」などの数えきれないコメントが殺到し、コメント投稿者からはバスーン氏の有料インフルエンサー契約への移行が支持されていた。
「初めて購入した美容製品がMACだったので、一巡して初コラボレーションにたどり着いた感があった。電話をもらったときから、MACが私を理解していて、また私の意見が尊重されているのが明らかだった」とバスーン氏はEメールで述べている。「地下鉄の車両で踊っている動画が美容ブランドとのパートナーシップにつながるとは夢にも思わなかった。だが、動画を公開し続けるにつれ、自信を持って人生を楽しんでいることに人は惹かれるのだと気づいた。そして、誰かが自分に自信を持っているだけで素晴らしいパートナーシップにつながる可能性があることを知って、皆が自分もやってみようと思うようだ」。
9月17日の2回目のスポンサード投稿で、バスーン氏は2分間のQ&Aセッションを行い、その夜のMACのショーでランウェイデビューすることをほのめかした。また、YouTube経由でライブストリームが視聴できることをフォロワーたちに伝えた。トライブダイナミックス(Tribe Dynamics)によると、バスーン氏の2本のTikTok投稿はアーンドメディア価値で10万ドル(約1498万円)を超え、同氏と提携した初の美容ブランドであるMACに関するソーシャルでの会話を促進したという。
文化のスピードを先んじるMACの能力を誇示
エイダ・ミダシルウ=ルボワ氏は、このパートナーシップはMACの「文化の少し先を行く」能力の証だと述べている。
MACは、スターや文化的アイコン、映画との共同制作コレクションなど、ポップカルチャー関連のパートナーシップで長年知られている。これまでにコラボレーションしたスターには、リアーナ氏、ニッキー・ミナージュ氏、エリー・ゴールディング氏、ルルド氏らがいる。また、ホイットニー・ヒューストン氏やマリリン・モンロー氏といった故人のアイコン、ザック・ポーゼン氏、ジャンバティスタ・ヴァリ氏、プロエンザ・スクーラー氏などのファッションデザイナー、『ブラックパンサー(原題:Black Panther)』『ミス・ピギー(原題:Miss Piggy)』『クルエラ(原題:Cruella)』などの映画との提携もある。また、MACのビバグラム(Viva Glam)キャンペーンはこのようなパートナーシップを活用して、過去29年間にわたりHIV/エイズ啓発のための資金集めを行っている。
ミダシルウ=ルボワ氏は、「(バスーン氏が)TikTokで話題になり始めたとき、注目した」と言い、それはたまたまMACがランウェイショー計画の最後の仕上げをしていたタイミングだったそうだ。「バスーン氏は、ツイッギー氏、マンロー・バーグドルフ氏、タイリース氏、アウェン・チョル氏、クリス・グレイブ氏、カラム・ハーパー氏ら、『MACであること』の意味を体現する多様なモデルの面々とぴったり一致した」。
ミダシルウ=ルボワ氏は「(このパートナーシップは)すばやく実現することができたが、それは当社が好んでいる方法だ」と付け加えた。
[原文:MAC Cosmetics taps TikToker ‘Tube Girl’ to move at the ‘speed of culture’]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)