アスレジャーはもう終わり。それからスニーカーも終わった。90年代の雰囲気は70年代のトレンドに取って代わられ、ホットパンツが新たなミニスカートとなり、ウエストラインはいまでは低くなった。2023年春の真っ白なタンクトップの2024年春バージョンはブラトップだ。そして、現代版「狂騒の20年代」ルックを定義するルーズでイージーなシルエットが消滅し、いまやありとあらゆるものに、ハンドバッグにさえもベルトが付いている。
デザイナーが新鮮なアイデアを取り入れるのは、新しいコレクションの重要なポイントだ。だが、過去のシーズンとくらべると、9月のランウェイで展開されたルックは、さらにアグレッシブに新たな領域へと飛躍しているように読める。米国の労働者の3分の1以上がまだ自宅で仕事をしているこの時期に、スポーティなものを大量に放棄したことがひとつの例だ。
TikTokがこうしたトレンドのサイクルを加速させていることは広く報じられている。しかしそれと歩調を合わせて、消費者は裁量支出を控えている。ブランドが引き続き「イット」なアイテムを提案し、プロポーションを変化させ、(少なくとも)半年ごとにワードローブを一新する必要性を示しているなかで、ファッションが受け入れるものと私たちのクローゼットにあるものとのギャップがさらに広がる危険性がある。ただし再販業者や(なんと!)ファストファッションブランドは、これまでもずっとそうだったように、多くの顧客とのつながりを保ち続けるだろう(ファッションのその時々のルックが、ある程度レトロだったりアレンジしやすいものであることが助けになる)。
アスレジャーはもう終わり。それからスニーカーも終わった。90年代の雰囲気は70年代のトレンドに取って代わられ、ホットパンツが新たなミニスカートとなり、ウエストラインはいまでは低くなった。2023年春の真っ白なタンクトップの2024年春バージョンはブラトップだ。そして、現代版「狂騒の20年代」ルックを定義するルーズでイージーなシルエットが消滅し、いまやありとあらゆるものに、ハンドバッグにさえもベルトが付いている。
デザイナーが新鮮なアイデアを取り入れるのは、新しいコレクションの重要なポイントだ。だが、過去のシーズンとくらべると、9月のランウェイで展開されたルックは、さらにアグレッシブに新たな領域へと飛躍しているように読める。米国の労働者の3分の1以上がまだ自宅で仕事をしているこの時期に、スポーティなものを大量に放棄したことがひとつの例だ。
TikTokがこうしたトレンドのサイクルを加速させていることは広く報じられている。しかしそれと歩調を合わせて、消費者は裁量支出を控えている。ブランドが引き続き「イット」なアイテムを提案し、プロポーションを変化させ、(少なくとも)半年ごとにワードローブを一新する必要性を示しているなかで、ファッションが受け入れるものと私たちのクローゼットにあるものとのギャップがさらに広がる危険性がある。ただし再販業者や(なんと!)ファストファッションブランドは、これまでもずっとそうだったように、多くの顧客とのつながりを保ち続けるだろう(ファッションのその時々のルックが、ある程度レトロだったりアレンジしやすいものであることが助けになる)。
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この秋、それぞれのブランドの方向性
9月末、ファッションの焦点がロンドンからミラノに移り、デザイナーたちのあいだでいくつかの共通した発想が明らかになった。シルエットの面では、マックスマーラ(Max Mara)やトムフォード(Tom Ford)のショートパンツにロングジャケット、フェンディ(Fendi)やアルベルタ・フェレッティ(Alberta Ferretti)のロングブラウスのボタンを外してパンツを見せるスタイル、ロベルト・カヴァッリ(Roberto Cavalli)やトムフォードのフィットしたスーツにローライズのフレア、そしてプラダ(Prada)やトムフォードのスリムフィットのスカートからボーイッシュなブリーフがチラッと見えるスタイルなど。そこまで飛躍するのではなく、カジュアルウェアとテーラリングをうまく調和させることを目指したデザイナーもいたようだ。たとえば、フェンディ(Fendi)のキム・ジョーンズ氏は、パーカーを体に巻いたように見える生地のディテールを好んでいた。とはいえデザイナーたちはほぼ全員が、トレーニングシューズではなく細くとがったキトンヒールやローファーを採用していた。
少し意外だったのは、9月22日にデビューしたグッチのサバト・デ・サルノ氏の初めてのランウェイが魅力的で受け入れやすいコレクションだったことだ。タンクトップ、トラックジャケット、スニーカー、そして90年代の定番スタイル(サテンのスリップドレスやバギージーンズ)など現在人気のスタイルの存在が、たとえば、極端な裾の長さといった最先端のものとうまくバランスを取っていた。ランウェイショーのライブストリーミングが開始されるときにグッチのインスタグラムに投稿されたコレクションに関するデ・サルノ氏のメモでは、アイテムの着やすさについて言及されている。そのなかでは、「リアルライフ」、「シンプリシティ」、「フィーリング・アット・ホーム」、「日常生活」といった言葉やフレーズが散りばめられていた。
もちろん、このファッションマンスで、ブランドの方向性を明らかにした新任のクリエイティブディレクターはデ・サルノ氏だけではない。そしてそれ自体が大きな変化の扉を開くことになる。結局のところ、現状では前任デザイナーのビジョンは機能していなかったのだ。トムフォードのピーター・ホーキングス氏の場合、25年前のフォードのデザイン全盛期のシグネチャースタイルを復活させることで、かなり鋭い方向転換を図っている。
ファッションの混沌としたトレンドサイクル
だが、今シーズンの何人かのデザイナーは、顧客の既存のワードローブを補完する服を作ることの重要性を強調している。前回報じたように、ティビ(Tibi)のエイミー・スミロヴィック氏もその一人だ。また、ニューヨーク・ファッションウィーク期間中、アナザートゥモロー(Another Tomorrow’)のリズ・ジャルディーナ氏は、ブランドのシーズンコレクションであれ、定番の「ファウンデーション(Foundation)」ラインであれ、デザインするにあたっては「タイムレス」で「長持ちする」服を作りたいとGlossyに語った。ジャルディーナ氏は「つねにあまりに多くの情報に晒されている」なかで、ファッションにおける「混沌の中の平穏」を女性に提供することが自分の仕事だと強調した。
ファッションの混沌としたトレンドサイクルに対する共通のフラストレーションは、9月17日のリテールセラピー・ポッドキャスト(Retail Therapy Podcast)の「女性の秋のファッション」のエピソードで指摘されている。ゲストホストのローラ・マクガリティ氏が説明したように、スキニージーンズはファッションから脱落、バギースタイルが取って代わり、それに合わせるためのフィットしたトップスへの投資も必要となった。「ワードローブを全体的に見直すことになってしまって、私はまだその作業をやってる最中だ」とマクガリティ氏は述べている。
実際にはファッションのファンでさえ、ファッションの購入に関して支出を切り詰めている。たとえば、9月20日に発表されたリセールプラットフォーム、ファッションファイル(Fashionphile)の「ウルトララグジュアリー再販レポート(Ultra-Luxury Resale Report)によると、買い物客の60%が過去1年間に少なくとも1点は値引きされたアイテムを購入している。
とはいえ、ファッション界の多くは、近々予想されているフィービー・ファイロ氏が自身の名を冠した新レーベルの初コレクションを目にするのを楽しみにしている。また、変化への不満はさておき、ファイロ氏が率いるところには間違いなく多くの人々がついてくるだろう。
[原文:Luxury Briefing: The rapid trend cycle and what Gucci got right]
JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)